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お父さんの絵本ガレージ
2022.5.17
【第4回】輝く!絵本ガレージ大賞!!
こんにちは。今回は「第4回、輝く!絵本ガレージ大賞!!」を発表させていただきます。
毎回、非認知能力を育む絵本をテーマに絵本を紹介してきました「絵本ガレージ」。
昨年度に紹介させていただいた絵本の中から、選書をされた近藤麻智子さん、ブックハウスカフェちのゆきさん、そしてoton+toの布施が協議を行い、大賞1作品、部門賞3作品を選出しました。
受賞したこれらの絵本、ご興味ある方、ぜひ!
◆絵本ガレージ大賞
『地球をほる』
作:川端 誠 出版社:BL出版 発行日:2011年
対象年齢:6歳くらい~
子どもの頃、学研のひみつシリーズという本が好きでした。なかでも「できるできないのひみつ」という本は学校の図書室で何度も繰り返し読みました。その中でも一番好きだったはなしが、地球の裏側まで穴をほれるか?というもの。正確には地球の裏側まで穴を掘って荷物を届けることができるか?だったかと思います。裏側まで掘るにはマントルを通っていくという、えらくワクワクしたことを覚えています。
今回、大賞を受賞した「地球をほる」は、まさにそんなはなしです。読みすすめていくうち、いや、堀りすすめていくうち、穴のまわりに埋まっているものたちもなんともロマンで、インディージョーンズのようでもあります。地球の中心を超えるあたりからの絵本の仕掛けも楽しく、そして最後のオチもさすが!私はなぜだかグッときてしまいました。これは冒険好き、落語好きオトンにはたまらん絵本。こちらを絵本ガレージ大賞とさせていただきました。
コメント:布施太朗
◆父子の声が胸に響くで賞
『はるのひ』
作:小池 アミイゴ 出版社:徳間書店 発行日:2021年
対象年齢:5歳くらい~
ことくんがお父さんの畑のお手伝いをしていると、森の向こうにけむりがのぼるのが見えました。 けむりの正体を知りたくなったことくんは、ひとりで走っていきます。「とーちゃん、おーい」。途中で何度も振り返って、お父さんを呼びます。「おーい」とこたえるお父さん。父子が何度も呼び交わす声が、胸に迫ります。春の夕暮れ、男の子の小さな冒険物語が、美しい色彩でドラマチックに描かれています。
この絵本を初めて読んだとき「ことくんはわたしだ・・・」と、痛切に思いました。きっとこんな風に、自分の目標に向かって進みながらも、不安になった時、こわくなった時、後ろを振り返っては、大きな愛で見守ってくれている親に支えられてきたのだ・・・・・・。気づけば走馬灯のように、様々な思い出が蘇ってきました。作者の小池アミイゴさんは、数年前の春にお父様が亡くなられ、実家に帰るまで、これまで生きてきた自分の記憶を辿りながら、遠回りをして歩いたそうです。その時の光景が表紙の絵に反映され、季節も春に決まったとのこと。
非認知能力を育む絵本 「忍耐力」編でご紹介した一冊ですが、他にも「目標に向かう力を育む」「自己肯定感を育む」など、くり返し読むうちに自然と育まれる力が、幾重にも備わっています。あなたならどんなことを感じるでしょうか。これからも、たくさんのお父さんに紹介していきたい絵本です。
コメント:近藤麻智子
◆ブックハウスカフェ〜生きる力がわいてくる賞
『はちうえは ぼくに まかせて』
作:ジーン・ジオン 絵:マーガレット・ブロイ・グレアム 訳:森 比左志 出版社:ペンギン社 発行日:1981年
対象年齢3歳くらい〜
主人公トミーは、家のベルにまだ背伸びをしなくては届かないくらいの年の男の子。忙しくて夏休みにどこにも連れて行ってあげられないパパがトミーに、なんでも好きなことをしていいと言いました。そこでトミーがやった好きなことって・・・なんと、夏休みに旅行に出かけるご近所さんの鉢植えを預かって世話をすること!しかも一日一個で2セント!
この本は半世紀以上も愛され続けているロングセラーです。トミーの無邪気な可愛らしい部分と、実直な行動力、そして全編に散りばめられたユーモアとで、子どもに(大人にも)元気をくれる本です。今考えると、サブスクの走りのようなトミーのアイディアは素晴らしい。でも、あくまでも、鉢植えを育てることが何よりも好きな気持ちから生まれたアイディアというところがポイント。好きを仕事にして、光り輝くトミーに、最高のハッピーエンドが待っています。
温かく見守る大人たち(パパは最初は不満顔ですが)や、全編青々し元気になる色合い、犬や猫を大切にする優しさ、『みどりのゆび』(ドリュオンの名作で、指に触れると花を咲かせられる不思議な力を持った男の子のお話)がさりげなく置かれた書棚、など、しかけもそこら中にあふれていて、何度も繰り返して楽しみたいお話です。
コメント:ブックハウスカフェ ちのゆき
◆oton+to賞
『パパとタイガのとびっきりキャンプ』
作:セバスチャン・ブラウン 訳:聞かせ屋。けいたろう 出版社:教育画劇 発行日:2021年
対象年齢:3歳くらい〜
パパと息子と2人でキャンプに出かけるというおはなし。パパ自身もキャンプがはじめてで、テントを張るのもひと苦労。今はテントの張り方を予めYouTubeで見て準備をする人も多いですが、とはいえ、はじめてのキャンプ。絵本で描かれている場面に共感するオトンも少なくないのではないでしょうか。隣りのテントにはキャンプ慣れした感じのくまのファミリー。「いっしょにどうですか?」くまファミリーが優しく声をかけてくれるも、パパはかたくなな態度。
このパパの気持ち、わかるような気がします。ていうか、わかります! 確かに、他の人に手助けしてもらうオトンとしてのバツの悪さというのもあると思いますが、それよりも、せっかく息子と2人でキャンプに来たのです!いろんなことが手際よくできないし、ちょっと焦ったりもしているけれど、自然の中で、息子との2人の時間を過ごしたい。だから2人キャンプに挑戦したんだと思います。そんなことを思いながら、子どもがまだ小さかったころの、自分の昔の姿と重ね合わせながら読みました。
コメント:布施太朗
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布施太朗・著¥1,300(税抜)
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