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お父さんはカッコいいっていう演出は無理。子どもは暴れ、嫁にはキレられ るという状況で、それでも出来るだけ嫁にキレられへんようにしながら上手く回す。これが大事でしょ。後編
「おとう飯(はん)」大使 芸人 神奈川県茅ヶ崎市 イシバシハザマ 石橋尊久さん
家族構成:妻、娘(7歳)、息子(4歳)
内閣府のお父さんによる手料理を応援する「おとう飯(はん)」大使でもある石橋さん。子育てや家事にも積極的に取り組んでらっしゃいますが、世に言う「イクメン」ではなくて、あくまでリアルなオトンの姿を大切にしてます。嫁にキレられながら日々を過ごす“かっこ悪いオトン”は、逆にオトン達の共感を呼ぶのではないでしょうか。そんな話や生まれて初めての炎上、湘南への移住話を色々と伺いました。後編です。
聞き手:霜鳥正隆(oton+to編集部:青山お父さん大学卒) 写真:布施太朗
第2回すぐゴメンと言わんようにしているんですよ。 どんだけ綺麗にゴメンと言えるのかだと思ってるんですよ。すぐゴメンと言ったら「ごめんと思ってないやろ」ってなるじゃないですか。
―ワキの甘さで家庭で失敗していることは?
基本、失敗してます。
そもそも、おとう飯をやるにあたって方向性を決めさせてもらったんです。僕、イクメン系のイベントに行って腑に落ちないことが多かったんです。
宣伝もあるかもしれないんですけど「iPad使って寝る前に絵本読んであげてるんです」とかロン毛の髭のお父さんが言うんですけど、僕からしたら「いやいやいや、寝る前にiPadなんか触らせたないやろ」って思うんです。そんなんし出したらテンション上がって寝えへんでって。
あと、例えば「次の写真を見てください。これは、僕が休みの日に僕が7時間かけて作った『ビーフストロガノフ』です」って言うてるんですけど。
「な、な、7時間?!」何言うてんやろ。7時間なんかコトコトやった日には、嫁と大ゲンカですよ。全くリアルじゃないなぁって。それでさりげなくリビングが出てくるんですけど「え、年収なんぼもろてんの?トレンディドラマのこんな家まだあんの?」って思うんです。
―トレンディな部屋だったんですね(笑)。
なんか全然リアルじゃないんすよね。僕の貧乏芸人の日常とかけ離れ過ぎてて、「そんなんは嫌です。」って言ったんです。もっとリアルな、自分のある身近なものにしたい。だから、例えば僕のレシピではショウガとか全部チューブなんです。擦っている時間がもったいないし、だから時短にしましょうって。そういったものを最初にめちゃくちゃ言わせてもらったんです。
―なるほど。
お父さんはカッコいいっていう演出は無理。嘘つきたくないんですよ。もっとリアルに、子どもは暴れ嫁にはキレられるという状況で、それでも出来るだけ嫁にキレられへんようにしながら、上手く回す。これが大事でしょと僕はずっと思っているんです。
―すごく、分かります(笑)。
だから、リアルじゃないことはしたくない。やめてくれ押し付けがましいって思ってしまうんです。お父さんカッコいいってそんなわけないがな。だいたい世のお父さんカッコ悪いよと。
―やってしまったなぁということはありますか?
そんなん日々ですよ。でも、教えてもらうことのほうが多いですね。身近な世間が嫁だと思ってるんです。嫁の言っていることが、大分自分の中で世間の窓口になってます。でもとりたててやってもうたというほどの何かは無いですね。
―喧嘩はされることあります?
まぁ、キレられることが多いですけどね。小さいことですよ。「これ言うたやん」みたいな。「洗濯物ここにおかんといてって言うたやん」、「風呂場の端っこザラついているけどこれ」みたいな。
それは、もう、すぐゴメンと言わんようにしているんですよ。
どんだけ綺麗にゴメンと言えるのかだと思ってるんですよ。すぐゴメンと言ったら「ごめんと思ってないやろ」ってなるじゃないですか。
だから、あえて一回ね、ゴメンと言えるんだけど、言わないんです。
―重みを熟成させる?
そうですそうです。一番いいタイミングでゴメンって言う。そうしないとゴメンと言うタイミングも逃してしまうんですよ。
―お子さんに怒ることはありますか?
ルールというか、人にこういうことやったらあかんよとかは言うくらいですかね。でも、出来るだけ僕は言わんようにしてます。基本的には嫁が。
―それは役割分担をしてですか?
なんとなくそうなりましたね。ホンマにあかんことは言いますけどね。
なんかね、昔ね、嫁が娘をエライ怒ってるんで、「それは、怒こりすぎや」って言った時に嫁から「ほっといてくれ。女同士に入ってこないでくれ。女として怒っている」と言われたんです。
その時僕は「なるほどなー」と思って、それからは息子に対しては僕が出来るだけ言おうと思うようになったんです。
―”我が家の独自のルール等”があれば、教えてください。
僕の中のルールは、うまいこと謝るですね。あと、皆んなで決めたのは、夜や休日はバラバラなことが多いので、朝は皆んなで一緒に集まりましょう。出来るだけ皆んなで食卓につくことを決めました。
―どんなお父さんなのか?盛り上げるお父さん?
