oton+to(オトント) > オトンの流儀とか アーティスト編 > 家族の痛みが一番嫌ですね。こんなら自分が痛い方がいいや、って思うぐらい。第2回
家族の痛みが一番嫌ですね。こんなら自分が痛い方がいいや、って思うぐらい。第2回
落語家 立川志らくさん
家族構成:家族構成:妻、娘(6歳、1歳)
【オトンの流儀とか】
今回は、落語家として活躍している立川志らくさんです。年を取ってから授かった6歳と1歳の娘さんたちを溺愛しているそうです。仕事で忙しい中でも、色々なところに連れて行ったりと積極的に子育てをしているのだとか。そして、立川志らくさんの子育てへの向き合い方には親御さんの子育ての仕方が大きく影響しているそうです。とても心温まるお話が聞けました。3回連載です。
聞き手:oton+to編集長 布施太朗
第2回それよりもやっぱり芸に没頭して自分の生きたいように生きるのが芸人だから。「子どもが大事なら子ども」ってやるなら、なんら芸人としておかしくない。
―なるほどなぁ。でも、確かにそうですね。50になってからお子さんっていうのはわかる気がしました。20代30代って働き盛りですからね。
だから男の場合は年取ってから、50過ぎてから子どもを作るってのも悪くない。ただし、相手ですね。女性の方は子どもが作れなくなってしまう。となると若い子と。でも年取った男が若い子と出会えるってことは、なかなかないですからね。こればっかりはどうしようもないですね。年取ってから結婚して子どもできていいなと思っても、相手がなかなかいない。ちなみにウチのカミさんは18歳年下です。
―18歳くらいの差ってのは、ある意味ベストですかね?
最初は色々ありましたけども、周りからもね。今になってみるとちょうどいいわけですよね。
―なるほど。ちなみに夜は独演会とか色々で忙しいですよね。
あります、落語会はありますね。
―じゃあ、あんまりご飯を一緒に食べれないことも多いですねえ?
食べれないことは多いですね。帰ってくると寝てることが、もうホントに多いですね。
―コミュニケーション取れるのは朝。
そうです、朝です。
―お休みに遊園地とか行くのは、いわゆる普通の土日とかっていう。
5月からこの8月にかけて休みが取れたのは、2日か3日ですかね、基本、休みがないので。だから、最近は遊園地もずっと行ってないですね。
―行きたいなとか思います?
あります。あります。
―このまま行けないともうすぐ大きくなっちゃうなとかいう焦りはあります?
そりゃもちろんあります。ただ年に2回私も夏休みを番組からもらうんで、1週間ぐらい。その時はもう自分の予定は入れないです。子どもの予定。というか普段から、スケジュールでこの日は休みとなったら、子どもとの時間にあてます、全部。家族の時間ですね。
―どこそこに行こうとか企画されるのは、志らくさん?
そうですね。どっか行こうって。
―お気に入りの場所ってありますか?
手軽に行けるのは大型ショッピングモール。イオンみたいなところ。朝のテレビの仕事が終わって夕方まで何もないと近所のイオンに行こうかという。そうすると広々してて、食べる場所もいくらでもあるし、買い物もできるし、子どもの遊び場もあるしね。
―よく声掛けられますか?
掛けられます。
―また居るんですね。みたいな(笑)。
それはないけど(笑)。テレビで言ってたのを観たたけどホントに休みの日はイオンにいるんですね、とか。子どもと一緒だと、どこでも小学校でやってるような盆踊り大会とかでもなんでも行っちゃいますからね。この時間空いたから、じゃあ今日はもう盆踊り大会行こうか、って。
―もうホントにパパですね。
そうですね。お祭りがあればお祭りにも行くし。子どもの行事がある時はなるべく仕事入れない。運動会の日とか、授業参観の時だとか。長女がバレエやってるからバレエの発表会だとか、お遊戯会だとか、あと誕生日とかは、この日はとにかく空けといてって、マネージャーに言いますね。それでも魅力的なテレビ番組があるけどどうする? っていうふうに言われて、悩むわけです。で結局バレエの発表会をリハーサル半ばで泣く泣く涙を流しながらテレビ局に向かったってこともあります。
―それじゃ、ちょっとテレビ局が勝ったんですね?
