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あ、自分は3人も守ってくれるお父さんがいるんだ、すごく幸せだなって。【後編】
タレント IMALUさん
家族構成:母、父、兄
【オトンの流儀とか〜特別編〜】今回は父の日特別編ということで、「オトン」ではなく「ムスメ」であるIMALUさんにインタビュー。明石家さんまさんや野田秀樹さんと接する中で、子どもの頃に感じていた大人へのあれこれや大人になったから理解できる子どものあれこれをお話しいただきました。
聞き手:oton+to編集長 布施太朗、大山あず紗 写真:島野大輝
第2回この距離感だからこそ、今の自分があるんです。
―ご家族の皆さんがどれくらいの距離感でいるのかなっていうのは興味がありますね。
うちはすごい変わってますね。変わってるなって思ったのが、去年、母の還暦の誕生日パーティーの時。これは全部オープンにしてるんですけど、母は私の父親と別れたあと、野田秀樹さんとお付き合いしてずっと一緒に住んでたんですよ。私も兄も野田さんにすごい可愛がってもらっていて。でも結果的に二人は別れて、野田さんは別の方と幸せに結婚されてお子さんもいらっしゃるんですけど。実は今も野田さん家族とよく行くお店が一緒なので、たまにお店でバッタリ会ってみんなでご飯食べたりする関係性なんですよね。その還暦のパーティーにも、私の父も野田さんも両方来るっていう、、、。
―へーーー!
2人でお互いをネタにしあう絡みもあって。「なんで結婚してくれなかったんや!」って、父が野田さんを茶化して言うみたいな。
―すごいお二人ですね。
そんなことができちゃうって、やっぱり関係性とか距離感とか、うちは変わってるなって思います。よく離婚して嫌だったこととか、父親じゃない人と暮らすことで嫌だったこととか質問されることがあるんですけど。
―はい。
私はあまりネガティブに受け止めてなくて。多分小さい時に母親に言いくるめられたんだと思うんですけど。私には、天国にいる兄のお父さんと、ボスと野田さん、3人も守ってくれるお父さんがいるんだ。それってすごい幸せだなって。そう思ってたんです。
―素敵ですね。“ボス”っていう呼び方も守ってくれる人の感じがしますね。ちなみに野田さんの呼び方は?
一緒に住んでいた、自分がまだ幼稚園とか小学校入る前の時は特別な呼び名がありました。最初、会う前に電話で話したんです。母親が「話す?」っていうので代わったのが、野田さんとの最初の触れ合いで。でもその時、子どもだったからいきなり知らない男性の人に電話出られても「え?」って感じじゃないですか。
―混乱しちゃいますよね。
それを察してか、「誰と話してるの?」って私が聞いた時、母親が「ウルトラマンだよ」って言ったんです。
―ウルトラマン!?
で、「すごーい!ウルトラマンと電話してるの!かわってかわって!」って電話を代わったら、「ウルトラマンです」って野田さんも。私、すごい感動しました(笑)。その後野田さんと実際に会った時も「ウルトラマンだよ」って自分から言うから、そう呼ぶようになりました。
―野田さんがウルトラマン。
なんか謎ですけど。父を「ボス」って呼ぶ感覚と同じで、ニックネームみたいに呼んでましたね。
―外出先でも?
はい。でも兄は途中からお父さんってちゃんと呼んでました、野田さんのこと。
―そう決めたんですね。
腹をくくったんだと思います。その頃、兄は小6くらいで、大きくなってたっていうことと、私たちに対して野田さんもすごく真正面から向き合ってくれていたから。だから兄もお父さんって呼んでたんじゃないかな。
―真正面から向き合ってるっていうのはどういうところから感じましたか?
叱ってくれたんです。兄のお父さんもいないし、ボスも叱るタイプじゃなくて、初めて叱ってくれた男性が野田さんなんですよ。でも私の方は、なんでお父さんじゃないのに叱ってくんだよって思ってましたけど。
―どういうことで叱られました?
うーん、映像は浮かぶんですけど、それがなんだったのかはあんまり覚えてないんですよね。でも野田さんが前に言ってたのが、「いってきますを言いなさい」って叱ったことがあるって。それで私がぶすっとして。ほんとにそのくらいの些細なことだったんと思います。
―些細なことだけれど、野田さんに言われることに思うところがあったんですかね?
