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父の失敗・悩み・たわごと

2022.9.14

右側のドアが開きます。

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右側のドアが開きます。

アナウンスの後に電車が止まり、

予告の通り右側のドアが開きました。

私の目の前の席で爆睡していた女性が
ガッと目を覚まし、
席を立ち、ドアの方へ駆け出しました。
左側のドアへ。

閉まっているドアにぶつかる前に振り返り、
背後で開いた右側のドアへと駆け出します。

カバンから何かが落ちました。
100円ボールペンのようです。
どこかの量販店では60何円で売っているものかもしれません。

落としたことに気づいたその女性、
ボールペンに一瞬目を止めるも
再び振り返りドアへ向かおうとする時、

私はつい、目の前に転がったそのボールペンを掴み
つい女性に声をかけます。

「あの、、、」

女性は再び振り返ります。

「ボ、、、」

私が言いかけ、同時にボールペンを差し出そうとするも
すぐさま私に背を向けドアの外へ駆けて行きました。

彼女が私の声かけを無視し、ボールペンを見捨てた瞬間です。

わかります。ボールペンを受け取ってしまうと
電車を降りそびれてしまうことが決定的だということは。

彼女はドアの向こうへ無事に出ようとする。
ドアは閉まろうとしています。

でも私は諦めない。

閉まりかけのドアの隙間を狙い
ボールペンを外へ放り投げました。

ボールペンは無事、ドアをすり抜けホームへと。
よかった。

しかし彼女は行ってしまいました。
振り返ることもなく。

ボールペンはホームの床に転がったまま。
電車は動き始めました。

私はいいことをしたはずです。
というか、そんな貢献感で締めくくりたい。

でもそれは彼女のためなのか。
ボールペンのためなのか。
はたまた諦めなかった自分のためなのか。

いや違う、あの隙間を通した自分のコントロールでした。
自己満足ですね。

そして車内にはまたアナウンスが流れました。

右側のドアが開きます。

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