oton+to(オトント) > オトンの流儀とか アーティスト編 > 「僕は子どもに伝えたいことを上手く伝えられないことがあるんです。下の子がすごく泣いたり、上の子が悲しい気持ちでいる時に。だからもう抱きしめることにしています」。テツ【第3回】
「僕は子どもに伝えたいことを上手く伝えられないことがあるんです。下の子がすごく泣いたり、上の子が悲しい気持ちでいる時に。だからもう抱きしめることにしています」。テツ【第3回】
お笑い芸人 テツandトモさん
家族構成:テツ:妻、息子(中2)、娘(小5)、息子(4歳)。トモ:独身
【オトンの流儀とか】今回はお笑い芸人、テツandトモのお二人。トモさんは独身ですが、テツさんは3人のオトン。季節の行事を大事にするテツさん家族。テツさんにはお子さんのことをたくさん、トモさんには仕事のことをたっぷり伺いました。4回連載です。
oton+to編集長 布施太朗 写真:岡崎史歩
第3回派手な部分だけじゃなくて、裏で打ち合わせしたりとかちゃんと練習したりしてんだよって。そういうのは子どもに見てもらいたいなって思いますね。
―勉強しろとは言わない派なんですね。
テツ:長男の話ばっかりになっちゃうんですけど、一時期受験と思って塾に通っていた時期もあるんですけど、カミさんが大変になっちゃって、子どももすごく辛そうにしてるので、いいよって言って諦めたんです。今は近くの公立の学校に行っていますが、いろんな友達もできてよかったなと思っています。子育てに関しては、カミさんともすごく喧嘩しますけど、でもお互い子どもにはこうなって欲しいという思いは同じなので、そういう風に子どもが生活してたり頑張ってくれていると、よかったなあ、嬉しいって思います。カミさんはどちらかというと若い頃は、いじめっ子じゃないですけど強い立場だったんですよ。だからそういう目線で言ったりするんですよ。なんていうんですか、いじめられる人間も悪いんだっていうところを。そこには理由があるんだよって。僕はどちらかというといじめられていた側だったから、何でいじめるんだよってばかりの目線なんですけど、確かにカミさんの意見を聞くと、その自分もどこかダメな部分もあるんだろうなということを、ちゃんと理解しないといけないなって思います。
―なるほど。
テツ:難しいです。質問にもあったんですけど「子育てとはあなたにとってなんですか?」って質問があったでしょ?子育てとは「いくじ」。え、育児ってそのままじゃんって思うんですけど、僕の中で「いくじ」は、「育てる、自分」なんですよ。「育自」。
―育自。その実感はどういうところに?
テツ:育ってるかどうかはちょっと疑問ですけど、でも反省させられますね。なんていうか、ああダメだな。子どもは頑張ってるんだから、自分も頑張らないといけないなって。なんでしょうね、うん。具体的に、あげればいいんですけどね。
―お子さんは頑張ってるお父さんの姿をたくさん見ていますよね。
テツ:見てるんですかねー?どう見てるんですかね、でも本当に分かりません。自分が小さい頃、親父は自営業で工場を経営していたので、部品を工場に納品したり車に運んだりとか、工場で担当の人とのやりとりとか、まさに一生懸命に働いている姿を見てきたんです。でも、例えばテレビに出させてもらっている姿とか、ロケも編集されて楽しそうにやってるところは見ていますけど、そこに至るまでの打ち合わせとか、そういう部分は知らないのでね。
―見せたいですか、そういう部分?
テツ:あ、そういう部分、見てもらいたいですね。派手な部分だけじゃなくて、裏で打ち合わせしたりとかちゃんと練習したりしてんだよって。そういうのは見てもらいたいなって思いますね。
―ネタ合わせもたくさんするんでしょうね。
テツ:ネタ合わせ・・・昔はけっこうしてましたね。
―今は?
