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ブックオフで息子に“ビジネス”を教えたら、やる気のスイッチが入りました。
マーケティング会社 役員 茨城県つくば市 赤尾雄司さん(47歳)
家族構成:妻、息子(小5)、息子(小2)
聞き手:oton+to編集長 布施太朗
―お父様の影響は強いですか。
母親も含めてですね。
―親御さんの中に、赤尾さんがこうありたいという姿があるんですね。
親父は以前、事業をやっていたんです。でもそれがうまく行かなくなって親父と一緒に暮らせない環境になったんです。そして母親は日々働いている訳です。一緒に暮らしている母は土日もいなくて。でも、帰ってきた瞬間に優しくしてもらったりとか。忙しい中でも勉強を見てくれたりとか、そういうのはなんでしょうね。今でもその感覚はずっと残っています。
―お母様とのことで特に忘れられないシーンってありますか?
私が小学生のとき、たまに母親と一緒に電車に乗ると、隣に座っている人に営業するんですよ。普通に声かけて。小学生の自分としてはとても恥ずかしいんです。だから「やめてよ」って言ったときに母に言われたんです。「生活するために必死で頑張るのは当たり前だ。だから恥ずかしいことじゃない」と。その時はピンとこなかったんですけど、後になってその言葉が蘇ってきました。この言葉は歳を重ねるごとに大きくなります。
私たちの世代だと、仕事というのはやりがいだとか自己実現ってことになるじゃないですか。マズローの欲求段階でいうと上のほうですね。それはそれで大事だと思うんですけど、母親が言っていた、“食べていくために逃げない”という強さが大事だということは忘れてはいけないと思うんです。
日本より経済的にも恵まれていない国の人のほうが目の力があったりするじゃないですか。彼らはたぶんやりがいとか自己実現なんて言わないですよね。みんなでごはんを食べる嬉しさとか、仕事が見つかった喜びとか、そういうところからポジティブですよね。
私もそうですけど、日本は豊かになりすぎて、心の病とか、恵まれているのに悩んでいるとか。大人がもうそういう状態ですよね。もっと食べていくために働くとか、働けること自体が幸せっていう教育もすごく必要なんじゃないかと思うんです。やりたいこと、自己実現、キャリアのことばかり追いかけると心の病の時代になってしまうんじゃないかという気がしていて。だから昔ながらの強さがもっと必要なんじゃないかと。
―そういう強さを子どもたちにはどう伝えていけばいいでしょうか。
そこが一番難しいテーマです。口で言っても分からないですよね。小学2年生とかって(笑)。でも口で言っても伝わらないことを伝えるために、自分なりにやっていることがあるんです。
―自分なりにやっていること?
子どもが読みたい本を、本屋に買いに行きます。読んだ後、日曜日にブックオフに行くんです。そこでこないだ買った本を子どもに売らせるんです。で、「幾らだった?」って。「150円だった」本屋で1300円で自分が買った本をブックオフは150円で買うんだと、子どもは思うわけです。その翌週、またブックオフに連れて行くんです。「こないだ150円で売った本が並んでいるから、見に行こう」と。子どもが売り場を見て「700円で売ってる」と。そこで私が「これどういうことか分かる?」って訊きます。子どももはじめはピンときていないんですけど、「オレが1300円で買って、1回読んじゃったから値段が下がって、それをブックオフが150円で買って、それを今度は700円で買う人がいる。ブックオフは550円儲けているんだ」と。そこで私が「ビジネスってこういうことなんだよ」って言います。私の親父は自営業だったんで、親父の働く姿が見えていたんです。でも私は普段、東京に出て働いているので、子どもに働く姿を見せることはありません。でも、こういうことを見せることで、仕事ってそういうことだということを教えています。「ブックオフはその儲けたお金でここの家賃やお給料を払っているんだよ、それが“食って生きていく”ってことなんだよ」と。で、「じゃあ仕事で大事なことって何?」さらに子どもに訊くわけです。そしたら「仕入れを安くすること」って(笑)。意味はまだそこまで分かっていないんですけど、ブックオフが700円で買っちゃうと売れなくなる、儲けがでないんです。だから150円で買うことが大事で、それが100円だったらもっといいよねって。(写真:近くの公園でラグビーや野球の練習)
今回の"オトン"なビジネスマンは、
赤尾雄司さん
トレンダーズ株式会社
岐阜県 可児市出身。
家族構成:妻、息子(小5)、息子(小2)
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