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芸人 千原せいじさん
オトンの流儀とか
アーティスト編 Vol.13

「親やから」とか「男やから」とか、おかしなこと言いよるわ、エラそうに。

芸人 千原せいじさん

芸人 千原せいじさん

家族構成:妻、息子(中3)

【オトンの流儀とか】今回は千原せいじさん。中3になる一人息子のオトンです。自分が子どもだった頃と今の違い。自分の親と親になった自分の違い、仕事で訪れるいろんな国と日本との違い。2回連載でお届けします。せいじさん言ってました。「バランスが悪い」と。

聞き手:oton+to編集長 布施太朗 写真:島野大輝

第1回親の言うこと聞いてたらろくな大人にならへんわって思いましたから。

―よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

―先ほどご出演されていた番組で、仮面ライダーV3が映っていましたけど、特に好きな仮面ライダーはいましたか?

僕は仮面ライダーXでしたね。あとアマゾン。仮面ライダーじゃないですけどあの頃でいうとバロム1も好きでしたね。

―バロム1とか、ちょっと悲しみがありましたね。

あの頃はそういうの多かったですよね。戦わざるをえない設定の悪役とかね。

―そうそうそう。

もうええやん、かわいそうやで、みたいなのもありましたしね。

―ありましたねえ。ジャミラとか。

そういうヒューマニズムがすごかった。多分ウルトラマンも泣きながら葬っていたような。

―ですねえ。

アニメもそういうのが多かったですね。

―今のアニメはどうですか?

平和でいいじゃないですか。誰も傷つきませんから。僕らの時は、誰かが傷ついていましたから。痛みとともに生きて、痛みとともに戦って、、、。

―今、息子さんは中学生ですね。

はい。中3です。今はすごくゲームに凝っていますね。

―ゲームにすごく?

だから友達いうても家にあんまりこうへんよね。もうネット上でやっているから。友達と待ち合わせして秋葉原に買い物に行って、それぞれが目当てのもんを買うたらそれぞれの家に帰って部屋戻ってセットアップして、さっきまで一緒やった友達とネットでゲームするっていう。

―オンラインゲームですね。

そうそう。そればっかり。オンラインで友達と喋っているから、部屋で一人でずっと喋ってるのが聞こえてくるみたいな。そういえば、こないだ何してんのかなと思って部屋覗いたら、素っ裸の男が荒野を走ってましたけどね。

―あははは!

何のゲームやこれって。

―何のゲームなんですか?

なんかこれから色々防具とか備品とかをつけていくらしいですわ。たまたま始まりのタイミングだったんで、すごい筋肉隆々な男が素っ裸で荒野を、、、。

―(笑)。部屋を覗いても怒らないですか?

別にそれは怒らないですね。でもこないだ布団の上を俺が靴下で上がったらキレてましたけど。

―キレられましたか?

「汚い」って。でも今の子は怒らないでしょう。俺らの頃なんかもう中学生とか高校生とか、まあ小学生でもずっと腹立ってましたけどねえ。

―ずっと腹立ってました?

もうずっと腹立ってた。

―人によると思いますけど(笑)。

まあ、でも多かったですよ、腹立ってる奴は。あの世代、ああ、世代やなあって思ったのが、ワンオク、、、。

―あ、ワンオクロック。

ワンオクの子たちが親との写真をインスタに載せたりするじゃないですか。ロックミュージシャンが親と肩組んだりなんて。ねえ。

―うんうん。

俺らの時代、ロックミュージシャンといえば、全員がみなしごや思ってる世代なんで。

―あははは。確かに!

そう考えると、家族との感じが柔らかいですよね。まあ、もちろん僕らの世代のロックミュージシャンも、後に実は高学歴やったとか知る人もいますけど、基本的にはみなしごです。

―みなしごって言葉も懐かしい響きですね。

うん。でもそういう感じやなあ。だいたい暴れるもんですしね、劇団員とロックミュージシャンは。常識ないからテレビで飯食えたのに、今、テレビ出てる奴は常識持てってなっているから。おかしいでしょ。

―なるほど、そうですねえ。

テレビの中は常識がないからおもろいな楽しいなって言うてたのに。今はテレビの中に一般の常識を持ち込んでるからテレビおもんないし。

―確かにテレビの中はモラルが高そう。

異常でしょ、それ。そんなん日本だけですよ。

―日本だけですか?

日本だけ。だから日本のエンタテインメントは、アニメ意外全部ダメでしょ。分かってへんから。

―なるほどー。

エンタテインメントとか見たことない奴らの意見をすぐ聞くから。本は読まへん、映画も観ない、ライブやコンサートにも行かへん、そんな奴の意見をすぐ日本のテレビは聞くから。だから子どももどんどんテレビ観なくなるし。うちの息子もそやもんね。

―全然ですか?