落語会の場合だと随分前からこの日と決まっているので調整ができますが、テレビの場合は、寸前に依頼が来ることがあるんです。これはやっぱり出たいなっていうのがね。ダウンタウンと話ができるなあとか、さんまさんの番組とか。もしもですよ、紅白歌合戦の司会がまわってきて「子どものイベントがあるから」と断ったら、そしたら芸人やめた方がいいでしょ、(笑)。
―確かに(笑)。
そういうことですよ。仕事に順位をつけちゃいけないんだけども、でもそういうことですね。私がなんかの映画に出てアカデミー助演男優賞をもらいました、その授賞式が運動会と重なりましたから、行かないってね、そんなバカな話はないでしょ(笑)。それは私ん中では一瞬悩むけれども、子どもだって後々、そりゃパパ行った方がいいよって、絶対なるんですよ。
―アカデミー賞、紅白、ダウンタウンさんに、さんまさん。ここはもうそっちを優先する(笑)。
あと、たけしさんとかね(笑)。
―お子さんとそれだけ密な時間を過ごしていると、失敗したことってありますか? ちょっとかわいそうなことしちゃったなとか。
大きな失敗はないんだけども、子どもを連れて街中出たりいろんな場所に行ったりすると、声を掛けられたりすることが多い。たまに写真撮ってくれとか。それを子どもに何も言ってなかったから、ちょっと教育的によくないかなって思います。写真撮ってくださいって言われるお父さんはあんまりいないでしょ、芸能界の人以外は。私もよくないんだけど、落語会連れてってサイン会の時に横に置いちゃったりしたことがあるんですよ。そうすると、私が本にサインする、握手する、写真を撮る、子どもも一緒になって握手してとか。すると子どももね、だんだんそういう了見になってくる。たまにお客さんが私だけにしか写真を求めないと、なんでパパだけ写真撮るの? 自分もなんだかそういう芸能人ぽいみたいなね。
―そういうのありますよね。
食べるもんなんかも、宮崎からものすごい高級なマンゴーとか送られてきて、それ食べさせちゃうわけでしょ。そうするとね、スーパーで買ってくるマンゴー食わなくなるんだよね。
―落語家の皆さんで子育てについての話とかされないんですか?
しない。もうそういうのは一番落語の世界では野暮だし、落語家はやっぱりみんな美学があるし。粋が信条であったり、破滅型芸人ほど美しいものはないみたいなね。私みたいに、テレビで子どもにデレデレで、雑誌の取材でも子ども命、芸人はみんな軽蔑しますよ、ええ。「打ち上げ出ないの、なんで、仕事? 」「いやいや子どもの寝顔を見に帰るから」って。そうするとなんだアイツってなる。
―上の方たちはたぶんそういう感じだと思うんですけど、同世代と下の落語家の方もやっぱ芸のためなら女房も泣かす?
でもだいぶそうではなくなってきてはいますけどね。談志は違ったがほとんどの先輩はそういうもんだって教えてくれた。でも我々が今度教える立場になってるわけだから、私はもう芸のためなら女房も泣かす、三道楽、飲む打つ買うをやるべきだっていう、あれは間違ってるってのを若い世代に教えてます。
―ああ、教えられてるんですか。
飲む打つ買うをやらないと生きてけないような酷いヤツらが落語家に昔はなっていたんだと。でも今はこれだけ娯楽が多様化しているから、それを芸人だからとしてやるっていうのは本末転倒。それよりもやっぱり芸に没頭して自分の生きたいように生きるのが芸人だから。「子どもが大事なら子ども」ってやるなら、なんら芸人としておかしくない。私が落語界でも売れてないならば、ほらあんな子育て一生懸命やってっからつまらない芸人になっちゃったろってなるけど、落語界では売れてるし、今テレビにもたくさん出てるし、子育てをしていてなんら仕事に支障がないわけですよ。だからいい見本になるんじゃないかな。
「志らく独り会」
10/18(木)~10/19(金)
19:00開演 全2公演
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
シネマ落語「天国から来たチャンピオン」
新作落語「不幸の伊三郎」
前売4000円 当日4500円 全席指定
問合せ ダニーローズ http://www.shiraku.net/
【第3回】に続きます
この連載の他の記事はこちら
今回の"オトン"なアーティストは、
立川志らくさん
家族構成:家族構成:妻、娘(6歳、1歳)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます
こちらの記事もどうぞoton+to(オトント)とは?
