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子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない

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サッカーチーム経営 神奈川県平塚市在住 水谷尚人さん(49歳)
オトンの流儀とか
ビジネスマン編 Vol.08

娘には「いつでも笑顔で」と。僕は苦しい状況でも笑おうと、ずっと思っています。

サッカーチーム経営 神奈川県平塚市在住 水谷尚人さん(49歳)

サッカーチーム経営 神奈川県平塚市在住 水谷尚人さん(49歳)

家族構成:妻、娘(中1)、娘(小3)

聞き手:oton+to編集長 布施太朗

―Jリーグの社長ってどんな方が多いですか?

明確に2つに分かれます。ひとつは親会社があるところ。こちらは優秀な会社員の方が社長ですね。もうひとつは地域に支えられているクラブ。こちらは代々地元でやっていますというような人。私みたいなケースは珍しいようですが、会長が地域で代々続く造園会社の社長で、2000年から湘南ベルマーレの経営をされている方でなければ、私も社長を務めることは難しいと感じています。
私がNPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブという、サッカーやフットサル、ビーチバレー、トライアスロン、ソフトボールに7人制ラグビーと、地域密着型の総合型スポーツクラブの理事長をそれまでやっていたからというのがあるから、このたびの役目かもしれませんが、本来はやっぱり地元の人がいいと思っています。
周りからは「お前は地元に住んでいるからな」と言っていただきますけど、確かに平塚に通っていたら違うのかな、難しいのかなって思う時もあります。

―もう平塚の人って感じですね。

どうですかね。でも娘たちはどっぷり平塚です。

―東京へ戻りたいとかは?

さっき言った自分の会社のことを考えると、東京のほうがいいなとは思いますね。情報もやっぱり東京のほうが得ることができるし。東京からここまでタクシーだと2万5000円くらい掛かるんですよ。だから東京で飲んでいて、これから楽しい話になるぞって時にひとり電車で帰ることになるんです。それがイヤだから東京がいいっていうのもあります(笑)。

―飲んで話をするのが好きなんですね。

はい。大好きです。それはもう昔から変わらないです。チームが勝っても負けても、飲む姿勢は変わりません(笑)。

―家に帰る時はだいたい酔っていますか?

だいたいそうですね。だから娘たちもそういうもんだと思っています。

―お父さんという生き物は、仕事から帰ってくるとだいたい酔っているものだと(笑)。ちなみに、娘さんと一緒にはじめたこととかありますか?

これは愚痴みたいなもんなんですけど、私、今年50歳になるんですね、それを機に昨年の秋頃から本気でやろうと思ったことがありまして、それがトライアスロンとピアノと司法試験。トライアスロンは、自転車を買う寸前でした。ピアノは娘たちがやっていたんで、一緒にやれると思ったんです。そういう自分の時間を増やそうとおもったんです。自分の時間を豊かに生きている、この辺りの人はそういうスタイルの方多いですし。でも急遽、社長になることになったので、全て後回しになりました。

―なるほど、そういう計画を立てられていたんですね、ピアノは娘さんと一緒に、、、。

まあ、それも言いましたけど、正直にいうと、曲を覚えて銀座のBarで弾きたかったんです。だって格好良いじゃないですか(笑)。

―それはよく分かります(笑)。では、社長になって変わったことは?

顔が知られてしまいました。今まではそんなことなかったんですけど、例えば地元で飲んでいると「今日、湘南ベルマーレ負けたのに、水谷、酒飲んでたぞ」ってツイートされたり(笑)。でも、これが地域だなあって思います。

―それは娘さんの故郷でもあるってことですね。では、水谷さんにとって子育てってなんですか?

うーん、子育てしているって思わないもんな(笑)。子育てというより一緒に生活しているって感じです。

―同居人?

いや(笑)。仲間、家族ですね。

―では家族って?

そうですね。ちょっと話が飛んじゃいますけど、3年前にウチのフットサルの選手がある事件で捕まったんですね。私は警察に行って謝って。今後、選手としては継続できなくなって。
23歳だったかな、その頃。でもコイツと契約したのオレたち。育てたのはオレたちなんですよね。コイツが社会に戻れるまでは、僕が面倒みますって、その時の記者会見で言ったんです。そこにはフットサルチームの地元、神奈川県の小田原のサポーターの人たちの理解と支えがありました。その時にほかのFリーグ(フットサルリーグ)に関わる人たちは何も言わなかったんです。その半年後、別のフットサルチームの選手が捕まったんです。そうしたら、そのチームでは、彼は永久追放にするって言ったんです。そして他のFリーグからも「そうだよな、追放だよな」っていう声が上がったんです。
サッカーも野球も、ファミリーっていう言葉と使うでしょ。もし自分の息子とかがそういう事件を起こしたらどうするの?これで終わりですか?追放ですか?だったらファミリーって言うなよ、って思うんです。
だから、家族っていうのは、一緒にいる人、寄り添う人だと思っています。

水谷尚人さん

―家族とは、寄り添う人。

これはお互いにですけど。私が外でいろいろあって、今も連敗中でお金が続かないとかで、そういう時って、つまんない顔して家に帰っていると思うんですよ、きっと。でも娘たちの顔見たら救われるわけじゃないですか。ギブアンドギブだけれど、一方的じゃないんです。
ちなみにその事件を起こした彼は今、社会復帰しています。でもこれ、ベルマーレだからやれたというのはありますね。

―湘南ベルマーレでは子どもたちにどういうことを教えているんですか。

象徴的な言葉で、「そこに落ちているゴミを拾える選手になろう」ということを言っています。これに対して「きれいごと言ってるんじゃないよ」っていう保護者の方もいました。でも、ベルマーレというのは、1999年にチームを持っていたフジタが撤退して、それからは市民に生かされているクラブなんです。その市民の財産は子どもたちです。その子どもたちがサッカー上手くなっても、その辺にツバを吐くような子にしてはいけないんです。サッカーを続けてチンピラになられちゃ困るんです。コーチたちは、きれいごとじゃなく「そこに落ちているゴミを拾える選手なろう」を自らやり続けています。地元のスポーツクラブがやるべきことは、それこそたくさんあると思っています。
うれしい話もあります。手紙をもらったんです。「ウチの子どもはジュニアユースからユースに上がることは出来ませんでした。大変残念です。でも、サッカーが好きになったので、高校のサッカー部で頑張ります。ただ、これまでの活動を通して子どもが変わりました。毎回練習から帰ってくるとジャージのポケットがパンパンになっていたんです。ポケットの中がゴミでいっぱいなんです。これをするようになってから、自分の部屋がきれいになりました。時間を守るようになりました」と。これはうれしかったです。こういうことがあるから、私たちは続けなくちゃいけないって思うんです。地域で生かされるというひとつは、こういうことではないだろうかと思っています。
クラブにはいろんなヤツがいます。いろんなヤツがいますけど、それでも寄り添っていこうと思います。ファミリーなので。

―最後に、お子さんにひとつだけ何かを伝えるとしたら?

「いつどんな時でも笑顔でいなさい」ですね。そうすると気持ちはよくなりますし。湧き出てくる明るさってあるじゃないですか。別にキャッキャする必要はないんですが、苦しい状況でも笑おうってずっと思っていて。ただ、チームが負けた後に笑っていると怒られますけど、僕らは(笑)。

水谷尚人さん

今回の"オトン"なビジネスマンは、

水谷尚人さん

株式会社湘南ベルマーレ 代表取締役
東京都出身。
家族構成:妻、娘(中1)、娘(小3)

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