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お父さんの絵本ガレージ

2021.7.12

【第3回】輝く!絵本ガレージ大賞!!

こんにちは。今回は「第3回、輝く!絵本ガレージ大賞!!」を発表させていただきます。

oton+toで連載をしている「絵本ガレージ」では、昨年から非認知能力を育む絵本をテーマに「想像力編」「自己肯定感編」「コミュニケーション力編」と、おすすめ絵本を紹介してきました。

今年で3回目となる「輝く!絵本ガレージ大賞!!」。どこかで聞いたようなフレーズであることは、3回目となっても否めませんが、これまで紹介させていただいた絵本の中から、選書をされた近藤麻智子さん、ブックハウスカフェの茅野由紀さん、そしてoton+toの布施が協議を行い、大賞1作品、部門賞3作品を選出しました。

まだまだ不安定な世の中ではございますが、受賞したこれらの絵本、ご家族でぜひ!

 

◆絵本ガレージ大賞

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『きはなんにもいわないの』

作:片山 健 

出版社:復刊ドットコム 発行年:2014年

対象年齢:4歳くらい〜

すーくんは、お父さんと出かけた公園で「おとうさん きになって」とおねだり。木になりきったお父さんは、すーくんが登れなくても、虫が出てきても、ただ黙って見守ります。なんとか自力で登った“ お父さんの木 ”の見晴らしは最高です。そこに女の子もやってきて……。

片山健さんが描く、みずみずしく風通しのよい水彩画が心に残る一冊。ブックハウスカフェでのイベント「絵本ガレージBar」で紹介すると、あるお父さんの家で『きは なんにも いわないの』ごっこが流行ったそう。父子ならではのダイナミックなふれあい遊びを楽しんだ後には、公園などで木登りにも挑戦するようになったとのこと。「お父さんの絵本ガレージ」の連載やイベントは、「父子で絵本の世界を共有し、楽しんでもらいたい」「リアルな世界の遊びにつながったら、なおうれしい」という思いで継続しています。昨年から続くコロナ渦で、期せずして父子で過ごす時間が増えたご家庭も多いなか、とてもうれしいエピソードでした。

2014年に復刊された名作絵本。残念ながら、現在(2021年7月)はまた絶版に。なかなか手に入らない作品になっていますが、それでも第3回絵本ガレージ大賞に決定いたしました。再びの復刊を願って……!

コメント:近藤麻智子

 

◆父子のかけあいが素敵で賞

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『オレ、カエル やめるや』

文:デヴ・ペティ 絵:マイク・ボルト 訳:小林 賢太郎 

出版社:マイクロマガジン社 発行年:2017年

対象年齢:4歳くらい〜

「お父さんの絵本ガレージ 自己肯定感編」でご紹介した一冊。ある日の「絵本ガレージBar」にて、度々足を運んでくださっているお父さんが、おすすめの絵本として読み聞かせをしてくれました。「あのさ、おとうさん。オレ、ネコになることにするや」「え?おまえはネコにはなれないよ」「なんで?」「そりゃおまえがカエルだからだよ」。カエルのお父さんと息子の陽気なかけあいが魅力の絵本ですが、父子でセリフをアレンジして楽しんでいるとのこと。替え歌ならぬ、替え絵本!一冊の絵本をきっかけに、父子で想像力と創造力を膨らませ、とことん遊ぶ。なんて自由で、豊かで、楽しい時間なのでしょう!きっとお互いに忘れられない絵本になりますね。

「どんな絵本を読んだか」以上に「どんな時間を過ごせたか」が大事……ということに、あらためて気づかされたエピソードでした。父子の絵本時間、これからも様々な体験談を聞けることを願いつつ。今後の連載もパワーアップして参ります!

