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僕が一番影響を受けた男は、息子です。【連載第3回】
会社経営 沖縄県 安里繁信さん(47歳)
家族構成:妻、息子(大学1年)、娘(小3)、娘(小1)
“オトン”なビジネスマン”改め、“オトンな流儀とか ビジネスマン編”。今回は、沖縄にお住まいの安里さん。息子さんが2歳半の時にかかった病気で、彼の生き方が大きく変わる。仕事も「エースで4番」から「補欠でキャプテン」スタイルに。リーダーとして、男として、父として。これは一人でも多くのオトンに読んでいただきたい。連載でお届けします。
聞き手:oton+to 沖縄編集部 寺地峻
第3回LINEを既読スルーされると「生活費送るのやめるぞ」と思っちゃいます (笑)。
―とにかく、息子さんの病気というのが、安里さんの人生にとってとても大きな転機となられた訳ですね。
でも本当にすごいのは妻なんだけどね。今の妻からしたら、自分とは血が繋がっていない長男を、11年間ここまで面倒を見てくれた。時々学校に呼び出されたりもしていたみたいだし。多分、どうしていいかわからないこともたくさんあっただろうし、時々喧嘩したりすることはあっても、しっかりここまで向き合ってくれた。本当に感謝してますね。
―そんな息子さんも大学生になられたということでしたが。
そう。今は東京の大学に通ってます。それが想像していた以上に、本当に寂しくてね。今は毎日、息子の部屋で寝てますね(笑)。
―それほど大きな存在なんですね。
ただ、LINEを既読スルーされることもあるので、そういう時は生活費送るのやめるぞ、と思っちゃいますね(笑)。
―子育てで失敗したなと思うこととかありますか。
子育ては失敗しかない。というか、子育てという概念自体が間違っていると思うんです。
―子育てという考え方が間違っていると。どうしてそう思われるのですか。
僕は、自分が子育てをしているという考え方があまりなくて。例えば動物であれば、子どもに餌を与えて、外敵から身を守って、育っていくことが子育てかもしれない。だけど、人っていうのは意思を持つ生き物でしょ。例え子どもでも意思を持っている相手を、親がどうのこうのなんてできるとは、僕は思えない。だから、「育つ子は勝手に育つ」とそう思っている。
―なるほど。親だからといって子どもにしてあげられることは限られていると。
そう。だから、僕が子どもに親としてしてあげられることは、環境を用意してあげることくらいだと思ってます。
―環境ですか。
親という漢字は、「木の上に立って見る」と書くでしょ。書いて字のごとく、親として子どもにできることなんて、木の上から黙って見守ることくらい。それでも自分の子どもなんで、どうしてもついつい手を出したくなっちゃうんだけどね。でもそれじゃいけない。育つ子は自分で育つ。だから上から黙って見守ってるだけでいい。その代わり、その子が自由にすくすくと育つ環境だけ、しっかりと用意してあげること。
―安里さんは、お子さんにどんな環境を用意されているのですか。
僕が意識しているのは、子どもの意思をとにかく応援すること。子ども達が自分でやると決めたことは、とことん応援する。そういうことを大事にしている。だからと言っては何だけど、一度言ったことは絶対に最後までやりきること。自分で言ったことは絶対に諦めないということも、子どもと約束してますね。だから、長男が今まで何かを途中で投げ出したことは見たことがない。
―他に大事にされていることはありますか。
後はしっかりと向き合うことかな。子ども達も毎日何かしら悩んでいる。その悩みに対して僕が経験則で答えることも違う。時代も価値観も違うからね。だから、親として一緒に悩んで、一緒に悩みと向き合ってあげること。そういうことが大事なんじゃないかなと思います。むしろ、そうやっていくことで自分自身が一番成長していると思うんです。
―向き合い続けることで子どもも親も成長していくと。
そう。やっぱり最後は、父ちゃんみたいな男になりたいと思ってもらえるかどうかだと思うんだ。そういうことを子ども達に言ってもらえることが、僕たち親にとっての卒業式みたいなもんだと思うんだよね。親としての責任を果たしたぞと。だから、死ぬときにしか親としてどうだったかというのはわからないのかもしれない。
【第4回】に続く
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今回の"オトン"なビジネスマンは、
安里繁信さん
シンバホールディングス株式会社 代表取締役会長
沖縄県那覇市出身。
家族構成:妻、息子(大学1年)、娘(小3)、娘(小1)
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