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作家 重松清さん(55歳)
オトンの流儀とか
アーティスト編 Vol.10

もしも、お父さんと息子が同い年だったら友達になるだろうか?どうだろうか?無理だろうか?【第2回】

作家 重松清さん(55歳)

作家 重松清さん(55歳)

家族構成:妻、娘(26歳)、娘(21歳)

今回は、作家の重松清さん。「流星ワゴン」や「とんび」、昨年公開された映画「幼な子われらに生まれ」など、映画やドラマになった作品もたくさん。私自身、重松清さんの小説は大好きで、グッときた小説、セリフがたくさんあります。そんな重松清さんにリアルオトンの姿を訊いてきました。多くの人が共感、感動する家族の物語を書いている最中、2人の娘さんがいる本当の重松家はどうだったのか?お子さんとのコミュニケーションで、今になって後悔していることは?など、いろいろお話していただきました。
全3回でお届けします。

聞き手:oton+to編集長 布施太朗 写真:島野大輝

第2回小学5年生の長女のお父さんを42歳の僕がやるというのはたった1回ですから。

―そうなんですね。娘さんから言われてグサっときたことは何かありますか?

「パパは細かい」って言われました。

―あらー!それはどんな時に?

僕、時間にうるさかったり、「椅子を引きっぱなしにして行くんじゃない」とか言ったりしちゃうんですよね。娘は2人とも、おおらかなタイプなんです。「整理整頓とか別にいいじゃない」っていう。僕はそこが細かくて、、、。

―へーっ!

「パパ、ちっちゃいよね」とか(苦笑)。

―笑!!

もうしょうがないから、「パパは細かくてちっちゃいから、こういう繊細な描写が出来るんだよ」って。「大雑把な奴には、ここまで書けないんだよ」と。

―そう言われると納得すると思います。

父性と母性で言っちゃえば、ウチのカミさんのほうが父性的なところがありますね。僕のほうがお母さん型。

―なるほど。

娘たちがカミさんに「パパうるさいんだよねえ」って愚痴って、それを聞いたカミさんが「ほっとけほっとけ」みたいな感じで言っていたり。自分が小説を書いているせいかもしれませんが、いろんなものが目に入っちゃうというか気づいちゃうというか。だから時々は、目のピントを意識的に緩めたほうが子どもも楽になるのかな、なんて思うこともあります。だから僕がもし、仕事場を持たずにずっと家にいたら、本当に細かく見てしまったと思うんです。それだと娘たちも息が詰まっていたでしょうね。お父さんのタイプによるでしょうけど。四六時中一緒にいても、おおらかなお父さんもいるだろうし。

―お父さんのタイプも様々ですからね。

でも、子どもの年齢によって関係性も変わっていくと思うんです。今、子どもたちは別々に住んでいますが、むしろ今のほうがいい感じといいますか、家族でLINEをやっているんです。

重松清さん

―ほおー。家族LINEを。

LINEだと、なんだか会話が弾むんです。

―そうなんですか?

そのためにたくさんスタンプを買って。新しく買ったものだと、にゃんこスターとかひふみんの公式スタンプ。すぐ押しちゃうんです。スタンプをポンポン。

―重松さんもそこは言葉よりスタンプなんですね。

LINEは短い言葉を何度も何度も送るじゃないですか。僕、長くなるんです。一つのセリフが。何十行にもなってしまう。もっと小分けにしないといけないんだけど。今、そういうところを僕は学んでいるところです。でもSNSが出てきて本当にコミュニケーションが変わってきましたね。悪い方向に変わっていった例も山ほどあるんでしょうけど、SNSのおかげで繋がることだってありますから。ひとつ言えるのは、分かったふりをしないということ。同時に「昔は良かった」って言っちゃうのもしんどいということ。例えば子どもにスマホを持たせるかどうかって議論があるじゃないですか。でもその前に、公衆電話が街からどんどんなくなっていることが大前提だということです。

―その時代で環境が変わっているということですね。

お父さんたちの頃はスマホや携帯なんてなくやっていたんだと言うけど、その頃、電話ボックスは山ほどありましたから。何かあれば10円で電話が出来ましたよね。風景がどんどん変わっているんですよ。だからそこを見逃してはダメです。街から公衆電話が無くなったから携帯を持たざるをえないかもしれないという視点。そうすると今度は携帯を持つことを前提に、子どものためにどうするかということを考えますから。子どもがリスクに晒されないために、こういうアプリを入れればいいんじゃないかとか。昔は無かったからなんて言われても、昔には戻れませんしね。

―そうですね。昔には戻れない。

僕達みんなそうなんですが、自分が一度体験したことに過剰なんです。でも小学5年生の自分なんて、本人は1回しか体験していないんですよ。それなのに「お父さんが小学5年生の時は」なんてね。小5のベテランであるかのような口ぶりで、昔はそうだったみたいなことを言われてもね。

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【第3回】 「『パパは細かくてちっちゃい奴だから、君に直接話をしても素直に聞いてくれないと思う。だから、この本を読んでほしい』という気持ちで、あの本だけは娘のために書いたんです。」に続きます。

重松清さん

今回の"オトン"なアーティストは、

重松清さん

家族構成:妻、娘(26歳)、娘(21歳)

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父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない。

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