コメント:近藤麻智子

 

◆ブックハウスカフェ〜棚で光を放ち続けたで賞〜

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『ウエズレーの国』

作:ポール・フライシュマン 絵:ケビン・ホークス 訳:千葉茂樹 出版社:あすなろ書房 対象年齢:小学校低学年くらい〜

人気のあるスポーツも、ポピュラーな食べ物や飲み物も、興味なし、服装もみんなとどこか違う。そんなウエズレーのことを人は「変わってる」という。そんなウエズレーが、夏休みに自由研究として作ろうと思ったのが、なんと自分の文明。自宅の庭で壮大な構想「自分だけの文明」を作るために、ウエズレーは発明と工夫を凝らします。秘密基地のワクワク感やロビンソン・クルーソーの世界観にも似た、夏の訪れとともに思い出すこの絵本。この本は驚くほどいろいろな視点で読めるのが面白さの一つと思いますが、私はなんといっても、ヒューマンライツの観点からこの絵本推しです!どんな環境にいても、頭の中は誰にも邪魔されない自分だけのスペース。この頭の中=想像力によって、人はどこまでも可能性をのばしてゆける。他人の偏見や、数の暴力、理不尽なことにもひるむ必要がない、自分だけのサンクチュアリを大切にする。

と、まずは自分で自分を大切にすること。

ウエズレーがさらにすごいのは、自分をしっかりと持ちながらも、まわりの人たちをうまく受け入れてさらによいものに仕上げて行くこと。自分を大切にすることと、他人を大切に思うことは両立する、という観点からも、うまく書かれていて見逃せません。これらは、人権を考える上でとても大切だと思うのです。

1万冊並ぶ棚の中で、光を放ち続ける絵本です。

コメント:ブックハウスカフェ ちのゆき

 

◆oton+to賞

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『けんかのきもち』

文:柴田愛子 絵:伊藤秀男 

出版社:ポプラ社 発行年:2001年

対象年齢:5歳くらい〜

いやあ、これは自分が子どもの時の気持ちを思い出します。小学校に入る前のときのことを。まさに取っ組み合いの後のけんかのきもちです。1番の友だちのひろとくんとの取っ組み合いでした。ひろとくんはかっこよくて、いろんなことを知っていて、遊び方もスマートで(子どもの遊びでこんな言い方しないか)、足も早くて、いつもモタモタしている僕をリードしてくれる友だちでした。でも、その日、取っ組み合いを仕掛けたのは僕のほうでした。空き地に大きな水たまりがあって、ひろとくんが水たまりの真ん中にあった木の板か何かを指差して「ここに足乗せたら渡れるよ」と言ったので、僕がそこに足を乗せたら、板が沈んでしまい、泥水にベッチャリハマってしまったのです。「べちゃべちゃになったじゃないか!」僕はひろとくんに突っかかって行きました。ひろとくんもはじめは応戦していたのですが、僕があまりに怒って押し倒して「あやまれ!あやまれ!」と怒鳴るので、「ごめん」とひとこと、ひろとくんが言いました。その言葉を聞いて、掴んでいたひろとくんを離し、僕は家に向かって歩き始めました。ひろとくんはずっと後ろの方を歩いてきます。立ち止まって振り返るとひろとくんはしょんぼりと止まります。お互い距離を縮めず歩き続け、ひろとくんと何も喋らず家に帰りました。そして、遅れてひろとくんも僕の家に帰ってきました。ひろとくんのお母さんが、ひろとくんと一緒にウチに遊びにきていたからです。僕はその時何があったかは言わなかったのですが、ひろとくんは泣きながら親にいったそうです。いつもはおとなしい僕のほうが殴りかかっていったのを2人の親が知って、不思議がっていたようです。

ちょっと後になって考えたら、別にひろとくんも僕をだましたわけではなかったし(ひろとくんはすんなり渡れたし)、なんなら僕がどんくさいからべちゃべちゃになったというだけのはなし。そんなに怒ることじゃなかったと、後になって思いましたが、そのことはちゃんと謝らずに、僕の家は引っ越してしまいました。この絵本の内容とはいろいろ違いますが、なんかけんかのあとのザワザワした気持ちを思い出したのがこの絵本でした。

コメント:oton+to布施太朗

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