―よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

―荻原さんは、「キャプテン」が好きだと伺いました、野球漫画の。

すごく大好きです。この漫画はやられちゃうんですよ、涙腺が。

―どこにやられてしまうのか訊かせてもらいたくて漫画を持ってきたんです。たぶん谷口キャプテン時代かなと思いまして、１巻と２巻を。

谷口がまだキャプテンになる前、親父と夜に神社で特訓しているんです。でももう限界だという時があってね、これだけ練習してもダメだと。そしたら親父が息子に言うんですよ。「いいんだいいんだ、よくここまでがんばってきた。」って。あれがもうダメですね。あのシーンに弱いです。

―そうですよね！この本で言うと1巻の52、53ページです（と言って開いて渡す）。

これこれこれ！今読んでもダメです。グッときます。

―私も同じです。グッときます。

これは今見ない方がいい（笑）。

―あらためて、どういうところにグッとくるんでしょう？

谷口くんは別に嘘をついたわけじゃないけど、名門校から来た転校生ということで崇められちゃって、確かに名門校から来たけど本人は２軍の補欠。でもそれが言えなくて、自分の実力と人からの評価のギャップがすごくて、このギャップを埋めるために父親が一緒になって夜の神社で練習してあげるでしょ。親父がまず息子に寄り添って、ずっと付き合っているところ、あれです。でもね、やってもやってもなかなか。それで明日キャプテンに本当のことを言おうっていうね。「いいんだ、おめえはよくやった、とうちゃんみなおしたよ」って。

―この親父さんは野球の経験者じゃないんですよね。

そう、全然関係ない。大工なんですよね。だから息子のためにマシーンを作ってあげるんです。谷口くんがキャプテンになった後も、そのマシーンで特訓する。部員もその谷口キャプテンの夜の練習の姿を知って「キャプテンもあんなに努力してるんだ」と言って、チームが少しずつ団結し始めて、強くなっていくじゃないですか。あの一連の谷口キャプテンのリーダーシップはすごいですね。僕はですね、谷口キャプテンになりたいんですよ。憧れの存在なんです。もう、とにかく自分で勉強しまくって、火中の栗を自分で拾いまくって、矢面に立ちまくりたいんです。そうやって実践し続けているとみんなが付いてくるという、そういうタイプのリーダーに憧れちゃっているんです。

―今の荻原さんのお仕事のやり方は谷口キャプテンに憧れてのことなんですね。

そうです。谷口キャプテンになりたいって、社内報にも書きましたから。むしろ大人になってから谷口キャプテンのすごさがどんどん分かってきたんです。中学生の時はもうちょっと斜に構えていて、違うカッコのつけ方をしていましたけど、今はもう谷口キャプテンのカッコよさこそ憧れの対象です。僕の憧れはこの谷口キャプテンと矢吹丈なんです。

今回の"オトン"なビジネスマンは、

荻原猛さん

ソウルドアウト株式会社 代表取締役社長
家族構成：妻、娘（小２）、娘（年長）