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ブックオフで息子に“ビジネス”を教えたら、やる気のスイッチが入りました。
マーケティング会社 役員 茨城県つくば市 赤尾雄司さん(47歳)
家族構成:妻、息子(小5)、息子(小2)
“オトン”なビジネスマン第13回は、マーケティング会社役員の赤尾さんです。勤務先は東京の恵比寿。もともとは教員志望だった赤尾さんが子育ての場所として選んだ街は茨城県つくば市。週末は、近所の子どもたちとマラソン対決をしたり、自らが考えた独自の実践教育で、学校では教えてくれない “ビジネスとは”ということをブックオフで伝えたり。それがきっかけで息子さん、やる気のスイッチが入ったそうです。
聞き手:oton+to編集長 布施太朗
―よろしくお願いします。
よろしくお願いします。早速なんですが、私、平日の夕方の風景を見たことがなかったんです。
―平日の夕方の風景?
はい。今から8年ほど前でしょうか。上の子が3歳のときです。いつもは家に帰るのは夜中になってしまうんですが、平日、仕事を早く終えて、幼稚園の迎えにはじめて行ったときのことでした。子どもと一緒に帰るとき、まだ親が迎えに来てくれるのを待っている子がいるんです。それを見たとき、なんか衝撃だったんです。お母さんが迎えに来てくれるのを待ちながら最後のひとりになっている子どもの気持ちや、そんなふうに最後のひとりになるまで子どもを残しているという状況で迎えにいくお母さんの気持ちを想像してしまって。
―そういう夕方のシーンというのは、それまで想像していなかった世界なんですね。
平日の夕方、私の目の前には仕事の世界が広がっています。自分が取り組んでいる事業という景色は思いっきり見えているんだけど、実はそれは一部の狭い世界で、その裏側には、保育園に迎えに行くという世界があるんだなと。
―なるほど、そうですね。同時にお母さんや子どもたちの時間が流れていますからね。
そうなんです。その景色を見ていない男性は多いんじゃないかと思うんです。女性の社会進出と言っていますけど、男性はその景色を見たほうがいい。そうすると意識が変わると思うんです。保育園にひとりになるまで待っている子どもと、迎えにいくお母さん。いつもその景色があるんです。「こんなに子どもを待たせてしまっている」お母さんは毎日そういう気持ちで働いているんだなと。だからそういう思いをしているお母さんの気持ちに寄り添わなければいけないと感じたんです。そこからですね、私自身変わったのは。
―赤尾さんは変わったんですね。
はい。以前は、「子育てでは怒らない」ということを私は徹底していたし、妻にも求めていたんです。だけど、母親は子どもと過ごす時間が私より断然多いので、どうしても苛立ってしまうこととか、子どもに苛立っている自分に対してまた苛立つとか、そういうことは当然あるもんだと気づいてから、ようやく妻の気持ちにようやく寄り添えるようになったんです。「そりゃ苛立つこともあるよな」というスタンスになりました。
―奥様、お母さんの気持ちが分かるようになったと。
そうですね。結局そこを分かっていなかったら、いくら女性の社会進出、活躍だといっても、本質的にはそういう社会になっていかないと思うんです。常にバランスをとらなければならないのが女性なので。だから、まず男性も体験することが必要だと思います。
確か5~6年前でしょうか。前職のときの女性の部下に子どもができたんです。彼女は非常にキャリア志向が強く早く昇進したかったんですね。だから1歳に満たない時に「復帰したいです」という話がありまして。そこで私は「働いてもいいけれど、たとえば子どもが病気になった、ご主人は仕事、君はどうする?」と。すると彼女は病児保育があると言ったんです。私もそういうものがあるのは知っているんですが、「だけど、1歳に満たない子を病児保育に預けて、預ける時に子どもに泣かれて、それでも君は子どもに背を向けて仕事に行くという覚悟をすることになるんだよ」という話をしたんですね。そしたら彼女、復帰を留まったんです。それから数年後に彼女は復帰してマネージャーに昇進しました。「その時の時間はその時しかないですね」と言っていました。仕事の復帰を遅らせて子育てに専念したことは、決して遠回りではないと気づいたんですね。それがよかったなあと。
今回の"オトン"なビジネスマンは、
赤尾雄司さん
トレンダーズ株式会社
岐阜県 可児市出身。
家族構成:妻、息子(小5)、息子(小2)
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