父の失敗・悩み・たわごと
右側のドアが開きます。
右側のドアが開きます。
アナウンスの後に電車が止まり、
予告の通り右側のドアが開きました。
私の目の前の席で爆睡していた女性が
ガッと目を覚まし、
席を立ち、ドアの方へ駆け出しました。
左側のドアへ。
閉まっているドアにぶつかる前に振り返り、
背後で開いた右側のドアへと駆け出します。
カバンから何かが落ちました。
100円ボールペンのようです。
どこかの量販店では60何円で売っているものかもしれません。
落としたことに気づいたその女性、
ボールペンに一瞬目を止めるも
再び振り返りドアへ向かおうとする時、
私はつい、目の前に転がったそのボールペンを掴み
つい女性に声をかけます。
「あの、、、」
女性は再び振り返ります。
「ボ、、、」
私が言いかけ、同時にボールペンを差し出そうとするも
すぐさま私に背を向けドアの外へ駆けて行きました。
彼女が私の声かけを無視し、ボールペンを見捨てた瞬間です。
わかります。ボールペンを受け取ってしまうと
電車を降りそびれてしまうことが決定的だということは。
彼女はドアの向こうへ無事に出ようとする。
ドアは閉まろうとしています。
でも私は諦めない。
閉まりかけのドアの隙間を狙い
ボールペンを外へ放り投げました。
ボールペンは無事、ドアをすり抜けホームへと。
よかった。
しかし彼女は行ってしまいました。
振り返ることもなく。
ボールペンはホームの床に転がったまま。
電車は動き始めました。
私はいいことをしたはずです。
というか、そんな貢献感で締めくくりたい。
でもそれは彼女のためなのか。
ボールペンのためなのか。
はたまた諦めなかった自分のためなのか。
いや違う、あの隙間を通した自分のコントロールでした。
自己満足ですね。
そして車内にはまたアナウンスが流れました。
右側のドアが開きます。
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父の失敗・悩み・たわごと
トイレの陰影
我が家の厠の照明が壊れて1年ほどが経ちます。
それはそうと、谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」の中に
厠の風情についてのくだりがあります。
日本の厠は実に精神が安やすまるように出来ている。
それらは必ず母屋おもやから離れて、
青葉の匂においや苔こけの匂のして来るような
植え込みの蔭かげに設けてあり、廊下を伝わって行くのであるが、
そのうすぐらい光線の中にうずくまって、
ほんのり明るい障子の反射を受けながら瞑想めいそうに耽ふけり、
または窓外の庭のけしきを眺める気持は、何とも云いえない。
陰影の美について書かれています。
谷崎によりますと、
「厠」がただの不浄の場とならないためには
条件があるようでして、
「或ある程度の薄暗さ」
「徹底的に清潔であること」
「蚊の呻うなりさえ耳につくような静かさ」
だそうです。
そういえば先日、夜、厠の窓を開けておりますと、
静かな室内に鈴虫の泣き声が
小さく響いておりました。
冒頭に話を戻しますが、
1年ほど前に我が家の厠の照明が壊れました。
壁の中を通る配線かスイッチの接触によるものだ
ということはわかっているのですが、
一向にこの照明を修理しようという気にはなりません。
夜、家族は、LEDランタンを持って厠へ行きます。
薄暗い厠、私は、陰影のあるこの室内がなんとも好きなのでございます。
家族はとくに何も言いません(言いたいのかもしれませんが)。
本日、我が家の洗濯機が壊れました。
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父と娘
2どねのちょうせん
娘の自転車のサドルの高さが
自分のベストの高さより高くなったのは
この1年半ほどでしょうか。
娘の高校入学の時に買った自転車。
たまーに、ちょっとそこまでと借りる自転車。
となりに立つと目線はほぼ一緒。
大きくなったもんです。
じきに抜かれてしまうかもしれません。
昨晩、娘ととりとめのない会話をしていました。
娘は何かを楽しそうに喋りながら
私の方へと近づいてきました。
でも、近くに来たらなんか小さい。
いや、とても小さい。
120cmもいかないくらい。
小さい時の娘でした。
「わっ、小さい時のノンだ」。
思わずハグしました。
声をたてて笑い合いながら目が覚めました。
寝起きから幸せでしたが、
ああ、夢か。
すぐさま2度寝を試みました。
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子どもと会話
土曜日の夜は
土曜日の夜は、長男からは冨田勲の
ドビュッシー月の光を聴かせてもらい、
次男からは数3の問題にあった
π/3からπの間の面積の解き方を教えてもらい、
娘からはヒルは血を吸うと8倍にもカラダがデカくなるのだ
ということをジェスチャー交えて教えてもらいました。
賑やかでした。
