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お父さんの絵本ガレージ

2021.3.30

お父さんの絵本ガレージ 非認知能力を育む絵本 「コミュニケーション力」編

絵本ガレージ2021.3

春ですね。入園、入学、進級……新たな門出を迎えるお子さんたち、おめでとうございます!わが家の長男も、幼稚園の年少クラスから年中クラスへ。振り返れば、今まで誰も経験したことのない1年。子どもも大人も、初めてのことばかりで様々なストレスを抱えながらも「よく頑張ったなぁ」「これからよりよい1年になるといいなぁ……」と、桜咲く季節に思いを巡らせていることでしょう。新たな環境、新しい先生やお友達との出会いに、わくわくしたり少し不安を感じたり…そんな時期でもありますね。昨年春からスタートした「非認知能力」を育む絵本シリーズ、今回は豊かな人間関係を築くのに必要な「コミュニケーション力」をテーマにお伝えします。

何をもってコミュニケーション力とするか。その考え方は人それぞれ、この1年でコミュニケーションのあり方も様変わりしました。だからこそ、絵本を通したリアルなやりとりの大切さを想いつつ。まだ幼い子どもが園や学校などで直面するシーンを想定して、挨拶やお友達とのケンカにまつわる絵本、お父さんとの会話やふれあいが増える絵本を選びました。子どもの成長に寄り添いながら、親も一緒に考え気づきを得られるような5冊です。この春、また一歩踏み出すお子さんへのお祝いに絵本はいかがでしょうか。

① 『挨拶絵本』

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作:五味太郎 出版社:ブロンズ新社 発行年:2010年

対象年齢:4歳くらい~

こんなとき きみならどうする?

あいさつの基本から応用まで

まずはコミュニケーションの基本、挨拶から。いろいろな場面、いろいろな状況での挨拶を考えてみよう!というワークショップ絵本です。参考書のように教育的ではないところが、五味太郎流。「おはよう」「ありがとう」「ごめんなさい」といった基本はもちろん、ちょっと愉快な応用編まであるのが、この絵本の最大の魅力です。例えば、近所の知り合いのおばさんが、荷物をたくさん抱えてやってきて「あら、こんにちは」。今度は、いつも元気な高校野球の選手が、少し元気がなさそうに通り過ぎようとしています。あなたなら、どんな風に挨拶しますか?

お子さんとお父さんで、それぞれ挨拶の仕方が違ったり、その日の気分で変わったり。“正解のない”挨拶は、毎日を新鮮に、人間関係を豊かにしてくれそうです。GOMI TARO WORKSHOPシリーズには、この他「質問絵本」や「買物絵本」も。どれも父子の会話を楽しむ絵本です。

② 『けんかのきもち』

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文:柴田愛子 絵:伊藤秀男 出版社:ポプラ社 発行年:2001年

対象年齢:5歳くらい〜

本物のけんか本当の友達とは

実話をもとに描かれたロングセラー

たいは、一番の友達こうたとけんかをした。お互いにケリを入れて、パンチした。最後にどつかれて、しりもちをついた。くやしくて泣きながら家に帰ったけれど、泣きたい気持ちがなくならない。こうたがあやまりにきても、けんかの気持ちは終わらない……。

第7回日本絵本大賞受賞作。無認可の幼稚園が母体となって運営している“あそび島(じま)”での実話をもとに描かれた、ロングセラー絵本です。心も体も思いっきりぶつけあって、けんかする二人。ヒリヒリとした熱い気持ちが、迫力と臨場感のある絵と言葉から伝わってきます。泣きながら抱きついてくるたいを笑顔で受け止め、とことん泣かせてあげるお母さんの姿も印象的。親にできるのは、涙がとまるまで、けんかの気持ちが終わるまで、ただ信じて待つことなのかもしれません。幼い頃のこんな経験、お父さんにもありませんか?本当の友達になっていくための、コミュニケーションのあり方を考えさせられる一冊です。あそび島でのもうひとつのけんかを描いた絵本『ぜっこう』もあります。

③『カラーモンスター きもちはなにいろ?』

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作:アナ・レナス 訳:大友剛 出版社:永岡書店 発行年:2020年

対象年齢:3歳くらい〜

うれしい?悲しい?それとも不安?

