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オトンと仲間さんの記事
2019.8.26
必要は発明のパパ!?音楽が聞こえる歯ブラシ「Possi」は日本を平和にする、かもしれない。
何かに困った時にこそ、新しいニーズを知ることに繋がり、その困ったことを解決するために新たなアイテムが生まれるものだったりします。
子育てをしていると、ベビー&キッズ用品売り場に行く機会が必然的に多くなりますが、次々と新商品が登場します。上の子の子育てをしている時に「これ、もう少しどうにかならないかな」と思っていたことが、下の子の時には見事に解決されているアイテムが売り出されていたり。
「ああ、やっぱりみんな困っていたんだな」と思うと同時に「もう少し早くできれば良かったのに!」と思ったりもします。
ソニーのクラウドファンディングサイト「First Flight」に登場して話題となっている「Possi」
ブラシヘッドに圧電セラミック素子が内蔵されていて、ブラシ部分が歯に当たっている時だけ骨伝導で音楽が聞こえる歯ブラシで、子どもが嫌がりがちな仕上げ磨きをスムーズに行うことができるという、きっと多くの人が「もう少し早くできれば良かったのに!」と思うであろうアイテムです。
イヤホンをしなくても音楽を聞くことができる“骨伝導”という技術については、だいぶ前から知っていました。でも、そもそも音楽とはあまり縁がない歯ブラシにその技術が使われるなんて夢にも思っていませんでした。
でも、そこに気づいた人がいたのです。なぜ気づいたのか?
それはまさに、とある人が、子どもが嫌がって仕上げ磨きがうまく出来ない、という経験をしたからこそ。そして、それがたまたま技術開発に携わるパパだったから気づいたのです。
たかが仕上げ磨き、されど仕上げ磨き
京セラに勤める稲垣智裕さんは3児のパパ。このPossiを開発するプロジェクトのリーダーです。
―普段はどんな感じで子育てをしているんですか?
夫婦で特に分担は決めていませんが、気づいたときはなんでもやります。平日は仕事が忙しくて妻に負担をかけてばかりなので、特に土日は積極的に関わるようにしています。ただ、子どもが風邪をひいた時などは自分も休みを取って対応します。以前、娘が入院したときは5連休をとった時もあります。
―娘さんが3人いるということですが、パパとは仲良しですか?
そうですね。多分。きっと、やさしいとは思われていると思います。普段べたべたくっついてくるので。よく一緒に遊ぶのは、レゴ、パズル、粘土、かるたとかです。最近は自分で作るタイプのお菓子にはまっていて、それを作るお手伝いしています。あと、一緒にひらがなを書いたり、極力勉強につきあうようにしています。
―そういう中で、困っていたのが仕上げ磨きだったのですか?
Possiの開発が始まるタイミングで2歳だった次女が特に大変でした。とにかく全然やらせてくれない(苦笑)さすがに何時間もかかるものではないですが、毎日のことなのでストレスが積みかなさっていく。平日担当している妻が仕上げ磨きにイライラしているのも理解できました。自分自身も単純にうまくいかないことにイライラしましたし、さらには妻ができない僕の姿を見て『そんなこともできないの?』と思われるんじゃないかと考えるとすごく嫌でしたね。僕は、妻も含め家族全員にとっての安全基地でありたいと思っています。そのためには懐が広くいようと心がけていましたが、そうもいかない状況でした。
この時点で、妻も僕もイライラしていますが、さらに娘の方もイライラしていました。自分が嫌いな仕上げ磨きを無理矢理されるのも嫌だったと思いますし、歯磨きがちゃんとできないから、自分が好きなジュースやお菓子を食べさせてもらえないこともストレスだったと思います。
なるべく怒らず、笑って過ごせる家族でいたいとは思っていましたが、仕上げ磨き一つで家族が全員イライラして、すごく空気が悪かった。特に僕は、妻が怒っている姿は見ていられなかったです。だからこそ、なんとかしたいと思ったんです。
Possiが稲垣家を変えた!
9月3日までクラウドファンディングを実施している「Possi」支援額が目標に達しないと商品化はされないという背水の陣で臨んでいます。そんなPossiの試作品を稲垣さんは自分で試して効果を実感していると言います。
―稲垣さんは開発されたPossiの試作品を実際に使っているということですが、それで家族の状況は変わりましたか?
劇的に変わりましたね(笑)たかだか仕上げ磨きだと思うかもしれないけど、それが楽になるだけでこんなにも変わるのか?と感じています。
妻のストレスが減って穏やかになったし、嫌だった仕上げ磨きが楽しくなった次女も落ち着きました。イライラしていた二人がクールダウンすると、そりゃ家の中の空気も変わりますよね。僕や長女も穏やかに過ごせます。
そして、今まで、どのくらいかかるかわからなかった仕上げ磨きがスムーズに終わるから、気持ちだけでなく、物理的に時間にも余裕ができました。
実はそれ以外にも変わったことがあります。次女のお菓子に対する執着心みたいなものです。ちゃんと歯磨きが出来るようになったので、今は、本人が食べたいと言ってきた時、できるだけ食べさせてあげています。そうすると今までだと、一緒に買い物に行った時に「お菓子を買っていいよ」と言うと、ここぞとばかりにお菓子をたくさん買おうとして大変だったんですが「今日はいいや」とか言うようになったんです。満たされることで余裕ができるんですかね。これにはちょっとビックリしました。
―穏やかな家族ができあがったというわけですね。
そうです。この状況を仕上げ磨きに困っている家族みんなに体験して欲しいんです。こんなにも変わるということを。そして、ぜひ穏やかな家族になってほしい(笑)きっと、こうやって穏やかな家族が増えることで、世の中も全体的に穏やかになるんじゃないかと思うんです。さらに、気持ちに余裕があるからこそ、まわりの人たちにも寛容になれるとも思います。
―すごい!Possiが日本を平和にするってことですね??
ちょっと大げさですけど、そうだったらいいなと思います。僕が作りたいと思ったのは、音楽が聞こえる楽しい歯ブラシという“モノ”ではなくて、仕上げ磨きのストレスが減ることで得られる家族で幸せな時間を過ごせるという“コト”なんです。そういう価値観が世の中に伝わればいいなと思うし、今回クラウドファンディングが成功して商品になれば、これから先にパパやママになる人たちに仕上げ磨きのストレスを感じなくて済む環境を作ることができれば、みんなが笑っている世の中になるのかもしれないですよね。
パパがまさに子育て中にぶつかった壁を乗り越えるために生み出したアイテム「Possi」稲垣家ではかなり効果があったようですが、他の人たちにはどうなのか?実際にいろいろな人に試してもらいました。そのレポートはまた次回!
【文:杉山ジョージ】
1976年生まれ。兼業主夫放送作家。2008年より兼業主夫として2人の娘を育てる。
パパ向け情報アプリ「パパコミ」編集長。
NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。秘密結社主夫の友広報担当。
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