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オトンの心得・決めごと
スマホの約束
約束してたんですわ。
でも守れなかったんですわ。
ウチの高2の娘の話です。
スマホに関する約束です。
(スマホに関する約束って、
高校生になるとあまり聞かないようですが)
決めていたんです。
そうなったら
その日から一旦スマホは預かると。
明日、彼氏と新大久保に行くのだと
娘が言いました。
夏休み最後のお出かけだと。
せめて、新大久保にいく時だけは
持っていかせてくれと。
妻はダメだと言いました。
私もそれにうなづきました。
泣きながら娘は出かけました。
我が家から新大久保、電車で1時間以上かかります。
たくさん写真を撮りたかったのだと思います。
妻は揺るぎませんでした。
私はちょっと揺るぎかけました。
夜、明るい顔して帰ってきました。
後日、
スマホがないことがむしろよかったのだと娘は言ってました。
小学校のときの気持ちを思い出したよう。
彼氏との待ち合わせも時間と場所は決めたものの
会えるまでのちょっとした不安な気持ちとか
1時間乗っている電車で、彼氏もスマホを見ずに
いろいろ話ができたこととか
なんだかすごくよかったのだと。
そういうところを素直に思える彼女の心持ちがよいなあと思ったわけでございます。
今、私の目の前でガンガンスマホを見ております。
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オトンの心得・決めごと
娘に怒るとき
最近、高2の娘に怒ることが多くて。
いつぞやも2日連続でがっつり怒ってしまいました。
娘は、少しおとなしめの人から見ると怖いとも思われることがあるようで。
まあそれは化粧の問題が大きいのではと思ったりするのですが。
それはさておき。
怒っていると、途中、自分自身何に怒っているのかわからなくなる時が
あるような気もして、それは本当にいかんなあと思うのですが。
そしてこんなにいつも怒っているってのは自分自身どうしたもんかと反省するわけでございます。
こないだ、晩ご飯を食べているときに、娘の仲のいい友達と、お互いの父親の話になったそうで、結論、父親2人はめちゃくちゃ似てるねという結論になったと。それをさらりと無表情で言われましてね。(うわー、というか、あちゃーというか)
「どこが似てるのか?」気になるではないですか。でも、娘に聞いても答えてはくれません。でも、ついしつこく聞いてしまいまして。妻にも「しつこっ!」と言われましたが。
「オトンは、滅多に怒らないじゃん」娘が話し始めました。
(自分としては、いつも怒っている気がしてたけど)。
「でも怒るときは、だいたい思いやりについてのことじゃん」
(ん?そうだったのか、と自分も改めて気づく)。
そこからは、友達付き合いの仲での思いやりについて、娘がたくさん話をしてくれました。
なんだかね、もう、言うことなかったです。
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オトンの心得・決めごと
言われたから?
言われたから。言われてないから。
というのが、どこか根っこにあるのではないかと思うことがありましたので、
言われるどうのこうのより、
気づくか、気づかないか、の方が遥かに大事で
そっちで捉えた方が、
自分ごとになるからやらされ感なんかはなくなるし、
自分にも周りにもハッピーな空気が流れるのだと思うよ、
ということを、
昨晩、高2の娘にどうにか伝わるように言おうと思っていたら
彼氏と横浜に花火を見に行って、帰ってきてそのことをハッピー感満載で話していたので
言いそびれました。
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家族の習慣
家のごはん
一時期よく食べたピーマンの肉詰め、夏のゴーヤチャンプルー、季節問わずポキ丼(マグロとサーモンとタコとアボカドとニンニク)、ちょっと小ぶりな煮込みハンバーグとコーンポタージュ、お客さんがくる時につくるエビとかのプリプリしたやつ、みんなで包む餃子、たこ以外にもいろいろ入れるたこ焼き、納豆は外せないお好み焼き、さらっと作ってくれる温かいお蕎麦(卵とか小松菜とかエノキとか豚肉とか)、ストーブを囲んで食べるしみっしみの鍋帽子おでん、ホロホロ鳥の鍋帽子カレー、冷蔵庫のものいろいろ乗せた冷やし中華、鍋、鍋、鍋、鍋(水炊き 豆乳鍋 キムチ鍋 