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お父さんが一生懸命に家事をすれば、娘は将来、絶対に家事をする男と結婚します。これが僕の持論です。
IT企業経営 東京都港区 別所宏恭さん(51歳)
家族構成:妻、娘(9ヶ月)
聞き手:oton+to編集長 布施太朗
―では,そろそろ現在の2人目の奥様とのお話を詳しく伺えればと。
あっ、ちなみに僕、バツ2なんです。この間にもう1人いるんですよ。1ヶ月で終わったんですけど。1人目の奥さんと結婚して、死にもの狂いで働いて借金返して、当然、それだけ働いているわけですから借金返したあとは儲かりだすんですよ。どんどん儲かってきて、そうすると女の人って寄ってくるじゃないですか。
―モテ出したんですね。
で結婚したいって言われ、ある日酔っぱらって家に帰ると婚姻届を渡されて名前書いて押印して、あとはやっておくからって。 でも強引に結婚しても続かないですよね。
―そのあと離婚されて、今の奥さんに?
その後はもっと大変で・・・・
また別の女の子と揉めたりして、、、
―いっぱい揉めていますね。
はい。その時に運命の弁護士に出会ったんです。家庭のジャンルになる問題なんで女性の弁護士に頼むのがいいんじゃないかと思って、とにかく強そうな名前の弁護士をと名簿で探しました。 そしてある名前を見つけて、これは強そうだと。それでお願いしたんです。で、彼女に訊いたんですよ。「僕の何が悪いんでしょう」って。そしたら「選ぶ相手が悪いのよ」って。
―あっ、その話に戻るんですね。
なるほど!そうなのかと。選ぶ相手が悪かったのかと。じゃあ、どういう人を選べばいいのかっていうことを、人の話を聞いたり本を読んだり勉強して、いろんな人とも付き合って、今の奥さんに行き着いたんです。
―それで、どういう人を選べばいいかっていう基準に、彼女の両親がどんな人か、専業主婦なのか働いているのか、というのが出てきたんですね。
はい。それが僕の勉強の成果です。
よく、若い経営者に奥さんの選び方の話をするんです。上から順に、家柄、育ち、性格、教養、考え方、最後に容姿だと。容姿は金でなんとかなるって(笑)。1番変えられないのは家柄です。結婚すると自動的に親戚が付いてきますから。親戚になっちゃいますから。親戚と会って、もし親戚になりたくないなと思ったとしても言えないじゃないですか。「君の親や兄弟たちと親戚になりたくないんだけど」って。「あなたにとっては他人だけど私にとっては家族なの」ってことじゃないですか、それって。だからこの順番は変えられないもの順なんです。教養とかはあとからでも付けられますし、容姿は金でなんとでもなるし(笑)。
―今の奥様はこの条件に当てはまったんですね。
当てはまった!
―奥様とはいくつ違いですか?
12歳です。僕、結婚するまでは基本的に一夫多妻制を目指していたから(笑)、事実婚にしようということで婚姻届はしなかったんです、住民票の続柄だけで。同棲するときに、同棲契約書を弁護士さんに作ってもらって、この同棲は結婚を前提にしたものではないとかバーって書いて契約書にして契約したんです。その後も事実婚するにあたって事実婚契約書を作って、弁護士さんに見てもらって公正証書にしました。そういうことを面倒がる人も多いと思うんで、一緒にやってくれた奥さんに感謝しています(笑)。
これで終わりのはずだったんですが、子どもがほしいんだけど出来なくて、年齢的なこともあり不妊治療をしようということになったんです。事実婚だと医者は不妊治療をしてくれないんですよ。それで結局婚姻届を出しました。もちろんその前に婚前契約書を交わしましたけど。
―とすると、結婚まで何年ですか?
同棲するまで10年、同棲が2年、事実婚が13年目。そして14年目に婚姻届を出したということになります。
―そこから不妊治療がはじまったんですね。
はい。不妊治療を2年くらい続けて子どもが出来て、去年の12月25日に生まれました。かかった医者がかなりの毒舌で、初対面で「これじゃいくらやってもできん!」とか言われて、色々大変だったんですが…今日はこの話じゃないですね(笑)。
―そうですね(笑)しかしまあ、契約書を交わしまくっていますね。
契約書を交わすっていうのはどういうことかというと、お互いの期待値の違いっていうのがなくなるということです。「君(あなた)がやってくれるって思っていたのに」というようなことが。何をやる、何をやらないって全部書きますから。離婚する条件も全部書きます。だから思い込みによる相違がないんです。いいですよ、契約書は。お互いにいい顔して曖昧にするより。
―日本人の感覚ではなかなかないかもしれませんね。
僕、科学者なんでファクトが何であるか、そこから論理的に答えを出すんです。奥さんにもエクセル表にしてパワーポイントで資料作ってプレゼンします。ちょっとプレゼンするから見てって言って。
―奥様の反応は?