俺らの頃ってオトンとかに「こんなテレビ観るな」とか言われながら観るのがね。おっぱい探して。

―なるほど。おっぱい探し!

探したわあ、おっぱい。今の子らはおっぱい探さんでもあるからね。スマホでシューってやったら。でもテレビには全くないですからね。

―テレビのおっぱい良かったですね。

テレビのおっぱい良かった!

―2時間ドラマとか?

江戸川乱歩シリーズね。意味のないおっぱい。

―あははは!

全く意味のないおっぱいが出てくるんです。ここにこのおっぱいいらんやんっていう。

―せいじさんが中学生の時と息子さんの今と、目に入るモノが全然違いますね。

違うし、入ってくる情報が圧倒的に多い。だって今もそのオンラインゲームではブラジルのチームと戦ったり、イタリアのチームと戦ったり、もうちょっとよく分からへんもんね。

―ゲームを一緒にやったりは?

時間がないんでね。ほんであれ、チームでやるから迷惑掛けるんです。野球とか、ゴルフで一緒に周っているようなもんです。「オマエ来えへんのか?ほんなら周られへんやんけ」って感じになるらしくて。

―時間があればせいじさんもやりたいですか?

そりゃもう。おもろいのは100%決まってますやん。賢い連中が「どうやったらおもろいもん出来るやろ」って考えた結果でしょ、ゲームいうのは。そりゃおもろいですよ。それに映画1本余裕で作れるくらいの金かけて作ってるでしょ。

―息子さんと出掛けたりは?

こないだ、それこそ秋葉原に一緒にハードを買いに行きました。今度はなんか天気よかったら単車でどっか行こうかって言ってます。

―後ろに乗せて?

うん。「行こか」言うたら普通に「分かった」って。

―何年か前、鳥取に二人旅をされてましたね。動画で観ました。

ああ、仕事ですけどあれは2人でしたね。マネージャー来てるわけじゃないので。

―あれは素敵でしたね。

あ、ありがとうございます。

―鳥取の二人旅で印象に残っていることありますか?

いや、まあ意外と知らんもんやなと思って。

―子どものこと?

うん。俺らも親には8割くらい隠してましたもんね。親の前では嘘つくというか。ホンマの自分なんか出してなかった気がするもんなあ。友達とおる時がホンマの自分で、家帰ったらちょっと嘘ついて、自分の感情殺してたような気する。家がうまいこと回るようにしといたらええわみたいな。

―息子さんもそんな感じになってますか?

小学生の時は言いたいことなんでも言うてたけど、中学生になると、あんまり何をどう言うてええか分からへんみたいなことがあるみたいですねえ。

―なるほど。

学校でも自分が思ってたようにいかへんことがあったりするやろうし。

―それは見ていて感じますか?

なんとなくねえ。でも別にそれは普通にあることなんでね。

―せいじさんが子どもだった時の親御さんとの関係をもう少し教えてもらえますか

まあ理不尽な思いをしましたね。親の言うこと聞いてたらろくな大人にならへんわって思いましたから。

―あははは。反面教師になっていますか?

相当なってると思います。

―理不尽なことはしない?

僕はしない、とまあ自分で思うとるだけかも分からないですけどね。言葉で傷つけるのはあるかも知れませんけど。でも、出来ひんことやれとか、親やからどうのこうのとかは、自分で言わないようにしているつもりです。自分がイヤやったから。

―はい。

「お父さんやから」とか「お父さんが言うてるから」って、なんやそれ!って思ってましたから。おかしなこと言いよるわって。ほな、お前より立場の強い奴が出てきたらそいつが100%正しなるやんけと。

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―せいじさんが発した言葉で、あれはちょっと言わんかったらよかったなあというのはありますか?

車を運転してて、

―はい。

車の中って好きなこと言えるみたいな感覚になるので、そこでいろいろ言うんです。例えばチャリンコを鈍臭く乗ってるおばちゃんがおったら「もっとちゃっちゃと運転せえや」とか「止めるんやったら止める、行くんやったら行くでハッキリしてくれや!」とか、ずっと言いながら運転するのが好きでね。

―好きなんですね。

息子の友達も乗ってる時に、いつものように好き勝手言うてたら「やめとけ、今日は友達乗ってるから」って息子に注意されました。

―言われたとき、せいじさんは?

「ああ、ごめんごめん」て。

【第2回】「すごいイヤやったんです。買うたらあかんとか」に続きます

千原せいじさん

今回の"オトン"なアーティストは、

千原せいじさん

芸人家族構成:妻、息子(中3)

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