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子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない

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IT企業経営 東京都世田谷区在住 西田 祥さん(39歳)
オトンの流儀とか
ビジネスマン編 Vol.06

子どもに伝えたいこと、そうですね。「雨が降ってもオマエのせいだよ」と。

IT企業経営 東京都世田谷区在住 西田 祥さん(39歳)

IT企業経営 東京都世田谷区在住 西田 祥さん(39歳)

家族構成:妻、息子(高1)、娘(中1)、娘(小5)、息子(小3)、娘(年長)、息子(3歳)

聞き手:oton+to編集長 布施太朗

―上の子ってもう高校生中学生ですが、どういう付き合いを?

会話は多いですね。上の子たちとは特に。あと、毎週、我が家で小論文を書いているんです。テーマはニュースアプリから自分が興味あるニュースを調べて選ばせて作文用紙2枚を書かせています。子供にとってニュースの日本語って難しんです。この間、A.I.が人の仕事を請け負ったらどうなるのかというニュースがありました。子どもはA.I.がなにか分からないからそこで調べる。そういうことをしながら言葉を覚えたり、興味を持ったり、自分で想像したり考えたりする。みんな選ぶ題材が違うんです。それを日曜日の夜にみんなで読みあって、そして意見を言い合うということをしています。私はファシリテーターです。「今の作文、どう思う?」「こういう考え方もあるんじゃないかな」って。

―小論文発表のきっかけは?

きっかけは2番目の長女の中学受験です。試験科目に小論文があったので、やってみようかと。で、どうせならお兄ちゃんもやってみないかと誘って。これは始めてから1年ちょっとなんですが、今では次女の5年生も毎週続いています。

―子どもたちは大変だ(笑)。

そうですね。2枚というのは結構な量だし、大人の言葉と付き合わないといけないし、部活もあるし。やるのはどうしても夜になるんですが、でも書いてきます。

―お兄ちゃんも誘ったとのことですが、もしイヤだと言われていたら?

そのときはやらなくていいって伝えます。主体性を持ってもらうために、基本的に本人が決めます。こちらとしては「やれよ」とは言わないんですが、重要なのは何のためにこれをやるかをしっかりと説明します。その上で、やるのかやらないのかは自分で決めてねと。
他にも似たようなことがあります。ウチ、お小遣いをあげないんですよ。

―お小遣いがない?

お小遣いって、基本的に1ヶ月経ったらもらえるじゃないですか。何かを成果としたわけではなく、時間が経ったら、もらえるわけです。時給とか残業代とかの、いわゆる「時間=お金」という概念です。社会で大事なことは、時間がお金に変わっているのではなくて、成果がお金に変わっていることなんです。そういうことを教えないといけないと思ったんです。「お前の出した成果は何だ?」と問われる人材よりも自分の出せる成果を話し、それに見合った報酬交渉ができるほうがよほど優秀な人材です。なので、子供たちには何かをやってはじめて、それの報酬が生まれるということを教えたいんです。

―具体的には?

長男には、ヤフオクで私の持っている不要なものを売らせるんです。で、その売れた金額の20%パーセントは手数料としてあげます。商売の基本です。売らなかったら、その手数料がもらえないだけなので、やらなくてもいいですし、お金が欲しかったらやりますし。最近は、ヤフオクはちょっと難しくて大変だそうで、メルカリでやっているそうです。こないだは私のスーツを売って、手数料で7000円儲けていました。手数料を高く取りたいので、売れるか売れないか、その商品の価値を調べるところから始めます。これはマーケティングですね(笑)、お金の勉強にもなります。

―そのほかはどんなことをやらせているのですか?

例えば、子供に私のシャツをクリーニングに出してもらっています。私は、1枚350円と決めて、お金渡しますが、どこのクリーニング屋も指定しません。安いところを見つけたら、その差額が君のお金になるよということです。子どもたちは、より安いクリーニング屋を探すんですよ。こういう商売の鉄則というのは学校では教えてくれないから親が教えるしかないんです。もっと小さい子だと、テストで100点取ったら50円とか100円とかもらえる。というふうにしています。頑張ったらもらえる。100点とれなかったらそれは自分のせいだよね。しょうがないねと。あと、サッカーとか野球とかで点を取った日は特別に焼肉を食べに行くとか、インセンティブをいれています。もらって当たり前ではなく、成果をあげないともらえないということを教えています。社会はそういう理論なのだからと。

西田 祥さん

―今までの子育てで失敗したなということはありますか?

ありますよ。以前、子どもたちに毎月「目標」を書かせていたことがあるんですが、半年も続きませんでした。結局、目標だけ決めただけじゃダメなんだとわかりました。目標は決めても、自分でやり続けて達成できるとは限りませんからね。ダイエットをしたい女子が、結局続けられないのと同じ現象です。大事なことは目標達成させるために、大人が一緒に寄り添えるかですからね。あと、子どもたちって、いつも明確な目標があるわけじゃないんですし。子供たちの目標なんて、なんとなく楽しそう、なんとなくやってみたい的な感覚ですから。その「なんとなく」に方向をつけてあげるのが大人の役目かなと思います。持久走で1位を取りたいと子供が言ったとします。そしたら、大会までに週2回パパと走ろうという約束をして、次のステップとして10秒くらい縮めてみようかいう、小さいゴール設定をしてあげる。そうすると子どももノリやすいんです。

―「これが目標だ!」と強く定めて引っ張るのではなく、
まずはあっちのほうにちょっと一緒に走ってみようと。

はい。営業もそうじゃないですか。今月は2000万円売り上げるぞ!って壁にドーンって貼ったところで達成できないですよね。できるように一緒に方法を考えて、行動に落としてPDCA回してたら、気が付いたら、勝ちパターンになっていることが大事なんです。
会社の社員教育もそれに近くて、踏ん張らすのではなく、楽しんで、気づいたら出来ている自分がいるというのが理想です。自分が楽しいと思うことは24時間やりますから。子どもにゲームを与えるつもりでね。だから、いかに楽しくやらせるか、そう仕向けることが大事だと思います。

