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息子が2歳のとき「はよ行け、ばかやろう」って言ったんです。
コンサルティング会社経営 東京都府中市在住 浅野 泰生さん(44歳)
家族構成:妻、息子(小2︎)、娘(4︎歳)、娘(1︎歳)
聞き手:oton+to編集長 布施太朗
―我が家のルールっていうのはありますか?
ルールってほどのことではないですけど、とにかく挨拶だけはちゃんとしなさい。ですかね。もう口うるさく言っています。もうひとつ、これはカミさんが必ず言うことなんですが、子どもの話すことにオチを求めるんです。小学1年生の子どもに学校のはなしを聞いていて、最後に「で、オチは何なん?」って言うんですよ。
―それは大阪だからですね(笑)
とにかく笑って暮らそうというのは強いです。とにかく明るく楽しく。さっきの幼稚園の話になるんですけど、誕生月に誕生会があるんですよ。その月に生まれた子が前に出て、親も見ているなか、大きくなったら何になるっていうはなしを発表するわけです。女の子はね、お花屋さんとか、看護師さんとか言うんですよ。ウチの真ん中の子は、大きくなったらパンダになりたいって言ったんです。発表の練習の時、先生が娘に「パンダにはなれないよってさんざん言い聞かせたんですけど本番でも言ってしまいました」と、そのあと謝りにきたんですよ。でも、うちのカミさんは「それで受けたからええやん」って。もう、とにかくオモシロおかしければそれでいいみたいな。クソ真面目に答えてオモロないよりええんちゃうのっていう。
―かなり先の話ですが、娘さんが大きくなったとき、娘をよろしく頼むと言えるのは、どんな男性ですか?
真ん中の子はかんしゃく持ちなんですよね。で、何か一つ気に入らないことがあると、本当に怪獣になっちゃうっていうのがあって、もう家の中で言い聞かせてもなんともならなくて、外に連れ出して母親が諭すみたいなことをしていると、近所の人達が虐待しているのではないかって思われるぐらいに暴れるし、どうしようもないんです。以前、私が出張に出かけていた時に、娘がかんしゃくを起こして、ここまで怪獣になるっていうのは私の育て方が悪かったのかって電話口で泣いたくらいなんです。だから娘をコントロール出来るんだったら誰でもいいよねって。これは夫婦同じ意見です。ただ、なかなか難しいよっていう話ですね。
―応援するよっていう感じ?
はい。一緒に攻略しようって感じです(笑)。1番下の子は、私たちも子育てに慣れてきたこともあってか、多少泣こうがわめこうがたいしたことないって思えるんですよね。まだ小さいのでどんな性格か分からないんですけど、下の子はずっと近くに置いておきたいと思います。箱入り娘といいますか、下の子だけが可愛くてすきだという意味ではなく、それぞれに違った愛情がある感じですね。
―1番上の男の子に対して、お父さんより超えてほしいものってありますか?
私は父にけっこう抑え付けれられて育てられたので、なんでもいいので好きなことで、それが仮に社会的に認知されてなくてもいいので、日本一になって欲しいなって思うんですよね。日本一というか、要は極めて欲しいなって。特殊なことでいいので。とにかく好きなことをやって自分の人生を全うして欲しいなと思いますね。さっき集団スポーツはダメだと言ったんですけど、一年ぐらい前から空手を習い始めまして。行ける時は必ず僕一緒に行って後ろで見てるんですよ、空手の稽古を。体はまあまあ1年生にしては後ろから二番目ぐらいで、背も高くて体も軟らかくて、2年生、3年生の子達と一緒に練習していても、うちの子のほうが素質あるかなと、贔屓目なしにしてもそう思えるぐらいなんです。本当は気の小さな子なんですよ。先日初めて大会に出て、1、2年生の部で64人中、決勝までいったんです。準優勝だったんですけど。チームプレーは苦手だし、人と馴染むのはちょっと時間がかかるんですけど、個人プレーで、自分の好きなことで初めて成果が出たことに対して自信を持てたと思うし、一方で最後まで勝ちたかったっていう気持ちが湧いていたのを見ていて感じました。私も同じように、悔しい気持ちとよくやったという気持ちの半々で(笑)。とにかく、自分のすきなことを徹底的にやってくれたらいいなと思います。
―先ほどご自身はお父様に抑えられたって話を聞きましたけど、もう少し具体的に教えていただけますか?
私も長男で幼稚園の時とかどん臭かったんですよ。生まれも3月28日生まれと遅くて。かけっこでもビリばっかりだったから。「お前は運動ダメだ」とか、「ダメだ」っていう決めつけがとても多かったんです。そういうことはそのあと自分なりに克服してきたつもりなんですけど、自分の息子とか娘には、彼らが「あれやりたい、これなりたい」って言っても、「お前は向いてない」っていうのは言いたくないなって思ってるんですよ。ただ、自分で決めたことは最後まで責任持てというのは夫婦そろって大事に考えています。いいか悪いかどうかは別にして、カミさんは「お父さんが頑張って働いてきて、稽古代や月謝も払ってくれているんだから、ちゃんとやるって決めたことは最後までやりきれ」っていう話は子どもたちにしてくれています。
―浅野さんにとって子育てとはなんですか?
修行です(笑)。
―なんか凝縮されていますね(笑)。
父が2年前に亡くなったんです。父は愛情表現が下手だったかなと思います。僕も愛情表現の仕方が分からなくて、子どもに対して過度な言い方になってしまったりと、そういう苦手なところは父に似ていると思うんです。子どもって、言葉遣いにしても大人の悪いところを真似するじゃないですか。こんな話があります。ウチの上の子が2才前ぐらいかな、やっと片言の言葉が喋れるぐらいかなって時にチャイルドシートに乗せて、僕が運転して送っていった時のことです。踏切があって、ちゃんと流れればもっと早くいけるのに、2、3台前がどん臭くてなかなか進まなかったんです。その時に片言の日本語しか喋れないウチの2才の息子が「はよ行け、ばかやろう」って言ったんです。そんな言葉、親が使ってないと、まだ幼稚園にも通ってないし、これは普段、こういう時に僕が言っていることなんだなと。
―愛知県民(浅野さん出身)は、車の運転がやんちゃで「行け!たわけ!」とか言うイメージですから(笑)。
そうそうそう。本当に言葉遣いもそうだし、すぐ大人の真似をするんだなって。だから大人がちゃんとしてないと。信号を渡る時もそうですよね。赤信号を渡るなって幼稚園で教えられてきて、そんなに車通らないところにね、私なんか渡りそうになっちゃうんですけど、子どもから注意されます。そういうことも含めて、やっぱり子どもから教えられているんだなと。
―子育ては修行だというのは自分を律する意味もあるんですね。
すぐに仕事に結び付けたらアカンのですけど、やっぱり経営者という立場だと社員はウチの子どもたちと同じように私のことを見ているんだなということを最近すごく感じます。だから見られる対象としてしっかりしなくちゃいけないという気持ちになります。実務的なことや能力うんぬんではなくて、人としてちゃんとしないとダメだなと。子どもの前で自分が言っていることとやってることが違ってたら、子どもはすぐ言ってくれますよね。社員は言ってくれないですけどね(笑)。そういうことを思うと会社でもちゃんとせなアカンなということを、子どもが大きくなるにつれて感じます。
―経営も修行ということですね(笑)。ありがとうございました。
今回の"オトン"なビジネスマンは、
浅野 泰生さん
株式会社MAP経営 代表取締役
愛知県一宮市出身。
家族構成:妻、息子(小2︎)、娘(4︎歳)、娘(1︎歳)
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