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お父さんの絵本ガレージ

2022.3.29

お父さんの絵本ガレージ 非認知能力を育む絵本 「忍耐力」編

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2020年春から継続中の、非認知能力を育む絵本シリーズ。現在、非認知能力には世界の注目が集まり、日本の新たな学習指導要領にも、幼児・学校教育を通じて育むべき力のひとつに、非認知能力(学びに向かう力・人間性など)が提唱されています。IQなどで表現される「認知能力」と、やる気や根気強さなど学びに向かう姿勢の土台となる「非認知能力」。これらをバランスよく身につけることが、教育界における大きな関心事となっているのです。

この非認知能力には様々なものがありますが、今回のテーマは「忍耐力」。辞書には「苦しみやつらさに耐える力」「辛抱する力」と書かれています。昨今、私たちをとりまく世界はますます不安定で不確実なものとなり、先の見通しなど全くきかない状況であることは、誰もが実感しているのではないでしょうか。そんな世の中を生き抜くためには、前向きな思考や発想の転換などと共に、忍耐力は必要不可欠です。とはいえ、子どもに忍耐力を強制的に身につけさせることはできません。子ども自身が楽しいと思えることや好きなことに没頭しているときこそ、その力は育まれやすいということを忘れずにいたいものです。

非認知能力について言葉だけで説明するのは難しいですが、幼い子にわかりやすくやさしく伝えられ、親自身も子どもの気持ちに寄り添いながら理解するのに役立つツールとして、絵本を開いてみませんか?何より絵本は、親子いっしょに楽しみながらくり返し読めるところが、大きな魅力ですよね。主人公のがんばる姿に自分を重ね疑似体験できる作品、物語や絵に夢中になるうち自然と辛抱強さが育まれる作品など、忍耐力について考えるきっかけとなる5冊を選びました。

① 『がまんのケーキ』

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作:かがくい ひろし 出版社:教育画劇 発行日:2009年

対象年齢:3歳くらい~

 

がまんって何だろう?

人情たっぷりユーモア絵本

「ねえ もう いいんじゃないかな~ かめぞうさん」「ならぬぞ、こいたろう。いま けろこさんは かいものに いっておる。かえってくるまで がまんじゃ」。おいしそうなケーキを前に、こいたろうくんとかめぞうさんが、がまんがまん。迫りくるケーキの誘惑!はたして2人は、仲良しのけろこさんを待つことができるのか!?

「がまんできます、あなたのためなら・・・」。そんな声が聞こえてきそうな、人情たっぷりのユーモア絵本。作者は、累計700万部を突破した赤ちゃん絵本「だるまさん」シリーズが大人気の、かがくいひろしさん。ほのぼのとした絵と、笑ったあとで心が温かくなるような作風で多くの支持を得ています。忍耐とは、苦しいばかりじゃない。相手のことを思いやれたり、楽しいことやうれしいことを想像できたり。「がまんしなさい!」と思わず言ってしまう前に……父子の会話を豊かに膨らませるヒントがつまっています。

② 『おとうさん』

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作:秋山 とも子 出版社:瑞雲舎 発行日:2008年 

対象年齢4歳くらい~

 

お父さんの一日をじっくり追う

文字のない絵探し絵本

朝、家を出て、会社で働き、家に帰ってくるまでの「おとうさんの一日」を描いた、文字のない絵本です。細やかに描かれた駅や町の風景の中にいるお父さんを探しながら、町並みや周りの人たちの様子をじっくりと楽しむことができます。まだ携帯電話もパソコンもなかった、昭和59年に出版された絵本の復刊です。

「一生懸命働いて、家族を守っているお父さんを通して、日本を伝えようとした大切な一冊です」と、作者の秋山とも子さん。いくら時代は変わっても、お父さんが頑張る姿は変わりません。家族を想い、毎日忍耐強く働くことの尊さに、胸を打たれます。全てのお父さんにありがとうと伝えたくなる絵本。子どもは絵探しに夢中になるうちに、知らず知らず忍耐力を育みます。自ら惹かれ、とことん遊び込むからこそ、自然と力が養われるもの。決して無理にすすめることなく、お父さんも一緒になって遊んでくださいね。

③ 『三びきのやぎのがらがらどん』

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作:(ノルウェーの昔話) 絵:マーシャ・ブラウン 訳:瀬田 貞二 出版社:福音館書店 発行日:1965年

対象年齢:4歳くらい~

 

怖さをこらえた先に…

結末に安心できる昔話絵本

山でたくさん草を食べようした、3匹のやぎがいました。名前はみんな「がらがらどん」。やぎたちが橋を渡ろうとすると、谷に住む恐ろしいトロル(おに)に次々に襲われそうになります。小さいヤギと中くらいのヤギは、機転をきかせて逃げることができました。いちばん大きいヤギは、勇猛果敢にトロルに勝負を挑みます!