―楽しい状況を作るには、一緒にやるというスタンスが大事なんですね。

はい。小学3年生の次男の話なんですが、彼は保育園のころ、発表会でも演技できずに隠れたりして、先生に抱っこされて舞台に立つような子供だったんです。でも、サッカーを始めたのがきっかけで変わってきたんです。次男に私が何をしたかというと・・・サッカーゲームを買ってあげて一緒にやるということ。やっていくうちに強い選手の名前を覚えて行きます。すると今度はyou tubeでその選手のスーパープレーを勝手に観るんです。そこで技を覚えていくんです。また、サッカー選手の動き方、ポジションなどゲームを通じて、次男がイメージできるようになるんです。イメージできないことを人はできませんからね。 今では小学3年生ですけど、他の子に動きの指示を出すようになっています。地域でサッカーをやっている小学3年生で、ウチの次男のことを知らない子はあまりいないと思います。「なんだ?あの22番は!」って。親が言うのもなんですけど(笑)。なかなか入ることができないアルゼンチンのクラブチームにも入ったんです。その代わり勉強はからきしできませんけどね(笑)。

―頑張りかたの方向性をちょっと見せてあげたり、頑張れる環境を用意してあげるということですね。西田さんは子どもが何に興味を持っているかということには敏感ですか?

そうですね。そういうことはちらほら会話しています。この子は今何が欲しいのかなとか、どういうことを考えているのかなとか。それでいうと、中学1年生で第2子目の長女は6人の中でも難しい子です。3人兄弟以上で2番目の子供というのは、親からの愛情が1番薄いと感じるようです。第1子目は、無条件に初めての子供として両親の愛を独り占めできる期間があります。2子目も当然、愛はもらいますが、分散されます。さらに記憶がないうちに3子目が生まれ、ちょっと大きくなった2子目は、3子目に対する愛情を目の当たりにします。なんで、私には薄いんだろうと思ってしまいます。「わたし、がんばってるでしょ?」というアピールが強いんです。一番頑固なのも2子目です。だからわたしは、長女を一番えこひいきしているんです。

―えこひいきは、どんな風に?

長女の保育園の卒業式のときだったんですけど、将来の夢を言うというところで「野球の選手になりたい」って言ったんです。そんなこと、そのとき初めて聞いたんです。そこから地元の野球チームに入れて、私もコーチをやりました。野球経験者ではなかったんですけど(笑)長女は特別だからコーチまでやっちゃいました。娘はもう退団しましたけど、なぜか私はまだコーチとして残っています(笑)。だいぶ経ってから、長女に聞いたんです。卒園式の日「なんで野球の選手になりたいって言ったの?」って。そしたら「いつも公園でパパが野球を見ていたから」だというのです。近くに世田谷公園があって、そこには野球場があったんです。子供を公園で遊ばせながら、私は暇つぶしに草野球を見ていたのを、長女は「パパは野球が好き」って思ったらしいんです。パパに見てもらいたかったんですって。

―じゃあ、パパがコーチになったのはうれしかったでしょうね。

たぶんそうだと思います。でも 私はサッカーのほうが好きなんですけどね(笑)。

―えこひいきのことは、奥様と共有していますか?

してます。家内も理解しています。だから小論文をはじめたのも長女が受験だからなんです。何かをするきっかけになっているのは、長女からが多いかもしれません。長女が4年生の時、種子島へ遊びに行かせました。島を好きになり留学したいというので、小学5年生の1年間を種子島へ山村留学させました。向こうの里親に預けての1年まるまる行ったきりです。小学5年生で親と離れ、違う文化の家に住む良い経験です。帰ってくる頃には、すごくしっかりしたなと感じました。

―すっかりお父さんらしいお父さんですね。

あははは。先ほども言ったように、だんだんお父さんとしても人間としても変わるきっかけがあるんです。以前は父母懇親会とか親同士の付き合いとか絶対イヤだったんですけど、今となっては意外と楽しいですよね。町内会的なこととか野球コーチたちの飲み会とかもやります(笑)。
そういうコミュニティの中でまた、いろいろな問題が起こるんですから面白い。監督とお母さんたちがどうもうまくいかないとか(笑)。どこそこが協力しないとか(笑)。そういう不協和音が改善されていくプロセスの中で、このアプローチも企業で起こることと似ているから、使えるかもって勉強になりますし。私は、仕事もそうじゃないことも全部結びつけちゃっています。

―もし、子どもたちにひとつのことしか伝えることができないとしたら?

そうですね。自己責任ですね。「雨が降ってもオマエのせいだよ」と。

―いい言葉ですね(笑)。ちなみに今、土日はどんな感じですか?

子供のサッカーが2学年あるので、当番をしているか、遠征するために車を出しているか、それが無いときは野球のコーチです。あとは、社員から連絡が入って、打合せしたいということで呼び出されたりしています。平日のほうが全然ヒマですよ(笑)。

―最後に、西田さんとって子育てとは?

自分を人間にしてもらっているんだなって思います。自分の成長感がありますからね。そして最後は人間として全うさせてもらえるような気がします。まだまだ人生終わらないですけど(笑)。

西田 祥さん

今回の"オトン"なビジネスマンは、

西田 祥さん

株式会社スピードリンクジャパン 代表取締役
台湾出身。
家族構成:妻、息子(高1)、娘(中1)、娘(小5)、息子(小3)、娘(年長)、息子(3歳)

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