oton+to(オトント) > オトンの流儀とか アーティスト編 > 「僕は子どもに伝えたいことを上手く伝えられないことがあるんです。下の子がすごく泣いたり、上の子が悲しい気持ちでいる時に。だからもう抱きしめることにしています」。テツ【第2回】
「僕は子どもに伝えたいことを上手く伝えられないことがあるんです。下の子がすごく泣いたり、上の子が悲しい気持ちでいる時に。だからもう抱きしめることにしています」。テツ【第2回】
お笑い芸人 テツandトモさん
家族構成:テツ:妻、息子(中2)、娘(小5)、息子(4歳)。トモ:独身
【オトンの流儀とか】今回はお笑い芸人、テツandトモのお二人。トモさんは独身ですが、テツさんは3人のオトン。季節の行事を大事にするテツさん家族。テツさんにはお子さんのことをたくさん、トモさんには仕事のことをたっぷり伺いました。4回連載です。
oton+to編集長 布施太朗 写真:岡崎史歩
第2回父さんがこういうことしてるから、いじめられるかもしれないよっていうのは、ずっと言っているんです。でもどんなに言われても、父さんと母さんは味方だから大丈夫だよと。
―あははは。「あのネタ面白かったよ」って言われることは?
テツ:ないです。家族はみんなシビアです。特にカミさんが。
―奥様が?
テツ:まさか僕が芸人をやるなんて思っていなかった時期から付き合っているので。
―劇団時代から?
テツ:そうです。芝居やっている時も言われました。「芝居、向いてないんじゃない」って。それでもやっていたんですけど、でもそうですね。一番僕のことを知っているからダメ出しされるとこたえます(苦笑)。
―最近もダメ出しされました?
テツ:この前、釣り番組に出た時に、素になってしまった瞬間があって。
―照英さんの釣り番組?
テツ:そうですそうです。釣りをしている時、プロの方からダメ出しされて、それがショックだったんです。そしたらその時の顔が真顔だったって。「どうしてテレビであんな顔してるの」って言われました。
―息子さんはお父さんと同じ道に進みたいとか?
テツ:音楽は好きみたいです。今、ピアノを習っているんです。でも芸人になりたいとかは全くないと思います。
―そうなんですね。話は変わりますが、お子さんが小さい時って、お二人もすごく忙しい時期ですよね、その時期、お子さんとあまり関われなかったなとか、そういう思いはありますか?
テツ:そうですね。家にいないことが多かったので。電話をかけるとカミさん泣いていました。
―奥様が電話で泣いていた。
テツ:「今日、子どもをすごく強く叱っちゃった」とか。反省というより後悔の電話とかありましたね。僕はそれを地方で聞いていました。まだ3人で住んでいる頃だったので、カミさんと子どもが2人きりの時間が多くて、すごく大変だったんだろうなと思います。
―うんうん。
テツ:でも、家にいる時は、子どもを自転車の前に乗っけて近くの公園にザリガニ釣りに行ったりしていました。自然が好きなので、外になるべく連れて行って、一緒に遊んでいました。
―お子さんを叱ることは?
テツ:叱ったりすることは、あります。あのー、最近だと・・・最近だと、叱ったのは・・・・えーっと・・・なんだろう、えーっと・・・すみませんね、ごめんなさいね。
トモ:無いんじゃねーか。
テツ:いや、叱ってますよ!全然ありますよ!何で叱ったかなあ
トモ:無いじゃん。
―ブチ切れたことはありますか?
テツ:ブチ切れたことはないですね。カミさんはよく叱っています。
―あー、そうなんですね。
テツ:あー。でもそう考えると俺は・・・
マネージャーさん:ほんと怒らないんですよね。
テツ:そうですね、カミさんが強く叱っているところを見てる時がありますね。でもあんまり2人がこう、言うとアレだから。
―はい。
テツ:そこは黙っていて、それが一件落着してから、後でカミさんに「そこまでそういう言い方しなくてもいいんじゃないか」というのは冷静に話し合ったりとかしたりとかしたりとか・・・したりとかしたりとか(笑)。
―あははは!