トモ:例えば企業さんが呼んでくださった場合、会場に入ったら主催者の皆さんと、出来る限り打ち合わせをさせて頂きます。そこで色々と質問をして、その企業さんオリジナルのネタを作るんです。お祭りであれば、その地域の事を調べ「なんでだろう」を作ったりもします。それを1時間程で覚え、本番を迎えます。ですから、勿論ネタ合わせもするのですが、そんなに時間はとれません。新ネタを全部、頭に叩き込んでいる感じですかね~。
ーちょっと視点が変わるんですけど、oton+toの読者って会社員のお父さんとか多いんですが、会社に入ったらもうその道から外れることとかは頭になく、自動的にその道を走り続けているという人もけっこういるのではないかと思うんです。テツandトモさんを重ねて見たときに、2003年くらいにブレイクされてすごくテレビに出られていた頃から、今は営業の神様って言われるくらいの方向に行かれたというところに興味があって。
トモ:まず、営業の神様ではありませんが・・・。自分たちの中で計算した訳ではないんです。上京した時は僕が舞台役者を目指し、テツは演歌歌手を目指していました。若い頃、お笑い芸人を目指してなかったんです。
―はい、なるほど。
トモ:27歳の時に大学時代の同級生の結婚披露宴に呼んでもらって、二人で歌を歌ったら、たまたまそこにいたプロダクションの方に声を掛けてもらったんです。歌手になれるのかと思って挨拶に行ったら、お笑いやりませんかって言われて。お笑いはちょっと無理なんでと断っていたんですが、「売れたらCDも出せるしお芝居もできるから、きっかけでいいからやってみないか」と、2ヶ月くらい言い続けてくださいました。じゃあちょっとだけって言って始めたのがきっかけです。売れたいっていう気持ち・・・はもちろんあるんですけど、なんだろうな。そこまで有名になりたい!売れたい!っていうのじゃなかったんですよね。
テツ:自分たちが冠番組持ってとかはね、
トモ:持ちたーい!っていうのではなく、自分たちがやりたいこと面白いことを作って、その延長がたまたま今に繋がった感じです。すみません、この話、親子の話じゃなくて。
―いえ、その話も訊きたいです。
トモ: コンビを組んだ当所は、漫才やコントに挑戦しました。しかし、僕たちには難しくて出来ませんでした。それならばテツが歌いたい!というので、歌ネタを始めたんです。最初僕はギターを弾くだけで、殆どテツが歌ってたんですよ。その後ネタ作りの段階で、子どもたちに分かりやすくする為に、動きを増やした方がいいんじゃないかという事になったんです。それでテツが少しずつ動くようになり、いつの間にか激しく動いてました。最終的には僕が殆ど歌い、歌いたかったテツは動くだけになってしまったんです。
しかしこの形で「なんでだろう」が出来上がったとたん、ボキャブラ天国や、NHKさんで始まった爆笑オンエアバトルというネタ番組等に出させて頂けるようになりました。そこから徐々に営業も増え、ギリギリですがこのお仕事だけで、ご飯も食べられるようになりました。
その後「めちゃイケ」で幼稚園等に行き、ナイナイの岡村さんとテツが「なんでだろう」の動き対決をするコーナーを作ってくださったんです。本当に嬉しかったのを覚えてます。そしたら、その「めちゃイケ」を見たんですという事で「こち亀」のアニメのエンディングテーマに「なんでだろう」を使ってくださるというお話を頂きました。2003年の1月からかな?エンディングテーマとして「両さんのなんでだろう」が放送されました。そこで子どもたちにも広まり、一気に仕事のオファーが増えたんです。「めちゃイケ」に出させてもらってる時も凄かったのですが、それをも飛び越えた感覚でした。自分で言うのもなんですが、2003年は激動の1年間。NHK紅白歌合戦出場に、流行語年間大賞も頂きました。感謝の気持ちでいっぱいです。でも忙しすぎたのか、所々記憶がないんです。
テツ:記憶もないけど、僕たちはテレビ的なキャラクターを、自分たちで作れなかったかな。
トモ:それが原因ではないんですが、2004年以降だんだんテレビの露出が減ってきました。さっきの話になりますけど、切り替えようというより、二人とも大学は演劇学科の演技コースで舞台をやっていたので。
テツ:常に目の前にお客さんがいる状態での空気感での、演じるとか表現とかが、
トモ:好きなんですよね。そこがベースなんです。当時、雑誌を読むと「まだいたのか」とか「解散してないんだ」とかそういうことばかり書かれていて。でも営業は呼んでもらえていたんです、お祭りやショッピングモールに。でもテレビに出ていないと「ご飯も食べられないでしょう」って野菜を送ってくださったりする方もいらっしゃったり。意外と食べていけてたんですけどね。でも優しいなあと。それで2009年かな、マネージャーに、自分たちが何をやってるのかを発信してみたらって言われてブログを始めたんです。
テツ:ちょうどね、その時、ネットもみなさんが使うようになってきて。
トモ:で、やってみようかっていって、とりあえず僕は毎日。今日初めて見る人がいるかもしれないから。とりあえず今日何をやったかを毎日更新しようと。これをやってるうちに、北海道、東北ツアーなんかを4泊5日で回らせてもらったのをネットニュースにあげてくださったんです。
テツ:テレビに出てないと、「この人、今何やってるんだ?」って時代から、みんなスマホで調べられる時代になった時に、僕たちがイベントをやってることを知ってもらえるメディアが増えたんですね、テレビ以外に。
トモ:ヤフーニュースのトップにも掲載して頂いたんです。
テツ:B級グルメの取材をしてた人が、たまたま僕たちのステージを観たんですって。「テツトモ!まだこうやって現役でステージを盛り上げて、目の前のお客様を喜ばせるんだ、すごいっ!!」ってその方が感動してくださって。記事にしてくれたんです。
テツ:どんな場所でも全力でやってるっていうのを。
トモ:それがですね。半年後に、また僕たちの活動をネットニュースに載せて頂けました。その影響なのか、その後に複数のテレビ番組が、僕たちのイベントの模様等を密着してくださったんです。ブログやFacebookで日々の活動を発信するようにしたら、沢山の方々が目を向けてくださるようになりました。
テツ:テレビでも、僕たちはもちろん自分では言わないですけど、営業の神様みたいな感じで取り上げてくださったので。
トモ:そこからなんですよ。
【第4回 】 「得意不得意があると思うんです。つまり僕たち、ひな壇は得意じゃないってことですね。子育ても、その子にあったものを伸ばしてあげるってことが一番です」に続きます。
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今回の"オトン"なアーティストは、
テツandトモさん
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