もつ鍋)、うまいうまいとコタが言ういつものお味噌汁、たまーに作ってくれるポテサラ、オトンのハナクソナポリタン、シンのそばめし、ノンのオムライス、オトンのハナクソ和風パスタ、BBQでもこてっちゃん、BBQのジャークチキン、ホットプレートで作るアクアパッツァ、BBQの丸ごとピーマン、最近作ってないアンチョビキャベツサラダ、特性ダレでBBQ、シンの卵だけ入れたチャーハン、あらゆる具の手巻き寿司、特製ダレのサムギョプサル、残ったキムチでつくるブタキム、健康を考えた蒸し野菜たち、冷たいお蕎麦(大根おろし、納豆、卵、大葉)、朝に出来上がる自家製パン、ちょっと失敗してフォカッチャみたいになった自家製パン、うちのじゃがいもを何かにしたもの、何かにうちの大葉を乗せたもの、何かにうちのバジルを乗せたもの、ほうれん草より小松菜のおひたし、ノンの茶碗蒸し、夏の揚げ浸し、たまーの焼きナス、朝に作っておいてくれるみんなの昼焼きそば、ホットプレートでつくるオトンの大阪的焼きそば、最近作ってない味噌豚すき焼き、特別な日のすき焼き、湯豆腐か冷奴さえあれば満足、ライスの詰まった鳥の丸焼き、年越しの鴨南そば、お正月のぶりの刺身、お正月のなます、お正月のお煮しめ、お正月のお雑煮、今日は親子丼
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子どもと会話
芭蕉から寅さん
古池や蛙飛び込む水のおと
私たちは貴重な人生を生きて、いろいろな活動をしたり楽しんだり
するけれども、永遠の時間から見ると、ポチャンという間にすぎないんだ。
という意味だという禅の師匠。
おおー!なるほど。これは心打たれたと申しましょうか。
その後に現れる波紋にも思いを馳せてしまいました。
最近、長男が松尾芭蕉のことを仕切に、めっちゃかっこいい、と言っておりまして
「オトンは芭蕉の中でどの句が一番好き?」と聞かれました。
そんなこと聞かれても、思うかぶのが、
こちらのポチャンと蝉の声とつわものどもの3つくらいで、
これが一番だというのもなかなか言いづらいなと思いましてね。
そんな最中、こちらを読ませていただいたわけでございます。
もう一度、長男に聞かれたら答えようと思います。
「一番好きな句、そうだな、、。やっぱり
古池や蛙飛び込む水のおと、、、 かな。」
これは「一番好きな映画はなんですか?」と聞かれたときに
マッドマックス 怒りのデス・ロードです。
とすぐさま答える感じ、
いわば、王道で堂々とするという仕草にも似ていますね。
ちなみに、ここに紹介されていた別の句
かれえだに烏のとまりけり秋の暮れ
これもいいですね。
時の流れとともに枯れていく、錆びていく、苔むしていく、あれ?いつの間にかこんなとこにキノコが生えてる というありさまを好む私としては
その情景を想像をするとグッとくるものがあります。
芭蕉は、雪舟の絵とか利休の茶とかを芸術の目標にしていたそうです。
わびさびの世界ですね。冒頭の禅もわびさびで語られますね。
烏の秋もそれを感じます。
ついさっき
うちのデッキの手すりにとまり
カラスがカアカア鳴いておりました夏
失礼。
こちらは一気に「何も言えなくて夏/J-WALK」に寄ってしまいました。
話を戻します。
芭蕉は旅人ですね。旅人といえば寅さんですね。
彼が江戸川のどてに寝転んで言ったのがこちら
ほら見な。あんな雲になりてえのよ
どこか、冒頭のポチャンにも似ているような感じがします。
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子どもと会話
今年は夏の甲子園をよく観ました。
そういえば、うちの公立中学校のサッカー部が
この夏、3回目の全国大会にいきまして。
ただ、2つの公立小学校から進学する地元の子どもたちで
(サッカー部には入らず、クラブチームでやっている子も少なくない中)、
3回の全国大会というのはすごいなあと思うわけです。
で、2回目の全国大会は3年前。うちのシン(次男)が
ゴールキーパーで出ておりました。
そして初出場はそこから2年前。シンが1年生の時です。
その時3年生のYというゴールキーパーが、
当時1年生だったシンの憧れの先輩でした。
Yは中学校の卒業式でも卒業証書を貰うやいなや会場を振り返り
「かーちゃん、ありがとー!!」と叫ぶような先輩です。
そしてYは、うちのコタ(長男)の一個下で、
今はバイト仲間です。
中学校の頃は関わりがありませんでしたが、
バイトが一緒になって一気に仲良くなりました。
こないだの土曜日、Yのお父さんからLINEが来まして
「昨晩、Yの二十歳の誕生日をコタたちが祝ってくれたみたいで、
朝、へべれけのYをコタたちが家まで送ってくれました。
今Yは風呂場で全裸で起き上がることもできず、ただただ
『コタたち、いい仲間だ、いい仲間だありがとう』
と言っていたので、
おそらくYは覚えていないだろうから
僕がまず太朗さんにLINEしました。コタに伝えてと。
朝方(おそらくYを家に届けた10分後くらい)に、
コタが帰ってきて、私とも喋ったのですが、
全然別の会話をして、特にそのことは喋っていませんでした。
私がコタなら、「いやー、Yがへべれけになってさあ、
結局今家まで送って来たんだけど」
みたいなことを言うだろうなあと思うんですが、
言わなかったというところもなんだかよい。
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