呆れている時もあるようですが、細かいことを気にしない人なので。天然ボケとも言いますが(笑)。そこからディスカッションができるからいいですよ。僕は常にデータを分析して話をして、それに対する意見を聞いて、「確かにその要素を抜けていたかもしれないね。そこをもう一度調査してくるからまた話をしましょう」って。
―奥様も科学者?
彼女のお父さんがエンジニアなんです。だからエンジニアとの会話に慣れているんです。むしろ彼女にとってもこういう会話は自然なんじゃないかな。お父さんも論理的に考えて、これはこうで、この点がいいと思って、結果このようにしてみたんだけどって言っていますから。その結果、たまに変なことしているようですけど(笑)。
―変なことっていうと?
アヒルの形をした傘を買おうとしたりとか。つばの前にクチばしが付いているんです。この形だと歩いても足元が濡れないでしょうって(笑)。
でも、私が科学者でお父さんがエンジニアの話のように、自分の親に近いっていうのが心地いいってところはあると思います。実際、奥さんも僕のことを「お父さんと似てる」と言っていますし。お父さん自身も「似てる」と言ってました(笑)。僕の教育方針もそこにあります。
―これからどういうふうに子どもを育てていこうとか奥様とお話しされますか?
しますね。まず思いやりがある子。感謝できる子。そして他の文化の人たちをリスペクトできて許容できる人。マナーがある人、あと本を読む子。奥さんは英語を喋れるようになってほしいって言ってますけど。
さっき言ったように、基本的に子どもは、親のすることを見て育つんです。それが正しいと思うんです。お父さんが一生懸命家事をすれば、絶対に家事をする男と結婚するから幸せになれる。これが僕の持論です。だからお父さんがひたすら子どもの前で家事をする。これしかないですね(笑)。
―まずは親がやるっていうことが大事ということですね。
ちなみに、もう亡くなられた方なんですけど、天才ヴァイオリニストをたくさん育てた 鈴木鎮一さんという方がいて、その方が書かれた「愛に生きる」という本に、天才ヴァイオリニストをどう育てるかってことについて書かれているんですが。
―天才ヴァイオリニストの育て方?
その方のところにお母さんが来ますよね。「うちの子を天才ヴァイオリニストにしてください」って。そしたら「いいですよ」って。だったらまずはお母さんからヴァオリンを始めましょう。お母さんがここまで上手くなったら子どもに教えてあげますって。お母さんが毎日宿題出されて練習して、子どもはずっとヴァイオリンを触らせてもらいないんです。1年くらいしてお母さんがある程度上手くなったら、じゃあ娘さんも一緒にやりましょうと。
このやり方の素晴らしいところは、子どもはがまんするのでやりたいという気持ちがさらに湧く。そしてお母さんがヴァイオリンを弾けるようになるんで一緒に会話ができる。仲間になる。こういう環境づくりが大切だなって。つまり、親がまずどう変わるか、何をするかということ。子どもに何か教えたかったらお金を払って教えてもらうのではなく、まず親が変わること、自分がやること。そうじゃない限り子どもは変わらない。これは、私の教育に関する本のバイブルです。
―では最後に、別所さんにとって子育てとは?
奥さんを愛することじゃないですか。僕、朝起きた時に必ず奥さんに言うんです。「すごい美人がいる!誰かと思ったら君だったよ」って。毎日言うんです。「家に綺麗な女の子連れ込んじゃったかと思ったよ」とか多少バリエーションをつけますけど(笑)。奥さんは言われるたびに「またまた」って言いますけど。言うのは朝だけじゃないな、1日中、ほぼ5分おきに言ってますね、「綺麗だなかわいいな素敵だな」って。言っていると奥さんは綺麗になるんですよ。だから容姿は変えられます(笑)。そうすると絶対に娘はそういうことを言ってくれる男と結婚しますから、やっぱり将来、幸せになるんです。僕の娘は(笑)。
今回の"オトン"なビジネスマンは、
別所宏恭さん
レッドフォックス株式会社 代表取締役
兵庫県西宮市出身。
家族構成:妻、娘(9ヶ月)
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