トモ:すみません、日本語がちょっと得意じゃないもんで(笑)
テツ:カミさんと喧嘩しても、カミさんの方が言葉が立つので負けちゃうことが多くて。それは子どもたちに対しても同じで、子どもに伝えたいことを上手く伝えられないことがあるんです。下の子がすごく泣いたりとか、上の子が悲しい気持ちでいる時に。だからもう抱きしめることにしてます。
―おおー。
テツ:それは、ついこないだもありました。下の子が幼稚園に行かないって言ってたんですよ、なんかイヤなことがあったのか、ちょっと休み癖がついてしまったんですが、行かなきゃいけない。そんな時は本当に何も言わないです。大泣きしたら抱きしめるだけ。色々喋るより「もうぎゅーっとしてあげよう」と言って、ぎゅーってしてあげることがありました。
―なるほど。
テツ:そういう風にすることが多いです。
―大切ですよね、そのぎゅーは。
テツ:思いっきりぎゅーってやるとなんか落ち着くみたいです。すごく泣いていても、自然と泣き止みます。だから、なんか分からない時はとりあえず抱きしめるみたいなのはありますね。経験値として。
―素敵な対応です。
テツ:いや、あの、それしかできないんです、僕。
―不器用なお父さんも参考になる、すごくいいお話だと思います。
トモ:結果、余計泣いちゃったらどうしようね、痛いよーって。
―トモさんはテツさんのご家族のお話とかって聞かれます?
トモ:あまり聞かないですね。去年の冬に20周年のライブをやったんですけど、テツの子どもたちも観に来てくれて。15周年の時も来てくれたかな。横浜でやった時も来てくれました。その時、舞台上の父親を見て何を感じているのだろうと思いますね。父親の職場を生で見ることってあまりないじゃないですか。
テツ:この前の20周年ライブに来てくれた時、僕はそんな「どうだった?」って訊かないんですけど、娘が「お父さんお笑いでしょ?歌多すぎ」って言ってました。「もっとお笑いの方が観たかった」って。
トモ:でもゲストに五木ひろしさんが来てくださって、五木さんと思い出の曲を歌わせて頂いたんです。テツは五木さんに憧れて演歌歌手になりたくて上京しました。20周年記念ライブで、その五木さんと一緒に歌うっていう・・・。それはそれでもう・・・
―感無量ですね。
テツ:そう、僕はもう。
―そしたら、言われちゃったんですね。
テツ:はい。
―娘さんの期待とはギャップのある舞台だったと(笑)。
トモ:だから娘さんは、お笑いを認めてくれてるってことだと思うんです。ご年配の方はもっと歌を聴きたいって言ってくださるんですよ。お笑いもいいけど、歌をもっとやった方がいいってよく言われますから。
―そうですか。
トモ:普通のお笑いのイベント等でも真面目に歌ったりしています。CDも出させていただいてるんですよ。
―でも娘さんは、お父さんのお笑いが好きなんですね。
トモ:多分。じゃなきゃもっとお笑いを観たかったとは言わないよ。恥ずかしいからお笑いはやめて歌だけ歌ってよって言われても、おかしくないと思う。もし僕が今、中学生だったら、父親が赤いジャージを着て変な動きをしていたら、恥ずかしいな。大人になった今は、ものすごいと思いますけど。
―それはあるかもしれませんね。多感な時期ですから。
トモ:学校でいじめられるかもしれない。同級生にお前も動いてみろよって。何やってんだ親父って。
テツ:そういう風にはなんないようには育ててるけどね。
―そうですか?そういう風にならないように。
テツ:カミさんと話すんですけど、父さんがこういうことしてるからいじめられるかもしれないよっていうのは、ずっと言っているんです。でもどんなに言われても、父さんと母さんは味方だから大丈夫だよと。それはもうずっと言ってきました。味方だから、味方だからって。いじめられる前提で話すんです。クラスの子が何か言ってくるかも知んないぞとか。そういう時があるかもしれないけど大丈夫だよと。父さんも母さんもついてるからねって。どんなことがあっても守るからって。強気の二人を演じてます。
―演じてる。
テツ:はい。子どもの前で。実際に、自分も小さい頃にいじめられてたことがあって、いじめる奴がすごく嫌いなんです。だから、長男には、いじめられているやつを助けられる人間になれよってことを話してます。カミさんも同じ想いです。絶対に弱い人間がいるからそういう人を助けられる人でいろと。実際、クラスの中で、みんなからちょっとあいつなんだよって言われてる子がいて、そういう子が周りからなんか言われてる時に「自分はおいやめろよって言うんだ」って。自分はそういう子の味方でいるよって。これはカミさんから聞いた話なんですけど、先生から「そういう時も中本くん(テツさんの本名)は助けてくれてる」って。それを聞いた時に、すごく嬉しかったですね。そういう人でいて欲しいというのが子どもにちゃんと伝わっていたなあって。勉強をしろとかそういうのは僕は全く言わない派なので、まあ宿題くらいはちゃんとやれよって言いますけど。
【第3回】「派手な部分だけじゃなくて、裏で打ち合わせしたりとかちゃんと練習したりしてんだよって。そういうのは子どもに見てもらいたいなって思いますね」に続きます。
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今回の"オトン"なアーティストは、
テツandトモさん
お笑い芸人家族構成:テツ:妻、息子(中2)、娘(小5)、息子(4歳)。トモ:独身
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