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子どもと会話

2012.9.15

父と娘 やさしく理系な関係

先日アップしたotonと娘についての反応が

いろいろなところからありました。

ほかのotonと娘はどうだろうと、取材をはじめてみました。

今回は26才のYさんのはなし。

 

Yさんは、4つ上のお姉さんとお母さん、そしてお父さんの4人家族。

お父さんは土木建築関係の会社に勤めていました。

高校生のころは医者になりたかったようですが、

9人兄弟の末っ子。家にはそんな余裕もなく、

高校を卒業後、土木建築関係の会社に就職したのだそう。

 

文系か理系かでいうと、もう完全に理系。理系アタマのお父さん。

女3人、男1人の家庭です。

ものすごい女系家族というわけでもないのですが、

男1人のお父さんは、やはりそれなりに弱い存在だということは

小学生の子どもの目にも映っていたたようです。

そして、もともとが優しい、というか気の弱い性格で、

借金の保証人になってしまうような人で、

照れ屋さんで、口ベタで・・・。

この取材をしているとき、Yさんは

「かわいそうでかわいい人なんですよ。お父さん」

と言っていました。

 

中学生になり高校生になり、まわりの友達が尾崎豊なんかを聴くようになり、

自分もご多分に漏れず、大人は汚いだとか信用できない的な考えに触れたりしていたけれど

そこでいう大人とお父さんは全くの別ものだったようです。

だから、お父さんのことを嫌いになった時期もなかったんですと。

 

お母さんは、とてもチャキチャキしている人で、その真逆にいるのがお父さん。

お父さんから娘に話しかけてきたり、なんかアクションをしてくるということもありませんでした。

だから、アクションするのは必ず娘から。

 

たとえば、宿題がわからないとき。

「わかんないわかんないわかんない」

お父さんに言います。

お父さんは口ベタなので、うまく説明してくれたり、

面白いことを言いながら教えてくれたりといったことはありません。

でも、苛立つことなく、答えを急がせることもなく、

根気よく付き合ってくれていたんですと。

「どうやったら娘が理解できるんだろう。

そこはとても丁寧に考えてくれていたんだと思います」

とYさん。

 

ある日、Yさんは地球と月の自転と公転や、

月の満ち欠けとかの関係がよくわからなくて

「わかんないわかんないわかんない」

いつものようにお父さんに質問しました。

その時、お父さんは家にあったバスケットボールを地球に

ゴルフボールを月に、スタンドライトを太陽に見立て、

2つのボールを手に持ってまわしながら

月の満ち欠けの仕組みを教えてくれたんです。

これがすっごく分かりやすかったんですって。

そしてお父さんのことを『かっこいい』と思ったんですって。

「とにかくお父さんが勉強を教えてくれると

方程式もつるかめ算も、ものすごくわかりやすかったんです」

 

週末、お父さんはたまにゴルフの接待にいっていました。

家にはパターゴルフのセットがあって、Yさんともゴルフごっこをしていたそうですが、

Yさん、これはあまり面白くなかったようです。

 

お父さんの好物は牛乳を温めたときにできる膜と鮭の皮。

子どものころ、どっちも嫌いだったYさんがお父さんにあげると

お父さんは嬉しそうにに食べていたのだと。

なんでこんなものが好きなのかな、と思うのと同時に、かわいいなと。

 

「いつももの静かで、苛立っているところは見たことがないんです」

「自分の意見とか、全く主張しない人なんです」

「1回も怒られたことがないんです」

 

今から考えると、少し違う場面をみたのは、

Yさんが小6のとき、お父さんがリストラされたあたりの頃。

会社の後輩の新築祝いに行って、その後輩の家で吐いてきたらしいことと、

1回、顔に傷をつくって帰ってきたこと。

お母さんが迎えに行ったそうです。

 

別の会社に勤めてからは、ゴルフの接待はなくなったようですが、

前より小さな会社になり、休みの日でもたまに会社に行くようになりました。

 

「あっ、お父さんがかっこいいと思ったこと、まだありました。

お墓参りにいくと、お父さんがお線香の束にマッチで火を点けるんですけど、

どれだけ風が強くても、必ず1本のマッチだけで、

お線香の束にまんべんなく火を点けることができるんです。

風の向き、マッチ棒が短くなるスピード、お線香のまわし方とかも計算して」

 

それともうひとつ、

「お父さんの焼いた鮭は、抜群においしいんです!」

Yさんの地域は、お正月に男の人が料理をする風習があるらしいのですが、

そのときに焼いてくれるお父さんの鮭のこと。

「熱効率とか考えてるからですかねえ」

 

お母さんには、こう言われるそうです。

「結婚する人は、1.健康な人 2.お酒を呑みすぎない人 3.器用な人 にしなさい」

お父さんとお母さんが結婚式をしたときの、上司の方からのスピーチがテープに残っているそうです。

「Yくんは、会社によく遅刻をしますが(これ娘さんに受け継がれています笑)、

トンネル工事のとき、彼の測定にはほとんどズレがありませんでした。

それはとても難しいことで、彼はそれができる大変優秀な社員です」と。

 

「今は年に2〜3回しか実家に帰りません。

それも1泊2日とか。お父さんは相変わらず口ベタなんです。

こう考えると、あとどのくらい喋れるんだろう?と考えたりします。

でも、私ももうお酒が飲めるので、私が実家に帰ると

いそいそと私の分のコップも持ってきて

ビールを注いでくれるんです。

これが唯一、お父さんからのアクションですね(笑)」

 

途中、話を聴きながら、

「素敵なお父さんだね」って言いました。

そしたらYさん、

「すごく嬉しいです。お父さんのこと、素敵だって言われたこととかなくて」

と、目に涙を浮かべて言っていました。

「私、お父さんものにめっぽう弱いんです」と。

 

親戚が集まってお酒を飲む時は、お父さん、

自分のことを『オラ』と言うそうです。

 

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