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お父さんの絵本ガレージ
2023.8.26
【第5回】輝く!絵本ガレージ大賞!!
こんにちは。今回は「第5回、輝く!絵本ガレージ大賞!!」の発表です。
この1年、「絵本ガレージ」で紹介させていただいた絵本の中から、
選書をされた近藤麻智子さん、ブックハウスカフェちのゆきさん、そしてoton+toの布施が協議を行い、大賞1作品、部門賞3作品を選出しました。
受賞したこれらの絵本です。ご興味ある方、ぜひ!
◆絵本ガレージ大賞
『やまのかいしゃ』
作:スズキ コージ 絵:かたやま けん
出版社:福音館書店 発行日:2018年
対象年齢:5歳くらい~
「こんな働き方でいいのでしょうか?」「いいんじゃないですか」。そんな絵本です。27年ぶりに復刊された本書。読む人によっては「なんて無責任な会社員なんだ!」と鼻息を荒げることもあるでしょう。でも、ぶっちゃけこんなのもいいんじゃないですか。と言ってくれているような、そんな絵本です。主人公のほげたさんは、冒頭からツッコミどころ満載です。でんしゃに乗って、ビルがぎっしりつまったまちのなかにあるかいしゃに向かっているはずが、景色はなぜかどんどんやまのなかへ。ここでワクワクできるかどうか?それが、自分自身、日々、心に余裕と遊び心を持てているかが試されるような気がします。やまの頂上で仕事する。これは、今はすっかり浸透してきたリモートワークに通ずるものがあります。空気のおいしさを会社のみんなにも分けてあげたい。そんな思いを抱くほげたさんは、自分のことだけじゃなくて、オフィス環境のことも考えているとも言える。しかし、ほげたさん、なんの仕事をしているんでしょう?
コメント:布施太朗
◆パパいつもありがとう賞
『3人のパパと3つのはなたば』
作:クク・チスン 訳:斎藤真理子
出版社:ブロンズ新社 発行日:2021年
対象年齢:3歳くらい
今日も一所懸命に働く、3人のパパたち。宅配会社のキム運転手。小児科のキム先生。建設会社のキム課長。お互い街ですれ違いながら、忙しい仕事の合間に花束を買いに行きます。ようやく仕事が終わった3人が急いで向かった先は、クリスマスツリーが飾られた幼稚園でした。
「日常を真面目に生きている私たちの物語を描きたい」と韓国でひとり出版社を営む、作者のクク・チスンさん。職業は様々、それぞれに個性あふれるパパたちですが、どんなに忙しくても子どものことを想う気持ちはいっしょだなぁと、心を打たれます。全てのパパに、いつもありがとう!と伝えたくなる物語。日中どんな風に働いているのか、もしかしたらお子さんがパパの仕事に興味を持ってくれるかもしれませんね。姉妹編『3人のママと3つのおべんとう』は、奥様へのプレゼントにもおすすめ。「ごく普通の生活の中に、特別なことがある」。仕事や育児に奮闘する私たち親に、静かなエールと大切な気づきをくれる絵本です。
コメント : 近藤麻智子
◆ブックハウスカフェ賞
『ぼちぼちいこか』
作:マイク・セイラー 絵:ロバート・グロスマン 訳:今江 祥智
出版社:偕成社 発行日:1980年
対象年齢:3歳くらい〜
主人公のカバくんは、自分は何になれるだろうか?と思いいろいろ想像します。
消防士、船乗り、パイロット・・・でも、どれもこれもうまくいきません。カバの特徴である、重い体重が主な理由です。しかし何度うまくいかなくても、カバくんはめげない!くよくよしがちな私にとって憧れの楽観力の持ち主です。
原書は英語。「What Can a Hippopotamus be?」の答えは、すべて「No」なのに対し、今江祥智さんの翻訳は、一つ一つが異なる「No」で訳されたのが見事。しかも関西弁。「ぼちぼちいこか」は、Take it Easyの訳です。原著を好む私にとり、意訳は歓迎せざる代物ですが、ただ一つ例外は、今江祥智さんの訳。この本は原著より日本語版の方が、断然いい!
本当は気性が荒いとされ、走るのも泳ぐのも素早く、地上最強ともいわれる顎の持ち主という、本来のカバの特徴ではなくて、ユーモラスでおっとりして憎めない関西の人――カバのイメージを、私にそう刷り込んだのは、この絵本だったかもしれません。そのくらい影響力のある絵本でした。なんとも味わい深い1冊です。
コメント:ブックハウスカフェ ちのゆき
◆oton+to賞
『大ピンチずかん』
作:鈴木 のりたけ
出版社:小学館 発行日:2022年
対象年齢:4歳くらい~
「子どもは、幾度となく窮地に立たされる経験を積み重ね、さまざまな困難を乗り越えながら大人になっていきます」。このように書くと、それなりの格言のようですが、子どもが経験する窮地って?困難って?をいとも見事に洗い出したのがこの“大ピンチずかん”。2022年2月に発売され、既に数々の絵本の賞を受賞しています。
「うわー、あったあった!」大人となった今では小ピンチにすらならないものでも、確かに自分が子どもだった頃、この絵本に描かれているシーンに本気で焦った人たちも少なくないはず。そして、ここに描かれた、なんとも緊迫感のある本人の表情、しぐさは共感を超えた面白みを感じさせてくれます。しかし「この絵本に描かれているピンチを、まだ経験していない子どもが読んでしまったら、予習することになってしまうのかな?」そしたら少しもったいない気持ちもあります。子どもは、幾度となく窮地に立たされる経験を積み重ね、さまざまな困難を乗り越えながら大人になっていくのですから(笑)。
コメント:布施太朗
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