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インタビュー

2013.2.16

otonは観てますか。とんび

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今期冬の連ドラで感動的な父子の関係を描いているドラマ、「とんび」。

今回は「とんび」の脚本家である森下佳子さんをお招きし、お話を伺いました。

 

「とんび」のoton、ヤスさんの話。森下さんのotonの話。

たくさん聞いてみたいと思います!

 

 

――本日はありがとうございます。「とんび」に、秋から始まる朝ドラに、相当お忙しいのでは?

 

朝、娘を保育園につれてったらひたすら書いて、書いて。夕方になったら娘をお迎えに行って。

打ち合わせがあるときはもちろん外に出るけど、それ以外はずぅっと。

 

浪人生のような生活ですね。

原作ありきだと、メッセージは自ずと定まっているので、面白く見せるために見せ場をどこにもってきて、

どんな話の展開で、ここの台詞がここにつながる・・・みたいなことをひたすらやってます。

 

 

――「とんび」は周りでもすごく人気がありますよ。視聴率も高いとか。

 

ありがとうございます。

「とんび」は不思議なことにいろんな世代の方に見ていただいけてるようなんですよ。

Twitterとか見てると。

 

 

――twitter見られてるんですね。

 

あまり見るのもよくないかなぁとは思いながら、ですけど。

Twitter見てると、「とんび」に対しては、女子高生と思われる方から「ヤスさんかわいい!」

「ああいう人と結婚したい!」なんてコメントを見たかと思えば、ご年配であろうの方から

「ああいうヤツが昔はいた」みたいな言葉があったり。

 

――たしかに。意外と若い人が見ている印象もありますね。

 

それぞれの人がもつ感想は違うのかもしれないけど、何か共通した共感したり

するポイントはあるんだろうなぁ、と。

 

――うーん。それってどんなところなんでしょう。

 

ヤスさんが愛されているんですよねぇ。本当は息子に対する愛であふれているのに、照れ屋で、

言いたいことを上手く言えなくてって、ところなんかが共感を呼ぶんじゃないかな。

日本人のこころにはいつの時代も実は演歌が流れてるんだなぁ、なんて思います。

 

――森下さん個人の立場から、ヤスさんはどう見えますか。

 

うーん。

私はヤスさんがうらやましいと思う。

 

――うらやましい?

 

年をとっても「馬鹿だ馬鹿だ」って構ってくれるたくさんの仲間がいて、愛してくれる息子がいて、

美味しいご飯が食べられて、でこう、今日も夕日が沈んでいく、なんて毎日。

 

tonbi

 

――「現代」とか「東京」には薄れているものなのかもしれませんね。

 

そうですね。夫婦2人だったときは近所に誰が住んでるかなんてほとんど知らなかったし、

今は子どもを通じて仲良くなった人たちもいて、地縁みたいなものはあるけど。

子どもはやがて大きくなってしまうしものだし。住む土地を変える方も多いだろうし。

中々「ずっと」って難しいですよね。あんなに、仲間や親友や、息子から愛されて、

その縁が年をとってもずっと続いていくなんて。そうそうないんじゃないかなぁって、

考えたりしますね。

 

 

――今回、「otonto」と「とんび」ということで、otonの企画なんですけれども。

森下さんのotonはどんなotonですか?

 

定年してからは、悠々自適。

野菜作ったり、ゴルフしたり。庭の散水機みたいなもの作ったり。

 

――え!散水機作られるんですか!

 

そう。そう。

元々、電器系の設計の仕事をしていてね。自分で作っちゃうんです。

 

――そういえばお父さん、DIYがお好きなんですよね。

 

はい。祖父は昔、宮大工やってたらしいです。だから、そういう血なのかも、というのもありますね。

昔、私が住んでいた家は庭や門扉、塀、階段、ガレージ、ベランダに至るまで、

家以外はすべて父親が作ったものでした。

 

――DIY以外はどうですか?

 

多趣味ですよ?。とにかく止まってられない。休みがあれば、テニス、釣り、水泳、DIY、マラソン。

他にもたくさん。一応家族サービスで私たちも連れてってくれてりするんだけど、

「子どもと遊ぼう」というより、連れて来たもののいつの間にか子どもをほったらかして

自分が本気で楽しみ始めちゃうような感じでした。

 

――それは子どもとしては楽しくない!(笑)

 

遊びの基準も子供に合わせるって発想はないんです。釣りに行けば夜釣りだし、

キャンプもいきなり素の河原だし。ウエアもスキー靴もないのにスキー場に連れてかれる。

泳ぐのは山道脇のどこかも分からんような川とか、漁師さんがいるような岩場とか。

遊んでいるはずなのに、どっか修行な感じ……。振り返って考えると、

「金払わんと遊べん」のが嫌やったんやないかなぁ。海の家の焼きそば高すぎるとか、

テント張るだけで何で金払わんとあかんねん、みたいな。ま、貧乏だったってだけかもしれませんが。

 

――「嫌だ!」って思ったことも、あるんですか?

 

中学生くらいのときはもうキライでキライで。

それにとにかく、口うるさい。よくしゃべる。よくしゃべるのに相手の話は聞かない。

会話じゃなくて演説なんですよ。

本人は分かって欲しいことや一言呈したい事がいっぱいなんでしょうけどね。

空気の読めない男の最たるものじゃないでしょうか。

 

 

――相手に理解されにくく伝わらない、のはヤスさんみたいですね。

男は、言葉足らずで、伝えるのが苦手ですもんね。

 

うちの父は、伝わらなくても、ずーっとしゃべってますけど。

 

――綾小路きみまろの台詞に「口数多いが言葉が足りない」ってありますよね。

 

それだ!まさにそんな感じ!