1965年に翻訳出版されてから、多くの子どもたちに愛されてきたノルウェーの昔話です。「くり返し」と「子どもたちが満足する結末」が用意されている、昔話絵本の代表格。幼い頃に読んで、トロルの恐ろしさが目に焼き付いているというお父さんもいらっしゃるのでは。子どもはヤギたちに自分を重ね、ドキドキハラハラしながらも、3度体験する怖さをこらえます。ほっと安心できるラストシーンが待っているからこそ、くり返し耐えることができ、何度も読みたくなるのです。忍耐力はじわじわと育まれていきます。

④ 『はるのひ』

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作:小池 アミイゴ 出版社:徳間書店 発行日:2021年

対象年齢:5歳くらい~

 

父子の呼び交わす声が胸に残る

男の子のちいさな冒険物語

ことくんがお父さんの畑のお手伝いをしていると、森の向こうにけむりがのぼるのが見えました。けむりの正体を知りたくなり、ことくんはひとりで走っていきます。「とーちゃん、おーい」。途中で何度も振り返って、お父さんを呼びます。「おーい」とこたえるお父さん。「よーし」。ことくんはまた走り出します。森の中に入ると、あたりは暗くひんやりとしていて、だんだんこわくなってきました……。

昨年出版されたばかりの、男の子のちいさな冒険物語。春の夕暮れ時を、豊かな色彩でドラマチックに描いています。胸に迫るのは、ことくんとお父さんが、何度も呼び交わす声。目標に向かって走りながら、不安になった時、こわくなった時、振り返ってお父さんを呼び、声を聞き、再び走る勇気をもらうことくん。子どもが自分の進みたい道を見つけた時に、わが子の耐える力を信じ、励まし、支える存在の大切さに気づかされます。

⑤ 『地球をほる』

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作:川端 誠 出版社:BL出版 発行日:2011年

対象年齢:6歳くらい~

 

ぐるぐる回しながら読む!?

ウルトラ・ナンセンス・アドベンチャー

つよしとけんたは、夏休みに旅に出ることにした。庭に穴を掘って、地球の裏側へ行ってみよう!目指すはアメリカ。英会話を習っていてケンタッキー州にペンフレンドがいる、けんたの姉さんも誘った。3人は、持ち物を入念に準備して出発!途中で両親からの差し入れも受け取りつつ、一心不乱に彫り続けます。掘って掘って・・・・・・到着したところは!?

各ページの絵と文に少しずつ角度がついていて、3人の姿を追って読み進めるうちに、絵本がぐるぐると回るしかけになっています。奇想天外なストーリーと、唯一無二のアイディアで、お父さんのファンも多い作品。落語絵本も数多く手がけている川端誠さんですから、オチもお見事!子どもは、粘り強く掘っていくプロセスを疑似体験しながら、努力した先に達成するイメージもつかんでいきます。どこまでも、楽しく、面白く。わが家の長男が初めて読んだときには、目を輝かせて「もう1回!」がエンドレスでした。

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選書:フリーアナウンサー/絵本専門士 近藤麻智子

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大人向けの絵本セラピー®のワークショップ「絵本のち晴れ」や、絵本の読み語りとヨガをコラボレーションした親子向けイベント「絵本ヨガ」を主宰。2016年に出版した絵本『森のくるるん』(そうえん社)では、コンセプトと文章を担当。企業にてビジネスパーソン向けの絵本ワークショップの講師も務める。現在BS日テレ「コーポレートファイル」に出演中。メディアでの絵本に関する執筆、講演など、活動は多岐に。  男の子2人の母。

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ブックハウスカフェ

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神保町のブックハウスカフェ店内には「お父さんの絵本ガレージ」コーナーがあり、 oton+toで紹介した絵本が並んでいます。

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oton+to編集長 布施太朗が本を出しました!
書籍のご紹介

祝!第4刷決定!

父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない。

布施太朗・著¥1,300(税抜)

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