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子どもと会話
2016.7.8
連絡帳
夜家に帰って、晩酌をしながらムスコの持ち帰った連絡帳を見るのが楽しい。
そこには小学生男子の姿が生きいきと描かれている。
家で見るわが子の姿と違う、またひとつの日常が浮かび上がる。
クラス対抗の長縄の練習をしたこと、お楽しみ会のネタを考えていたこと、給食のお代わりじゃんけんでいつも負けていること。
休みの日に板書を代筆してくれる友だちの丁寧な字。
そんな我が子の日常のリアルが、酒のツマミとなっている。
だいたい毎日の連絡帳がほんの1、2行で締められている中、珍しく長めのコメントを見つけた。
「今日ドッチボールをしました。ほぼよけました。
あとでおもえば自分がよわむしなのがわかりました。
だけどよけたから1回もあたりませんでした。楽しかったです。」
楽しかった日常の一コマにあった、「よわむし」というひとことが、オヤジの胸をついた。
ムスコといっしょにサッカーやラグビーをするようになって、つい力が入りすぎる時がある。
本来楽しいのが一番なのだけど、ついついできないことが目に付いて、不甲斐なさから尻をたたいてしまう。
自分がずっと運動部で育ってきたせいか、できるまで頑張れ、逃げるな、勝負しろ、といったスポーツに過剰な頑張りを強要してしまいがちだ。
スポーツは結果を求めるからこそ、そのプロセスに価値が生まれるというオヤジの考えに変わりはない。
だけど、ムスコとの間にその価値観の合意はできていないし、彼にとってドッジボールは頑張る以前に楽しいものであるはずだ。
なのに、ずっとボールをよけ続けた自分を弱虫だと思わせてしまったのは、頑張れ、逃げるな、勝負しろという、日ごろの親の言動によるものなのかもしれない。
オヤジの勝手な思いからの言動が、ムスコの自由な遊びまで縛っているのかもしれない。
そう気づけたのは、連絡帳の中にオヤジの知らないムスコの姿を見ることができたからだ。
最近では学校の話を聞いても、まあまあ、だとかふつう、だとか、そっけない返しも多くなってきた。
もっと大きくなると、さらに口が重くなるのだろう。
オヤジが酒のツマミに連絡帳を見ていることを、ムスコはまだ知らない。
オヤジ目を気にしない学校の様子を垣間見るために、そのことはまだしばらく内緒にしておこうと思う。
小貫 達郎
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