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子育てはサーフィンのようなもの。あの時のあの波が、一生の思い出になります。【連載第1回】
車買取専門フランチャイズ運営会社 経営 神奈川県藤沢市 新佛千治さん
家族構成:妻、息子(小4)、息子(小1)
“オトンな流儀とか”ビジネスマン編。今回は湘南、辻堂にお住まいの新佛さん。地元の海をこよなく愛する2人の息子さんのオトンです。サーフィンは大会で優勝するほどの腕前。海に入れば知り合いがいて、今ではご自身が経営する会社もここ辻堂。オンもオフも境目がないんですという新佛さんにお話を伺いました。全3回でお届けします。
聞き手:oton+to編集長 布施太朗
第1回地域で地元で、みんながハッピーになるように。
―今日はサーファーオトンの新佛さんに、海に近い公園の芝生の片隅でインタビューさせていただきます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
―男の子が2人ですね。
はい。あとフラットコーテッドレトリバーっていう犬が一匹います。まだ一歳なんですが30kg以上あります。
―ここ辻堂に住んでどれくらいですか。
10年です。
―海に行くと知り合いばっかりですか。
そうですね。ここにいると知ってる人が通るんじゃないですかね。
―ちなみに辻堂に住む前はどちらに?
東京の恵比寿に住んでいました。
―サーフィンはいつから始めたんですか。
波乗りは大人になってからですね。もともとはサラリーマンをやりながらウインドサーフィンを鎌倉で始めたのがきっかけです。その流れで何となくサーフィンもするようになったんですが、ちょっとウィンドサーフィンを極めようと思って20代の頃、一度会社を辞めて、ハワイのマウイ島に行ったこともありました。
―ウインドサーフィンを極めに?
僕のファーストキャリアはメーカーでの営業だったのですが、営業成績で全国で表彰されるくらいまで行ったら、一旦仕事は休憩して、次はウインドを極めよう、自分の限界に挑戦してみよう。みたいな感じです。そんで決意して、営業やるぞ!と思ってやったら、割とすぐにいい成績が出て、全国でランキング上位とかに入っちゃって、やりきったかなと。その頃は全国の営業の販売ランキングが各支店にFAXで速報されるという時代。吐き出されるFAXを見て、お、オレ今2番じゃんって(笑)それでわずかな退職金を元手に翌月からハワイのマウイ島に行きました。
10月くらいからマウイ島のノースショアにも冬の大きな波が入り始めるんですが、その大きな波に乗るために4月ぐらいから行って準備をしました。まだ冬の名残でサイズのある波がある春、とにかく風が吹く夏、そしてちょっと風向き等が不安定になる秋と、同じポイントで一途にひたすら練習しました。
たしかその年、1996年だったと思うんですが、ファーストスウェル(冬の大波シーズン到来を告げる北からのシーズン最初の大きなウネり)がハロウィンの前くらいに入ってきました。
実際目にしたら言葉にならないくらい衝撃的で、世界が違うと。でもいつもやってる場所だし、そのために準備してきたから、大丈夫かなって。ほとんど無風か弱い岸からの風の中、押し寄せる巨大なうねりに向って離岸流を使ってひよひよと沈みながら沖に出た不安と恐怖は今でも鮮明に思い出せますね。本当に恐ろしかったです。沖に出たら出たで、なにせ波が大きいので、うねりとうねりの間にウインドのセイルごとマストトップまですっぽり入っちゃうから、風もなくて、音もしなくて、晴天なのに暗いんです。うねりに囲まれている状況なので、どっちが岸かもわからない。
それで前のうねりが波になって崩れると、ぶわーっと視界が拡がって、自分が今、まさに、次の波の一番盛り上がっているピークという場所にいる。でも岸からの風(オフショア)が波に沿って下から上に増幅されて吹いてくるから、なかなか板が滑り出していかないんですよね。みるみる波に持ち上げられて、ここでビビったら終わりだなと感じた時、板が下を向いて走り始めました。
その波で板が滑り始めた時の波のフェイスが光を受けてキラキラひかる景色、波の凹凸、硬さ、感触、匂い、音、すごく鮮明に覚えています。その日、乗ったのはその波一本だけでした。自分を自分で押し上げ、チャージして、自分自身の限界を見たんです。
それ以来、そういえばウインドはやっていませんね。相対的に見ると、大して大きくない波かもしれないし、技術的にも未熟であったと思いますが、本当に、自分自身でやれるところまでやりきった事実。それは一つの自信になっていますね。
―ずっとハワイに住み続けたいなと思いませんでしたか。
あんまり外国好きじゃないんですよね。僕、英語が喋れないので。できれば湘南がいいです(笑)。
―ハワイから帰ってきて、お仕事は?
ハワイから帰ってきたら当然無職でニートですよね。でも無駄に夢と希望を持っていて、弁当の配達をしながら、絵描きみたいなことをやって、デザインの勉強をしていました。次は広告で一流になるぞ!みたいな典型的な勘違いなんですが(笑)でもその勘違いも突き抜ければなんとか道は拓けるもんで、うまいこと広告関係の出版社に入社してエディトリアルデザインを中心に編集業務の仕事をするようになりました。電通、博報堂のクリエイターを中心に、一流といわれる人たちの現場を若いうちに垣間見れたことは大きかったですね。それから今度は自分が一流になる番だ!と、これまたうまいことプレゼンしてリクルートに入りました。この頃はコピーライターとしても仕事させてもらっていましたね。だんだん新卒の採用ブランドづくりを中心に自動車メーカー等の大手クライアントを任されるようになり、独立。東京の青山で広告制作会社を立ち上げました。社員もいて順調だったんですが、リーマンショックの後、広告の単価も下がり、スタッフの若い子たちにビジョンを示しづらくなってきたんですね。なんか面白くないぞと。そんな時、新規事業として中古車の輸出を始めてみたんです。
―広告のお仕事をされてから、中古車の輸出とは大きな変化ですね。
輸出ってグローバルじゃないですか(笑)。それに比べて広告はすごくドメスティック。その頃、なんとなくグローバルがブームのようなところがあって。
【第2回】「 平日は朝、休みの日は一日中、知り合いのたくさんいる海にいます。」 に続きます。
関連リンク
今回の"オトン"なビジネスマンは、
新佛千治さん
株式会社ハッピーカーズ 代表取締役
広島県出身。
家族構成:妻、息子(小4)、息子(小1)
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