-
2014.7.7インタビュー
移住家族1:福岡、糸島エリア「自分に根っこが生えました」
仕事のこと家族のこと、あらゆることを考えて決めた移住という結論。それぞれの家族の背…続きを読む
-
2016.6.20子どもと会話
父、想われて、父を想う
父の日は、盆や正月と同じで 「離れたところに住む 息子や娘の安否確認ができる日」と 既に社…続きを読む
-
2017.3.7オトンの心得・決めごと
ホワイトデーに絵本を贈ろう。
バレンタインデーにチョコをもらったお父さん、ホワイトデーには絵本をプレゼントしませんか。「チョコ…続きを読む
この記事と同じテーマの記事はこちら
オトンの流儀とか アーティスト編
-
2020.11.4
映画「461個のおべんとう」。原作者のTOKYO No.1 SOUL SET 渡辺俊美さんに、親子の実話を聞きました。
「3年間毎日お弁当を作る」「3年間休まず高校に通う」。そんな親子の約束を描いた、映画「461個の…続きを読む
-
2020.4.2
「お前は父ちゃんと母ちゃんの子だから絶対大丈夫だ」。と言われてきました。僕も同じことを子どもに言ってあげたいです。【2017インタビュー】父親 つるの剛士
俳優、タレント、ミュージシャン 神奈川県藤沢市 つるの剛士さん 家族構成:妻、息子、娘、娘、娘…続きを読む
-
2020.3.29
ゲームをやめろとは一回も言いませんでした。「よし、ゲームより面白い体験をさせてやろう!」と。【こんな時をせっかくの機会に!2018年インタビュー最終回】
一つ屋根の下、家族で家にいることが多くなったこの時期、 ぐっさんことエンターテイナー山口智充さん…続きを読む
「いいね」いただくと、oton+toの更新情報がFacebookのタイムラインに表示されるようになります
oton+to Facebookページ
最近よく読まれている記事をご紹介
週間人気記事ランキング
この連載のその他の記事はこちら
バックナンバー
アーティストなオトンの気になる子育てとは?
オトンの流儀とかアーティスト編
-
vol.05 TOKYO No.1 SOUL SET 渡辺 俊美さん
映画「461個のおべんとう」。原作者のTOKYO No.1 SOUL SET 渡辺俊美さんに、親子の実話を聞きました。
-
vol.04 つるの剛士さん
「お前は父ちゃんと母ちゃんの子だから絶対大丈夫だ」。と言われてきました。僕も同じことを子どもに言ってあげたいです。【2017インタビュー】父親 つるの剛士
-
vol.14 エンターテイナー 山口智充さん
ゲームをやめろとは一回も言いませんでした。「よし、ゲームより面白い体験をさせてやろう!」と。【こんな時をせっかくの機会に!2018年インタビュー最終回】
スポーツの世界で活躍するオトンの子育て体験談。
オトンの流儀とかアスリート編
-
vol.05 プロサッカー選手、元日本代表 大久保嘉人さん
どんなダディになりたいか?ビッグ・ダディになりたいです。
-
vol.04 マック鈴木さん
16歳の時に親父から「アメリカかドミニカに行け」って言われたんです。母親は泣いて止めたんですけど、渡米となりました。
-
vol.02 ガンバ大阪 遠藤保仁さん
長女が20歳になってもやれていたらかっこいいな。娘から「もういいんじゃない」って飽きられるくらいまでやっていたいですね。|ガンバ大阪 |遠藤保仁
忙しく働くビジネスマンの子育て失敗談とか。
オトンの流儀とかビジネスマン編
-
vol.37 株式会社ギャプライズ 甲斐亮之さん
一人で完結することなんて本当存在しないんじゃないかと思っています。後編
-
vol.37 株式会社ギャプライズ 甲斐亮之さん
一人で完結することなんて本当存在しないんじゃないかと思っています。前編
-
vol.36 株式会社スタームービング 山本恒夫さん
子どもは5人ですが、一人ずつと過ごす時間は必要だと思います。絆が深まりますから。【第2回】
オトンが家族で楽しめるイベントや講演のご紹介
イベント情報
-
2020.3.14
3/25(水)絵本ガレージBAR 開催中止のお知らせ
-
2019.10.15
【親子参加イベント】10/27sun 藤沢市鵠沼海岸でビーチスポーツ体験会(入場無料)のお知らせ! いろんなアクティビティがあるよ!
-
2018.12.3
【絵本ガレージ クリスマス編】お父さんがグッとくる絵本たち。
oton+to編集長 布施太朗が本を出しました!
書籍のご紹介
父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない。
布施太朗・著¥1,300(税抜)
いいねいただくと、oton+to更新情報が
Facebookのタイムラインに表示されます
Facebookのタイムラインに表示されます