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父の失敗・悩み・たわごと

2022.9.12

トイレの陰影

我が家の厠の照明が壊れて1年ほどが経ちます。

それはそうと、谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」の中に
厠の風情についてのくだりがあります。

日本の厠は実に精神が安やすまるように出来ている。
それらは必ず母屋おもやから離れて、
青葉の匂においや苔こけの匂のして来るような
植え込みの蔭かげに設けてあり、廊下を伝わって行くのであるが、
そのうすぐらい光線の中にうずくまって、
ほんのり明るい障子の反射を受けながら瞑想めいそうに耽ふけり、
または窓外の庭のけしきを眺める気持は、何とも云いえない。

陰影の美について書かれています。

谷崎によりますと、

「厠」がただの不浄の場とならないためには
条件があるようでして、

「或ある程度の薄暗さ」

「徹底的に清潔であること」

「蚊の呻うなりさえ耳につくような静かさ」

だそうです。

そういえば先日、夜、厠の窓を開けておりますと、
静かな室内に鈴虫の泣き声が
小さく響いておりました。

冒頭に話を戻しますが、
1年ほど前に我が家の厠の照明が壊れました。
壁の中を通る配線かスイッチの接触によるものだ
ということはわかっているのですが、
一向にこの照明を修理しようという気にはなりません。
夜、家族は、LEDランタンを持って厠へ行きます。
薄暗い厠、私は、陰影のあるこの室内がなんとも好きなのでございます。
家族はとくに何も言いません(言いたいのかもしれませんが)。

本日、我が家の洗濯機が壊れました。oton+to2

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