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一人で完結することなんて本当存在しないんじゃないかと思っています。前編
IT会社 代表取締役社長 甲斐亮之さん
家族構成:妻、娘(10歳、5歳、2歳)、息子(8歳)
今回はIT会社の代表取締役社長で、現在4人のお子さんのお父さんである甲斐亮之さんです。妻が入院したことをきっかけに子育てに対する意識が大きく変わったと話されていました。結婚当初は朝の3時や4時に帰ることも珍しくなかった彼を変えたのは何だったのでしょうか。社長として、父として考えていることを語っていただきました。
聞き手:oton+to編集長 布施太朗
第1回妻が入院して感謝の気持ちがより増しました。
―志高く働くお父さんの家庭とか子育てにおける考え方とか失敗談とかを、今日伺えればと思っています。
ありがとうございます。お願いします。
―今回ご家族に関するお話ということでご家族構成をお願いします。
妻と長女、長男、次女、三女です。上から10歳、8歳、5歳、2歳です。
―お子さん4人ですか!お子さんはたくさんというお気持ちはあったんですか?
妻自身が4人兄弟でして、すごくそれが楽しかったと。だから自分も4人ほしいって言っていました。私は2人姉弟(きょうだい)なんですね。僕は2人でいいと思っていたんですよ。それなら、間をとって3人にしようじゃないかって。でも、4人目は最初予定になくてマジかって思ったんですけど、実際に産まれたらめちゃくちゃ可愛いんです。1人目2人目と比べると時間的、経済的なゆとりと親としての経験がありますから、すごい可愛く見えるんですよね。みんな可愛いんですけど、余裕を持って可愛がれるというか。3人目から顕著にそれを感じましたね。
―ご結婚までは結構お付き合い長かったんですか?
1年半ですね。会社が2005年にできて、付き合っていた2007年は創業時期のガッチャガチャした時代だったので毎日3時、4時まで働いてそれからちょっと飲んで、朝起きてという生活を土日関係なくやっていた頃ですね。
―奥様の理解があったんですね。
はい。すごく大きいですね。結婚の決め手は、妻が短大出てから保育士をやっていまして、4人ほしいっていうのは最初から聞いてたんですよ。4人ほしいとなると年齢のことを考えなければならないですよね。4人産みたいという彼女の希望を叶えられるのは今のところ自分だけであって、その希望に対して僕がNoなのだったら僕はさっさと別れて別の男と結婚してもらわないといけないな思ったんです。じゃあ、結婚しようかと。
―素敵ですね。でもお子さんが1人目、2人目の頃って創業から4、5年ですよね。
生活はすごく大変でした。妻の実家のすぐ近くを選んで住んでいたので、援助を受けられたのは大きいですね。妻は保育士として8年ぐらい働いていたんですが、他人の子と自分の子の世話をするのは全然違うようで、自分の子だと余裕がないというか、頭では分かっているけどイライラしちゃうと。特に1人目、2人目のときは大変そうでした。
―その頃のこと覚えてらっしゃいますか?
ええ、覚えてますよ。妻が1人目を産んで、長女がこっちの向きじゃないとおっぱい飲まないような、強いこだわりを持った子だったんです。立ち抱っこしてると姿勢が変になるじゃないですか、そうすると側湾症(そくわんしょう)っていう背骨がS字型に65度ぐらいまで曲がってですね。1人目で40数度曲がって、2人目が生まれて60数度まで曲がってしまって。2人目もまたこだわりを持った子で、それで歪んじゃってですね。結局手術をしました。入院して手術して退院までの2ヶ月くらいですか、妻は当然病院にいるので、僕も義理の実家に居候をして、子どもの面倒を見てもらいながらいろいろやりましたけど、大変でしたね。普段妻が一人でこれやっているんだって思うと、頭あがらないです。徹夜で仕事したほうがよっぽどマシですね(笑)
―そこで経験されているのは大きいですよね。
なので、仕事の合間に毎日お見舞いに行ったので、無意識に育児をスゲエと思ったからだと思いますね。せっかく作ったお昼ご飯とかを娘がかんしゃく起こして捨てたりとかするので、もう感情的になりました。今だったらならないかもしれないけど、当時は本当に余裕がなくて。
―お仕事との両立で意識されてたことはあるんですか?
できるだけ早く帰ろうと思いながらも帰れなかったので、やるしかないって感じでした。義理のお父さん、お母さんに遠慮とかも言ってられなくなって、育児の援助をどんどんお願いするようになりましたね
―何かの場面で、これは頼るしかないと強烈に感じたきっかけとかありますか?
仕事の電話をしながらも、そばで子どもが泣いているからしゃべるのが聞こえないとか。でもどうにかしきゃいけない、そういうときですかね。こっちはお客様と話していて、これは無理だぞ、と。もう頼るしかないと思いましたね。
―リスペクトしかない?
