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映画「461個のおべんとう」。原作者のTOKYO No.1 SOUL SET 渡辺俊美さんに、親子の実話を聞きました。
ミュージシャン 東京都内 渡辺 俊美さん(53歳)
家族構成:妻、息子(26歳)、娘(6歳)、息子(3歳)
「3年間毎日お弁当を作る」「3年間休まず高校に通う」。そんな親子の約束を描いた、映画「461個のおべんとう」が2020年11月6日に公開されるのに先立ち、原作者であるTOKYO No.1 SOUL SET ボーカル&ギター、渡辺俊美さんにインタビュー。26歳になる息子さんとの関わり方や、現在は再婚されたご家庭で、3歳と6歳のお子さんの子育て真っ只中である渡辺さんの考えるオトンのあり方を伺いました。
聞き手:oton+to編集長 布施太朗 写真:池部裕正
―映画「461個のおべんとう」で井ノ原快彦さんが演じた「鈴本一樹」というオトンはすごくフラットという印象でしたが、渡辺さんは、あのままのオトンですか?
あのままですね。僕はそうだと思ってます。
―どこかの場面で、「いや、俺はこんな感じじゃないな」という違和感に思われたところとかは?
僕に関しては全くないです。
―あー、そうですか。
逆に僕が井ノ原さんに寄せてますね(笑)。と言いたくなるくらい本当にほとんど一緒。立ち居振る舞いとか周りへの関わり方とか。
―あははは。では、もうずっとフラットな良い関係が続いている感じですね。
そうなんですよ。なので、最初映画の話をいただいた時、いろいろあったりとか、ちょっと仲が悪い方が面白かったりするから「映画にはなりづらいんじゃないかな」と思ってました。それくらい仲は良いです。
―息子さんも音楽活動をされているということですが、やはり音楽談義みたいなことをしたりしますか?
しないというわけではないんですが、「こうしろ、ああしろ」っていうのは全く言わないです。お酒を飲むようになってからは「こういう方がいいんじゃないの?」っていうアドバイスに近いこと言う時もたまにありますけど、息子は「俺は俺でやる。」って。
―オトンの気持ちとしては、ちょっと言いたくなることもありますか?
ありますね。でも、ここ2、3年は一緒にライブをやることもあるので、言葉で伝えるよりも現場で感じてもらおうって思っています。結局は「人だぞ!」っていうこととか。例えばライブのリハーサルの時に100点が出せても、本番では70点しか出せていないというときに、お客さんが100点にも、200点にもしてくれる時はある。コミュニケーションが自分自身も成長させてくれるということを、息子にもステージで体感してもらえればと思ってやっています。
―人とのコミュニケーションという話は、お弁当を息子さんに作られていたときからされていたんですか?
うーん、どうだろう。しているようでしてないような。というのも息子が「僕は音楽で食っていくから、高校には行かないという話になった時のことがいい例なんですが。私は一度「高校には行った方がいいんじゃないの?」と言ったものの、最終的には「自分で決めな」って伝えたんです。自分が若かった時のことも思い出して、結局親の言うことは「うーん、うん」って聞くくらいで、何をするかの選択は最後は自分でするものだなと思っていたので。
―そこで、親の言うことは聞かないものというのを理解した?
そうですね。「親の言うことは聞かない」そういうもんだっていうのが、そこで芽生えましたね。
―ご自身の若いことを思い出して、同じ目線でフラットに接したんですね。そういう関係に憧れたりするけど、なかなかできないお父さんも結構多いみたいです。
あー、そうですよね。
―特にお子さんが中学生とか高校生くらいの親子だと、反抗期もあったりしてコミュニケーションが少なくなるというのをよく聞きますよね。
聞きますね。
―そういうのはなかったですか?
なかったんですよね。多分僕と親父の関係性自体がフラットで、仲が良かったっていうのが大きいんじゃないですかね。僕が高校生の時でも親父から「俊美背中掻いて」って言われて掻いてあげたり、キャッチボールとかゴルフもしたりして。
―そうすると、お父様が見本になっている?
そうですね。結局、親父にどんどん似てきているような気がしますね。僕も親父の言うことを聞かず洋服屋をやったり、音楽をやったりして。当時、親父は理解してくれなかったですけど、「親の言うことは聞かない」って親父も思ってたんだと思います。で、最近親父と僕の関係とか、僕と息子の関係から分かったのが、「親の言うことは聞かないけど、親のすることの真似はする」ってことですね。仕草とか。
―そういった関係になるためのコミュニケーションの取り方で大事なことってなんでしょう。
あえて構えたコミュニケーションを取らなくてもいいんじゃないかな。でも、1つ思うのは、子どもは「親に似てきたなー」って思った時に若干の反抗をしますよね。「俺はこうなりたくない」って言う。その時にその子どもに対して「反抗期」と捉えるのか、「成長期」と捉えるのかというのはカギになるんじゃないかな。「反抗期」と捉えてしまうと、もうそこでコミュニケーションを諦めちゃうというか。
―そうですね。反抗期っていう枠に入っちゃいますもんね。
そうなんです。だから「反抗期」ってちょっとマイナスなので「成長したな」って言ってやる。そうすると、自然とコミュニケーションが取れるんじゃないですかね。成長はどんどん膨らみますから。
―お父さんの捉え方次第ですね。
だと思っています、僕は。だから今、3歳と6歳の子どもを育てる中で「イヤイヤ期」と言われる時期がありますけど、全くそういうワードは無視というか。「あー、成長してんだな」っていう風な考え方をしていて、そうすることで自分としても心地良さを感じます。
今回の"オトン"なアーティストは、
渡辺 俊美さん
TOKYO No.1 SOUL SET ボーカル&ギター
福島県富岡町出身。
家族構成:妻、息子(26歳)、娘(6歳)、息子(3歳)
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