自分の感情を色分けしてみよう

きょうのカラーモンスターは、色々な気持ちが混ざり合って、とても複雑。色までぐちゃぐちゃです。うれしい、かなしい、いかり、ふあん、おだやか……。女の子のともだちが、色分けしながらモンスターの気持ちの整理をお手伝いしていきます。

全世界で200万部を突破している「カラーモンスター」シリーズの1作目。まだ感情のコントロールが難しい子どもが、自分の気持ちに気づき、整理し、どう動けばよいのか考え、表現する手助けをします。それは相手の気持ちに「共感する」ことにも繋がり、コミュニケーションの大切な土台となるでしょう。大人だって、複雑な感情に困惑してしまうこともありますよね。幼児期ならなおさらです。例えばこんな風に、子どもの気持ちを一緒に色分けしながら聞いてあげるのも、日々の育児に役立つ時がありそうです。この絵本は、素敵なしかけ満載のポップアップバージョンもあり、特別な贈りものにおすすめします。

④『しつもんブック 100』

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作:tupera tupera 出版社:青山出版 発行年:2019年

対象年齢:3歳くらい~

デジタルの時代こそアナログな会話を!

究極のコミュニケーションブック

「とおくのひとや あったことがないひとと つながることは たのしいけれど いま めのまえにいるひとと もっと つながってみるのも いいんじゃない?」。そんな言葉で始まる一冊。家族、友人、みんなに聞いてみたい100の質問が詰まっています。「本というアナログなコミュニケーションツールを通じて、人と人とが繋がってほしい」という作者の想いから生まれました。あえてスマートフォンを模した、判型や表紙デザインが粋ですね。13のフリーページつきなので、父子で自由に質問を書き込んでみるのも楽しいです。持ち運びやすいサイズも秀逸。いつでもどこでも……例えば家族のお出かけの移動中にも、大活躍まちがいなし!2020年には英語版も出版されました。

ちなみにわが家の4歳の長男と遊んでみると……Q.「ひとつだけ まほうを つかえるとしたら?」→A.「きょうりゅうの世界に行ってみたい!」。Q.「おちこんだとき なにを する?」→A.「涙をふく!」。わが子らしいなと笑ったり、意外な一面に気づいたり。お互いのことをもっと知るための、よいきっかけになりそうです。

⑤『きは なんにも いわないの』

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作:片山健 出版社:復刊ドットコム 発行年:2014年

対象年齢:4歳くらい〜

木登りって楽しい!

父子ならではのふれあい遊び

すーくんは、お父さんと出かけた公園で「おとうさん きになって。」とおねだりします。木になりきったお父さんは、すーくんが登れなくても、虫が出てきても、何を話しかけられても、ただ黙って見守ります。心のなかで(きは なんにも いわないの)とつぶやくばかり。なんとか自力で登った木の見晴らしは最高です。そこに女の子もやってきて……。

そよそよ そよそよ。片山健さんのやわらかな水彩画を通して、すーくんと女の子、お父さんを吹きぬけるいい風が伝わってきます。絵本ガレージのイベントでこの絵本を紹介すると、あるお父さんの家では『きは なんにも いわないの』ごっこが流行ったそう。お父さんの体で作られる木の幹や枝は、無邪気なリクエストで自由自在に動き、子どもたちは大喜び。その後は、公園などで木登りに挑戦するようになったとのこと。お父さんならではの子どもとのふれあい、遊び心あるコミュニケーションには、言葉を交わすこととは一味違う豊かさを感じます。

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選書:フリーアナウンサー/絵本専門士 近藤麻智子

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大人向けの絵本セラピー®のワークショップ「絵本のち晴れ」や、絵本の読み語りとヨガをコラボレーションした親子向けイベント「絵本ヨガ」を主宰。2016年に出版した絵本『森のくるるん』(そうえん社)では、コンセプトと文章を担当。企業にてビジネスパーソン向けの絵本ワークショップの講師も務める。現在BS日テレ「コーポレートファイル」に出演中。メディアでの絵本に関する執筆、講演など、活動は多岐に。  男の子2人の母。

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ブックハウスカフェ

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神保町のブックハウスカフェ店内には「お父さんの絵本ガレージ」コーナーがあり、 oton+toで紹介した絵本が並んでいます。

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oton+to編集長 布施太朗が本を出しました!
書籍のご紹介

祝!第4刷決定!

父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない。

布施太朗・著¥1,300(税抜)

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