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家族の痛みが一番嫌ですね。こんなら自分が痛い方がいいや、って思うぐらい。
落語家 立川志らくさん
家族構成:家族構成:妻、娘(6歳、1歳)
【オトンの流儀とか】
今回は、落語家として活躍している立川志らくさんです。年を取ってから授かった6歳と1歳の娘さんたちを溺愛しているそうです。仕事で忙しい中でも、色々なところに連れて行ったりと積極的に子育てをしているのだとか。そして、立川志らくさんの子育てへの向き合い方には親御さんの子育ての仕方が大きく影響しているそうです。とても心温まるお話が聞けました。3回連載の最終回です。
聞き手:oton+to編集長 布施太朗
第3回そんな甘やかしたら子どもはバカんなるよっていうんだけども、ちょっと違うような気がするんですよね。お金とかものをたくさん与えても、それを上回る愛情があったらば、たぶんバカにならないような気がするんですね。
―志らくさんのご家庭での独自のルールとかって、なんかありますか?
いや、全然ルールはない。気が付いた方がやるっていうだけのことなので、まったくルールは決めてないですね。
―でも一番いいパターン、素晴らしいパターンですよね。
まあまあ、まあそうですね。
―じゃああの、子育てはホニャララである、ってした時に何が入りますか?
子育ては、自分の幸せですね。ええ、幸せ。
―幸せ。
幸せ。で、それが最終的には子どもの幸せにも繋がってくのかなあって思います。私は両親とも音楽家だったので、教育だとか、それから躾だとかはあまりされてないのですよ。こんなふうにしなさいとだか、掃除をしなさいだとか、ちゃんとシャツをたたみなさいだとかね。そういうのは全然なかったんだけども、グレることはなかったです。それから親に対する感謝も、親を大事にするっていう気持ちもある。それはやっぱり、ものすごく可愛がられたからなんですよね。2人とも若くて自分の芸術活動に忙しいから、朝ご飯なんかも適当なものを作って出したり、昼ご飯はカップ麺でも買って食べなさいよ、みたいな。見兼ねた親戚のおばさんも、もう少しなんか作ってあげなさいよ!あんた!ってウチの母親に言ったりしてました。そんなようなウチではあったんだけども、ものすごく両親ともに私に愛情をかけてくれたというのが私ので残ってるんです。だから自分の子どもにも愛情をかけたら、それがちゃんとした躾。一緒にサイン会並んじゃったとか、好きなもの買い与え過ぎたとか、いろんなことがあっても、大きくなった時に親をとっても大事に思ってくれる子どもには絶対なるはずだなと。それが一番大事じゃないかなと思います。
―志らくさんがまだ子どもだった時にどういう愛情をかけられた、記憶ですごく残っていることってありますか?
とにかくいろんなとこに連れてってくれたことですね。お金はあんまりなかったんだけども、父親は冬になると必ずスキーに連れてってくれた。学校休ませてでも連れてってくれてね。面白い映画があると教えてくれたりとかね。母親もそうですね。いろんなとこへ遊びに連れてってくれて、旅行も安い宿屋なんだろうけれども。民宿みたいなとこで。いろんなとこへ行った思い出はたくさんありますね。貧乏音楽家だったからお金はないんだけど。
―今それを娘さんにされてる、っていうことですね。受け継がれてる。
そんな甘やかしたら子どもはバカんなるよ、っていうんだけども、バカになるのは、ちょっと違うような気がするんですよね。お金とかものをたくさん与えても、それを上回る愛情があったらば、たぶんバカにならないような気がするんですね。ものを与えることが愛情よりも上回ってしまった場合、子供は大人になってバカになる。非行に走るとか、芸能人の子どもなんかでもよくいるじゃないですか。あんなに可愛がってたのにっていうんだけども、芸能人ってのはお金持ってるから。こんだけ買い与えて、こんだけいい生活をさせてあげてたのに、こんだけ愛情をって言うんだけど、それは結局〝もの〟なんだと思います。
―愛情の足りない分がもの、っていうことですね?
私はいくらものを与えたとしても、その与えたものを上回る愛情を子どもにかけてるつもりだから。それでもバカになって将来何かで捕まって「ほら結局」って、落語家だからそういうオチがつく場合もないこたないんだけども(笑)。
―ちょっと話が戻るんですけど、次女が生まれる時に「プレバト!!」の収録をされてた。その時「それどころじゃない」って、おっしゃられたそうなんですけど、かなりソワソワされてたんですか?
そりゃやっぱり、ええ。ただ私が臆病だから、立ち会い出産はしないから。どこにいてもおんなじだという、そういう割り切りはありましたね。
―なるほど。
そんなに子どもが大事なら立ち会いしてね、かみさんの手を握ってね、生命が生まれる瞬間を見ときゃいいじゃないかっていうんだけども、それは嫌なんです(笑)。
―そこまでの勇気は。
勇気が。ウゥー!って痛がったの見ただけでも逃げたんですから。先生頼みます、みたいな。生まれましたって言った時にも私を看護婦が探したぐらいで。病院の一番隅のベンチの影に隠れてた(笑)。声が聞こえないとこまで逃げてようと思って。というか、自分の痛みよりも人の痛みの方が嫌なんです。もう、かみさんが痛がってるのを見るのが、こんなら自分が痛い方がいいや、って思うぐらいもう。それをこう励ましてやれない。自分の方が痛くなっちゃう、見てて。だからその、家族の痛みが一番嫌ですね。生まれる時は逃げて何が解決されるんだってことなんだけども、見たくないっていう(笑)。
―家族の痛みを見るのは嫌だっていうのはすごくいいなあ、でも、そこからやることは逃げるっていう(笑)。
痛みは、いい痛みだからね。これから生命が誕生するっていういい痛みだから、まあ逃げてもいい。それが死んじゃう痛みだったら、代わりますよってことですから。極端な話。タイタニックのデカプリオじゃないけど、私の方が流されますよっていう、その方がまだ楽だっていう。
―それは、娘さんに対してはもちろんだと思うけど、奥様に対しても?
かみさんに対してもおんなじですね。
「志らく独り会」
10/18(木)~10/19(金)
19:00開演 全2公演
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
シネマ落語「天国から来たチャンピオン」
新作落語「不幸の伊三郎」
前売4000円 当日4500円 全席指定
問合せ ダニーローズ http://www.shiraku.net/
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今回の"オトン"なアーティストは、
立川志らくさん
家族構成:家族構成:妻、娘(6歳、1歳)
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