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作家 重松清さん(55歳)
オトンの流儀とか
アーティスト編 Vol.10

もしも、お父さんと息子が同い年だったら友達になるだろうか?どうだろうか?無理だろうか?【第1回】

作家 重松清さん(55歳)

作家 重松清さん(55歳)

家族構成:妻、娘(26歳)、娘(21歳)

聞き手:oton+to編集長 布施太朗 写真:島野大輝

第1回僕は家に帰らず、仕事場に泊まりこみで、家族の物語を書いていました。

―そうなんでしょうね。スマホの登場で学校の風景が変わったみたいに。

はい。あと、僕は90年代の終わりにも早稲田で非常勤講師をしていたんです。2年間。

―その頃は、また違いますか?

その頃は、就職氷河期真っ只中でした。あと、お父さんが山一証券で、「父の会社がつぶれたので大学の学費が出せなくなった」なんて言う子もいたりして。さっきも言いましたが、時代の影響は、若い人のところに一番敏感にやってきます。

―今はどうでしょう?

就職率なんかはいいんだけど、先がどうなるか分からないですよね。朝鮮半島のこと、トランプのこと。楽観的に、なんとかなるさとは思えない状況だと思います。

―時代の雰囲気は、2人の娘さんからも感じますか?

やっぱり感じますよ。上の娘が91年生まれで下が96年。下の子はもうインターネットが最初からありました。上の子はセーラームーン直撃世代で、下の子はポケモン、プリキュア。2人とも娘なので、僕は男の子のことは知らないんです。まあ、知らない分、逆に小説で男の子のことを書けたのかもしれませんが。

―重松さんの小説の男の子は体験じゃなく想像なんですね。

だから今でもね、自分の書いている小学生や中学生というのがリアルなのかどうかは分かんねーぞという気持ちはいつも持っています。思いっきり外れているかもしれないと。分かった気になっているのが一番怖いので。

―娘さんたちは、もうお家を出られているんですか?

そうですね。今はまたカミさんと2人きりになっちゃいました。

―寂しいですか?

はい。でも僕よりカミさんのほうが寂しいんじゃないかと思います。僕が家で仕事をしている時、リビングから笑い声が聞こえてきたんですよ。娘がいた時はね。それが2人暮らしになると、一人が仕事を始めたら、もう一人は話し相手がいないわけで。

―そうですね。

だから、娘が帰ってきた時は、女子トークをしているんですかね、笑い声がリビングから聞こえてきて、「ああ、カミさん、嬉しいんだろうな」と思います。

―奥様と娘さんとの会話には入らないんですか?

入れない(笑)。 話題がないというか、女子トークには入っていけないな、うん。

―どんな話題なんですかね?

少し前は、新しい地図でしたっけ?元SMAPの。そういう話とか、それとAmazonプライムで、ちょっと昔の漫才とかを観ながら「サンドウィッチマン、若—い!」なんか言っているわけです。

―執筆はご自宅でされるんですか?

いや、近所に仕事場があるんですけどね。10年くらい前までは、そこにずっと泊まり込んでいたんです。

―ご自宅には帰らなかった?

はい。だから娘たちの思春期というか、一番難しい時期に、僕はあまり家にいなかったんです。それは負い目でもありますね。

―負い目になっているんですか?

まあ、でも僕が家にいたら、話が余計に難しくなっちゃうというか、娘がさらに反抗したかもしれません。そういうことも考えて、仕事の忙しさのほうを優先したんですよね。親の忙しさのほうには、あまり向き合わなかったといいますか。でも今は、両立できなかったことに対する申し訳なさが少しあります。

重松清さん

【第2回 】「小学5年生の長女のお父さんを42歳の僕がやるというのはたった1回ですから。」に続きます。

重松清さん

今回の"オトン"なアーティストは、

重松清さん

家族構成:妻、娘(26歳)、娘(21歳)

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