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もしも、お父さんと息子が同い年だったら友達になるだろうか?どうだろうか?無理だろうか?【第3回】
作家 重松清さん(55歳)
家族構成:妻、娘(26歳)、娘(21歳)
今回は、作家の重松清さん。「流星ワゴン」や「とんび」、昨年公開された映画「幼な子われらに生まれ」など、映画やドラマになった作品もたくさん。私自身、重松清さんの小説は大好きで、グッときた小説、セリフがたくさんあります。そんな重松清さんにリアルオトンの姿を訊いてきました。多くの人が共感、感動する家族の物語を書いている最中、2人の娘さんがいる本当の重松家はどうだったのか?お子さんとのコミュニケーションで、今になって後悔していることは?など、いろいろお話していただきました。
全3回でお届けします。
聞き手:oton+to編集長 布施太朗 写真:島野大輝
第3回「パパは細かくてちっちゃい奴だから、君に直接話しをしても素直に聞いてくれないと思う。だから、この本を読んでほしい」という気持ちで、あの本だけは娘のために書いたんです。
―なるほど。ご家族との関わりの中で、今でも思い出すとちょっと落ち込むなということってありますか?
僕、車に乗ると、文句を言うタイプなんです。前の車に「早く曲がれよ」とか。テレビを観ていても、自分の嫌いなタレントが出てくると「なんだよコイツ」って。そういう言葉を、側にいる子どもにたくさん聞かせちゃったなあというのは良くなかったなと思います。子どもは覚えているんです。「パパ、あの人がテレビに出ると、いつも怒ってたよね」とか。自分が無意識でやっていた舌打ちとかも、子どもは覚えているんです。「あの時、パパ、すごい舌打ちしてたよね」とか。
―自分のなにげないひと言が、お子さんに伝わってしまっていると。
小説を書くというのは、けっこうストレスがかかるので、もし家を仕事場にしていたら、もっとひどかったのかもしれません。そういう意味では、泊まり込みで仕事をしていたことで、娘たちへの被害は抑えられたこともあるのかも。それで思うのは、全ては初めてのことなので新鮮だけど、全ては取り返しがつかないことというか、後には戻れない、ということ。
―全て新鮮だけど、全て後には戻れない。
だから「パパ、あの時あんなこと言っていたよね」と言われたら「すみませんでした。ごめんなさい。若かったんだよ」って謝るしかないんです。
―ごめんさいって言うんですか?
言います言います。だから今の若いお父さんたちには言っておきたいですね。「子どもは覚えているもんだ」ということを。もちろん楽しいこともなんですけど。
―楽しいことで、お子さんが覚えていることって?
昔、遊園地に連れて行った時のことですが、その時はもう、いろんな乗り物に乗せてあげたんですよ。それで3日後だったかな。保育園の先生に娘が言ったんですって。「帰る時、遊園地の門を出て、駐車場に置いてある車のところまでパパと手をつないだことが一番楽しかったんだ」って。
―あぁ…。
子どもって意外なところで喜ぶし、意外なところで胸を痛めたりしているんですよね。面白いといえば面白い。大変だといえば大変。でも根っこにあるのは「自分の人生、一回だけだ」ということ。一回しか体験できないから、本当に自分の目線でしか見れないんですよ。
―自分の目線が全てになるんですね、子育ても。
だから、目線を増やすために物語を読んでほしいですね、お父さんたちには。漫画も映画も小説も、それらはサプリメントみたいなものだから。いろんなお父さんがいる、いろんな考え方がある。いろんな悩みがある。自分と同じことで悩んでいる人も、自分では想像もつかないことに悩んでいる人も。自分が経験してきたことはかけがえのないことだけれど、それを絶対的なものにしないために、サプリメントで補っておく。お父さん成分サプリを。
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今回の"オトン"なアーティストは、
重松清さん
家族構成:妻、娘(26歳)、娘(21歳)
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