なんだろう、もちろん仲は良かったけど、そうやって叱られると、私なんかは野田さんに言っちゃってました、「家族じゃないじゃん!」って。それで互いにピリついたことも時にはありましたね。でも今はみんな大人になり、食事屋さんでバッタリ会ったりお仕事で会ったりと繋がりもあって。一緒に住んで可愛がってもらったんで、そうやって会えると嬉しいですね。あ、大人になってからはウルトラマンとも呼べないので、野田さんって呼んでます(笑)。
―そうなんですね。では野田さんに影響されたことってありますか?
舞台をたくさん観れたことかな。母親はずっと舞台やってる人だし、野田さんも舞台やってますし。なので当時はよく観に行ってましたね、母親がやってたシェイクスピアとか野田さんの舞台とか。ただ、当時の自分には何も理解できなかったです。小学生にはわからない言葉や感情もあって。でも今は、子どもの時にプロの演劇をたくさん観れてよかったなあって思います。自分が大きくなってだんだん舞台の理解もできるようになってきて、今もいろんな演劇を観るんですけど、変に舞台に厳しくなりました(笑)。
―どんなふうに?
細かいところに目が行くんですよ。母と野田さんが演技や演出の細かい部分を見て話しているのを聞いていたので。例えば母は、なんで病院の先生なのにこんな爪が長いんだろうとか。なんで時代劇のこういう役なのに、ファンデーションが濃いんだろうとか、ピアスの穴が見えるとか。私も野田さんといる時には、交ざって演劇の話をしてた記憶があります。
―舞台に対する目線がそこでできたんですね。
あと音楽でも印象的に残ってる思い出があります。なんていうんでしょう、コップに水を入れて、その量で音が変わる楽器があるじゃないですか。
―あ、グラスハープですね。音の違うグラスの縁を指でこすって音を出す。
ある日、野田さんとその遊びをしていて。水の量を何度も試しながら調節をしてドレミファソラシドを自分で作ったんです。それを、「すごいよ、IMALUちゃん!本当にすごい!」って褒めてくれた記憶がありますね。
―それは嬉しかったですか?
嬉しかったですね、自分の好きな音楽のことで褒めてもらって。うーん、野田さんはある意味そういう、お父さん役を一番やってくれたかもしれない。
―ではさんまさんに子ども時代、こうしてほしかったなっていう思いはありますか?
まあ思うところはありますけど、父は歩み寄るタイプじゃないので。だからそれを歩み寄って欲しかったって求めると色々出てきますけど。
―うんうん。
でも逆に、あんまり熱心に教え込まれずに、背中を見て育った、その距離感が居心地よかったんです。少し離れてるからこそ似てるなってDNAを感じることもあって。今くらいの距離感だからこそ、今の自分になっているとも思うし。極端な話をすると、私の芸能界入りのためにコネクションをいっぱい作ってくれて、色々教え込まれていたら、多分自分は全然違った人間になってたと思います。もちろん名前だけでもすごいサポートなんですけど。私は何も知らないまま、芸能界という色んな大波がある世界にパーンって飛び込んで。2人の距離感が、自分をそうさせてくれたんです。
―うんうん。
それに、求めたらきりがないですよね、過去のことを。だから、これでいいかなって思います。
―では反対に、IMALUさんがこうしてあげたかったなと後悔してることはありますか?
まだ親孝行はできてないです、全然。親孝行のためにも、仕事を頑張っていますね。自分がちゃんと自分の道を歩いて、この世界で成功していくことを一番、父も喜んでくれるんじゃないかなって思うので。
―最後に、もしも1つだけ、お父様に伝えるとしたら、どんなメッセージになりますか?
1つだけ?
―1つだけ。
あー、難しいですね、なんだろ。まあでも、年齢ももう60過ぎなので、「たまには休んだら?」かな。
―娘からの「たまには休んで」。なんだかグッときました、今。
ははははは。本当に休みませんから。病気しても病院も行かずに、口から出して気合いで治すタイプなので。
―じゃあ弱ってる姿をみたことあります?
ないんですよ。寝てる姿も見たことないですもん。
―あっ、それはご家族もないんですね。
さすがに母親はあると思いますけど。私はないです。
―あの、一番最初に仰っていただいた、人間ではない、、、。
そうですね、人間ではない説が(笑)。父と母、2人のとてつもない体力を見てると、20代の自分が負けてらんないですよね。
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家族構成:母、父、兄
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