そんな、張り切ってないですね。自然ですね。なんせ子どもが朝弱いので、朝から子どもがキレてる。朝ごはんをつくってから起こしに行きますね。
―子どもに、ひとつだけ教える(伝える)としたら、何でしょうか?
娘は、お母さんの言うことをよく聞きなさい。間違いないやろう。と思ってます。息子、娘は共通ですけど、僕の自分のテーマでもあるんですけど、人が色んなものを運んできてくれている気がするんです。人を大事にしてください。
―それは石橋さんご自身が思っていること?
そうですね。でも、若い時はそんな風に思っていなかったですけどね。
地方で何がお金になっているかなって考えた時に、第一次産業でモノ作って、売ってお金になる。じゃぁ、東京・首都圏ではどうかというと、モノというよりかは、どんだけ人を知っているか、どんだけ人とつながっているか。自分の仕事を広げたり、人生を豊かにするにあたって、人以外のものは見当たらないという感覚になったことがあるんです。
上京してきて、どうしてもうまくいかない時。自分のことばっかり考えている。その辺をサボっていたと思う。
インスタとかもそうなんです。人に言われたら、とにかく全部やるようにしたんです。
今までは口癖は「いやっ」とか言ってたんです。いらんプライドが多かったんでしょうね。
そんなんは子どもにはいい伝え方をしたいですね。人付き合いで人生は変わるのではないかと考えているんです。実際に自分が変わったし。
―石橋さんのお父さんはどのような方だったのでしょうか?
厳格と言いますか、うちの父親は地元の漁師の息子なんですね。兄弟も多くて、8人兄弟の下の方ですから、もう金が無かったらしくて、高校も定時制高校しか行かせてもらえなかった。なので、勉強したかったけど、勉強が出来なかったみたいです。いまだに大学にはいってみたいと。
だから僕にはとにかく勉強をして、いい大学に行けと。スパルタでした。
中学校1年生最後の期末テストで300人中2番だったんです。でもどうしても1番にはなれなかったんです。
1番はバスケットボール部のキャプテンで、めっちゃ男前だったんですよ。僕、必死になって勉強してたのに、彼は部活して、女の子にキャーキャー言われてサラッと1番を獲る、心が折れたんです。
そっからです。勉強も一切しなくなったですね。
―そんなお父さんから受け継いでいることはありますか?
よう似てますね。何でしょうね。短気は短気で、すぐにイラッとすることはあるんですけど、そこが似てますね。僕なりにそこは抑えようと思ってますが。
―そのスキルは、どのように培ってきたのですか?
単純に年齢だと思いますよ。
親父が僕を生んだ歳と全然違うんですよ。僕は親父が27歳の時に生まれているんですけど、僕は一人目が35歳とかで生まれているです。
親父めっちゃ怖かったですけど、よく分からなかったんだと思います。仕事もせなあかんし、若いし。
僕の27歳を考えたら、クソガキですから。そこで子育てをしていたのはよう尊敬します。27歳なんて、女の子と遊ぶことしか考えてないですから。
―「子育ては●●●である」なにが入りますか?
子育ては勉強である。
一緒に育っている感じはありますね。子どもが知っていることは世間一般でも知っていることなんだなと。そういうふうに思ってます。
―「おとう飯大使」としてオトンへ伝えたいことはありますか?
とにかく、料理をしたことが無い人は簡単なものでいいのでやってみてください。
一度でも成功したら、イメージがつかめるので。
インスタなどには簡単な手順を載せてますから。鶏モモ入れて、調味料入れて、レンジでチンすればできますから。これでこの味の感じなんやと一回でも思ってもらったら、イメージが持てるので。
自分の晩酌のあてぐらいはちゃちゃっと作れるようになるイメージですかね。
そういうお店をやりたいですね。
働き方改革みたいなものも僕はリアルじゃないと思っていて、同じ能力があって、付き合いをするやつとしないやつでは、付き合いするやつに仕事をやると思うんですよ。
じゃぁ、付き合いするじゃないすか。
そしたらせめて、飲みに行った時に一品作るシステムの店をやりたいんですよ。レシピと材料を渡すんで、これで作って、覚えて帰ってもらう。
―どの辺りで出しましょうか?
まずは茅ヶ崎でやりたいですね。
どうせ付き合いするなら、一品覚えて帰ってください。
今、もつ鍋のお店とかもやってるんです。肉ミンチがのって「台湾もつ鍋」と言ってますが、全く関係無いんですよ。
―また、台湾で炎上したらいいですね。
まぁ、炎上は難しいですけどね(笑)。
今回のインタビューは、湘南T-siteにある「KURA_THINK(クラシンク)※」さんのご協力の元、会場をご提供いただきました。不定期ですが石橋さんはKURA_THINKさんで料理教室もされています。
関連リンク
取材協力:KURA_THINK(クラシンク)
※”KURA_THINK(クラシンク)は、湘南T-SITEにあるパナソニックのでんきやさんです。 家電を通じたより良いくらしを提案すると同時に、お客様とともに新しいライフスタイルを創造していく場です。 家電製品の実体験に加え、コミュニティスペースの提供やくらしサポートサービス、食・健康・美容に関するイベントを実施しています。
今回の"オトン"なアーティストは、
イシバシハザマ 石橋尊久さん
よしもとクリエイティブエージェンシー 「おとう飯(はん)」大使 芸人
大阪府出身。
家族構成:妻、娘(7歳)、息子(4歳)
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