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オトンの心得・決めごと
2012.12.21
子どもの話をとことんきく。それしかないだろ。
「とことん話をきく。それしかないだろ」
Mさんは言いました。
Mさんは前の会社の時の上司。
2ヶ月半ほど前、横浜にあるがんセンターにお見舞いに行った時に聞きました。
崎陽軒のシュウマイ弁当とアンコの入ったお持ち2個、ピンクのグレープフルーツを持って。
(これ、全部Mさんのリクエスト)
Mさん、以前はご結婚されていましたが、離婚されて10年を越える男ひとり暮らし。
子どもはいません。
でも、どうしてもMさんに、もし子どもがいたらどんなotonだったのかを
ずっと聞いてみたくて、ベッドの横に座ってインタビューしました。
なんでそう思ったかというと、Mさんの人間力というものを強烈に感じていたから。
もうなんなんだこの人はというくらい。
風貌は、泉谷しげると車寅次郎をダンディにした感じ?そして目は市原悦子似?
全くわからないと思いますが。でも、それを全部ひっくるめてかっこいいんです。
堅気の人ではない雰囲気がムンムンでしたけど。
たとえば仕事でのはなし、
スタジオで撮影をしているときにMさんが遅れて現場に入ってくる。
その瞬間、モデル事務所のマネージャーもメイクさんもスタイリストさんもそれ以外の人も
名刺をもってMさんにダーっと一斉に挨拶にいく。
スタジオの隅から黙って入ってきただけなのに、雰囲気が一気に変わるんですね。
まあこれはオーラの話か。
たとえば、ちょっとした小料理屋さんに行く。はじめてのお店。
普通に吞んで食べて、そこにまた女将さんが料理を持ってやってくる。
「このお味噌、とてもおいしいですね」とMさん。
「ありがとうございます」
「どこのお味噌ですか」
「◎◎◎のものです」
「へえ〜そうですか、これはおいしい。今度仕入れるのはいつですか。
ちょっと分けてもらえませんか」
「それはもう、いいですよ、そんなに喜んでいただいて」
「わたし、Mといいます。またお味噌が入るころに来ますから」
こういう会話をし、次に店にきた時は、
「いらっしゃいMさん、お待ちしていました。お味噌入りましたよ」
となる。
文字にすると普通かもしれないけど、
この一言ひとことで足されていく親密加速度がすごい。
すーっとに相手の人の懐に入るというか。
そんなお店がそこらじゅう。
そんなつながりがそこらじゅう。
そして、いろんなたくさんの大人が
Mさんにいろんな話をしてしまう。
そもそもMさんはいろいろ聞いてくるんです。
でもこちらが一を喋ると十わかっている感じ。
たまにわからないときは「言ってることがわからない」と、
さらに突っ込んで聞いてくる。
で、また話が深くなっていく。
なんだこの人は。
という自分もその中のひとりになっている。
昔、そんなMさんに、「好きな言葉はなんですか」と聞いてみた。
即座にかえってきた答えは
「予定調和!」
はじめ「ん?」と思いましたが、
全てのことに人の気持ちがある。それぞれの気持ちがある。
とにかく、それが気になってしょうがないと。
「本来は◎◎だけど、それだと可哀相だろアイツが。だって一生懸命なんだから」
そういえば、こんな類いの言葉をたくさん聞いた気がする。
そして、Mさんにどうしても聞きたくなった。
Mさんに子どもがいたら、どんなotonなんですかと。
そしたら、
「とことん話を聞く。それしかないだろ」
というひとこと。
そしてちょっと考えてから
「そうだな、小学5年生からかな、勝負は」
と言いました。
>>どんな風に話すんですか
「とにかく対等に話す。リスペクトする。とことん聞いて引き出してあげる」
「話をたくさんすると、話をしている本人が落ちつくしな」
Mさんがいつもやっている大人との接し方と同じでした。
>>ところでMさん、子どもがいたら仕事に対する考えは変わったりしますか?
「当たり前!、もう子ども第一。毎日早く帰るから」
「お金のことは大丈夫。黙っていても入ってくるような状態につくっておくから」
「そして褒めてやる。徹底的にやる」と。
そういう仕事のスタイルになるのかは、
なんか想像がつきませんでしたがw。
そんなMさんは、昨日、永眠されました。
同じ職場で部下として働いていた時には、
いろんなことを聞かれて、うまいこと説明できないながらも
たくさん話をさせてもらったし、
仕事のこと、人のこと、いろいろ教えてもらったし、
昼飯もたくさん一緒に食べにいったし、たくさん吞みにいったし、
深夜タクシーでもいろいろ話しながら帰ったし、
ちょうど1年前も、Mさんの家に行って、
やっぱり最近のことをいろいろ聞かれて、聞かれるままに話をして
言われるがままに風呂入って、そのまま泊まって、
次の日はMさんの運転する車で
綾小路きみまろの漫談のCDを聴きながら
きみまろとMさんの共通点についてとか話したりしたけれど
でも、やっぱりもっと話したかったなあ。
どうもありがとうございました。
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