 

――森下さんのドラマはご覧になってるんですか?

 

私のドラマに対して何か言ってくれたことも1度もないかもしれない。

理系だし、フィクションは所詮、「絵空事」と思っている節があるようです。

そもそもドラマはあまり興味ないみたいです。

ドラマがついていると、自然とお休みになります。

 

――どんな番組をご覧に?

 

ドキュメンタリーとか、ニュースとか。あとはテニスやゴルフの試合ですね。

「ほぉー」「あかんなぁ」「ええんちゃうの?」とか、やっぱりひとりでしゃべりながら。

 

――一緒に観ることは?

 

ニュースとかならありますけど・・・やっぱ最後は父がひとりでしゃべってます。

 

――お前はどう思う、とか。

 

あ、ない!今思うと、話に意見を求められたこと、1回もないかも。

詰められる時に「あなたはそのへん一体どう思てんの?」と追い込まれる場合はありますけど。

でもね。私のドラマ、観てはくれているみたいなんです。

母はドラマの初回と最終回にはいつもメールをくれるんですが、

それをみるとどうやら父も観てくれているようだということは何となく分かる。

父からは聞いたことないですけど・・・

 

――お父さんは、お孫さん、つまり森下さんの娘さんに対してもそんな感じなんですか?

 

孫のことは、溺愛。

どうも、リタイアしてからは近所の子どもと遊んでいることもあったみたいなんです。

あんなに自分本位で遊ぶ人だった父が、近所の子どもと遊んでるなんてかなり意外でした。

すこし前にも「子どもは天才だ!こいつらは24時間遊びきりよる」って言ってて。

年とって変わったんかなぁとも思ったんですけど、考えてみれば、

24時間動き回ってたい人だったから、子供に自己投影しただけなのかも(笑)。

 

 

――お父さんとのすごく印象深かったエピソードはありますか。

 

小さい頃、うち、引っ越し多いな!って思ってたんです。父は転勤をする職種じゃなかったし、

引っ越し先も、あまり意味のないような場所にわざわざ。それも借りるんじゃなくて、

買い増してそこに住んでいくんですよ。結局、私が大学を卒業するまでで、3軒買ったんです。

 

――3軒も!

 

家賃は入ってくるものの、それでは追いつかず、いつまでたってもローンは続くという状態で。

「貧乏だけど、子供の教育費は惜しまない」主義だったので、子ども2人が受験時期になると

そりゃもう大変で。でも、家売ってローン払っちゃうということはやらない。

父のやってることが全然理解できませんでしたね。

 

――どうしてそういう生活だったんでしょう?

 

後から聞いてみたら、「借金ないと、会社辞めてまうから」ってことだったらしいです。

 

――ほう!

 

父はずっと会社をやめたかったらしいんですね。

辞めたかった理由はよくわからないけど、辞めたくて辞めたくて。

でも、子どもが就職するまでは辞められないんだ、って。

借金があるうちは辞められないって思うから、借金を作り続けてたんだって。

すごい思考回路ですよね。働き続けるために借金つくるなんて。

 

――森下さんと、弟さんのために、辞めちゃいけないって思いが強かったんですね。

 

おかげさまで、私も弟も大学まで行かせてもらったし、

大学時代の仕送りもちゃんともらってたんですよねぇ。

今となってみれば、相当大変だったんだろうなぁって。まぁ、働く為に借金するなんて

過激なことをするからそうなるわけですけど。育ててもらった身としてはありがたいと

言わなきゃならないです。

 

――へぇー、素敵なお父さんですね。

 

素敵じゃないです。それはもう絶対に違う。自分勝手な変わりモンのおっさんです。

でも、尊敬すべきとこも確実にあるにはあるんです。彼は自分の頭で考えて、

自分の手を動かして、自分の価値基準にしたがって行動してますから。それが強すぎるのが、

まぁ、周囲は「勘弁してくれ」ってなるんですけど……。

 

――森下さんのお父さんと、森下さんの描くヤスさんには、

言葉足らずだけど根底にはやっぱり愛がありますね。

 

――世の中のotonに向けて、「ヤスさんのここを盗め!」っていうポイントはなんですか。

 

照れ屋でかわいい、ところ!

じゃあ今日から照れてみましょう・・・って言っても、無理ですよね(笑)

 

うーん。自分の周りをきちんと大事にするところかなぁ。

人間って自分を認めてくれない人に認めてもらうためには割と頑張るけど、

当たり前のように自分が持っているものに対してはケアを怠りがちなんですよね。

本当に自分を支えてくれていたり、自分を愛してくれている人たちのことを忘れちゃう。

 

――確かに!言われてハッとしますね。

 

ヤスさんは、自分の足元しか見ていないと言ってもいいくらいそこしか見てない。

彼は彼なりに周りの人間を本気で心配してるし、本当に大好きなんだって感じ取ることができる。

 

――すごくシンプルだけど、大切なことです。

 

怠りがちだけど、自分の家族とか、仲間とか、当たり前のものを当たり前に大切にできることって、

とても重要なんじゃないですかねぇ。

 

――そうですね。それは、全国のotonに覚えておいて欲しいことですね。

 

そうです、そうです。自分を愛してくれる人を大切に。

そしてそろそろ、私も娘の保育園のお迎えに・・・

 

――おぉ。お母さんを待っているのですね。

自らの足元を大切に。早く迎えにいってあげてください!

本日はありがとうございました!

 

ありがとうございました。

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脚本家:森下佳子さん

 

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