リスペクトしかありません。義理のお母さんも4人を育てた経験があるので、「仕事したほうが楽よね」って言われて。本当そうですよ。いくら稼ごうが絶対母ちゃんのほうが偉いですみたいな。稼げば偉いわけじゃないってのはわかりながらも、額の問題じゃないぞって思いましたね。忘れられない言葉ですね。
―素敵な言葉ですね。気付かされるというか。奥様が退院されてから変わったところとかありますか?
側湾症になってから、背骨を通すためにボルトを入れてるんですね。だから重いものとかは持てないでしょ。子どものおんぶや抱っこは自分がするようになったとか。やはりあとは感謝の念はすごく増しましたね。僕ら男がどれだけ背伸びしても進化しても子どもは産めないので。
―それが何か行動や言動に表れることはあります?
ありがとうを当たり前に言い合える家族でありたいと思っています。不健康になって初めて気付いたりするんですけど。だからこそ、ありがとう、サンキューってのを普通に言い合えるような家庭にしようねって思いがさらに増したってのが強いですかね。ありがとうの回数がすごく増えたと思います。それが伝播して子どももすごく言うんですよ。お箸取ってとか、お水渡したときでも必ず一個一個にお礼が言える子に育ってるので。挨拶がすごくできる子になりましたね。
―平日は一緒に晩御飯を食べるんですか?
夜は難しいですけど基本土日か土日の片方だけでも極力家族といるようにしています。3月末までは送りをやってたんですよ。朝の部分は極力やってましたね。長男が非常に活発な子で、興味があったらパッと走って行っちゃって、僕の言うことじゃないと聞かない時期もあったんですね。なので、園や小学校への送りは僕のほうでやっていました。
―土日はどういう過ごし方をされますか?
土日は極力子どもたちを外に連れ出してます。時間がちゃんと取れる日は近場の公園か、頻度が一番高いのは吉祥寺ですね。井の頭公園と動物園があるので。あとは水道橋のASOBono!(アソボーノ)とかの東京ドームあたりですね。あと上野動物園とか。その3つを回してるような感じですね。
―それは家族全員で?
どっか行くとか。先々週とかは上3人連れて行って、知人たち5、60人くらいで湘南で地引き網をして、そのままバーベキューしたりしました。すごく面白かったですね。私は宮崎の生まれなので海、山、川で遊んでいたこともあって、極力自然や動物と触れ合えるところに連れて行きたいんですよね。
―動物園で何を見るのが楽しいですか?
子どもは魚が好きなんですよ。鳥も好きですし、ライオンとかトラとかが隠れてるのを見つけ出すのが好きですね。あとゴリラ好きですね(笑)
―上の子は何歳ぐらいまで一緒に動物園見に行くと思います?
一番上の子はずっと一緒に行ってくれるんじゃないかと勝手に期待しているんです。すごくお姉ちゃんなんですよ。下の子たちの面倒も見ますし、家族一緒でどこかに行くのが一番楽しいって。息子に関しては中学からボーディングスクール、海外に行かせようと思っているんですね。言語の習得というよりも、まったく違う文化圏とか価値観を持った人たちとの人間関係をどう作っていくかとか、相互尊重をどうしていくかっていうのはできるだけ若いうちに学んだほうがいいなあと。家族旅行とかも極力今のうちに行かないと受験とか部活とか始まるとなかなか行けないじゃないですか。
―家族旅行はどんなところに?
先週は沖縄に行ってきました。ホテルについてるビーチ、プールで遊んだり、美ら海に連れて行ったりですとか。ホテル周りで遊ぶことのほうが多いですかね。まだまだちっちゃい子もいるのでホテルの中のプール、ビーチ、アクティビティとか。1日は美ら海水族館行きました。
―上のお姉ちゃんは下の子の面倒をよく見てくれたりとかするんですね。
食事に連れてったりトイレの世話したり。すごいですよ、びっくりしますよ。反対に下の子は結構やんちゃになります。下にいけばいくほどその傾向が強いんです。自己主張しないと叶えられないからでしょうか。3番目が一番下の時はそれがとても強かったんですが、4人目が出来るとその子のほうがもっと強くて、満たされるまで泣き続けたりしているので、譲ることを覚えるんですよね。
―お父さんとしてはどんな思いで見てるんですか?
譲るってことは相手の喜びを優先することなので、嬉しいなあと思ってますね。
第2回に続きます
今回の"オトン"なビジネスマンは、
甲斐亮之さん
株式会社ギャプライズ 代表取締役CEO
家族構成:妻、娘(10歳、5歳、2歳)、息子(8歳)
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