―10歳の時の関わり方が薄かった？

薄かったですね。長男が１0歳の頃は、東京支店の立ち上げの時で、ほとんど家にいなかったんです。土日は帰ってきても、ひたすら疲れているっていう感じだったんで。

―その頃、一緒に遊んだ記憶というのは？

うーん、まあ遊んではいましたけど、もっと関わった方が良かったかなあ。平日５日間いないというのも、なかなか厳しいですわ。

―それは影響が大きいですか？

あると思います。僕、経営していても思うんですけど、日常の小さなことがすごく大事だと思うんですよね。キャンプに行ったりとかもいいですけど。日常の些細なところに本当は会話すべきことや教えてあげることがあるのに、そこにほとんどお父さんがいないっていう、それが自分の一番の罪だなって思います。だけど僕は僕でどうしても家族を食わしてくために、やっぱりその時間を割くことが出来なかったんで、まあそこはしょうがないなというか。今からでも出来ることはしようっていう感じではいるんですけど。

―例えばどういうことを？

長男のことで唯一頑張ったのは野球ですかね。3年生くらいから少年野球やりだして、土日ずっと練習か試合なんですよね。それはほぼ皆勤で応援に行きました。僕、野球未経験でド下手なんですけど、５年生の時に一年間父兄コーチでグラウンドの中に入ってやってたんです。それはかけがえのない１年でした。

―コーチやられてたのは１年間？

はい。5年生の時に。だけどほんまはもっと野球が上手くなるように練習付き合ってあげたり、もっとやってあげたら、自信がつけられるくらいやれたら良かったなってのはあります。だけど今考えてもそれが限界やったかな、他の子どももいますし。

―息子さん、今は高校１年生なんですよね。反抗期とかは？

中学からいまもまだずっと反抗期ですわ。

―具体的にはどういう反抗期？

今、ちょっと目標が持てていない感じですかね。受験が終わって高校入ったんですが、クラブもやっていないですし。僕が「クラブ絶対なんかやれよ」って言うじゃないですか、一応親として、「絶対やった方がええぞ」とか。なんかそういうことが、言えばいうほど逆効果なのかな。もう祈るしかないんですよ、そういう風な気持ちになってくれることを。

―難しいとこですよね。

はい、難しいとこです。言わなアカンと思うし、言わないとそのままな気がしてまた言いたくなるし。こういう時にいつも思うんです。自分の発言というか思いを、子どもが素直に受け取らない、受け取れない関係を自分が作ってきてしまったんじゃないかって。やっぱり、それはもう今までの積み重ねなんで、自分の未熟さ故にっていうのがありますね。このなかなか複雑な状況を作ったのは。でも、今年のお盆休みは息子と九州に2人旅に行ってきたんです

―すごい！いいじゃないですか。

2泊3日で、鹿児島の知覧に行ってきました。特攻平和会館で、うちの息子と別に喋ったりはしないんです。けど手紙とか全部読んでいましたわ。今、息子がどう思ってんのかはあえて訊きませんでした。こちらから訊いても、ノってこないんでね。

―知覧に行こうと思ったきっかけは？

人生限りがあるってことを知ってほしい。一回しか人生はないっていうことですよね。若い人が生きたくても生きられなかった人がいるってことを、よりリアルに知ってほしいなって。でもそれも息子にあんまりそういうメッセージが感じられすぎても、反感もたれるんで。

今回の"オトン"なビジネスマンは、

金本 修幸さん

オフィスナビ株式会社 代表取締役
大阪府出身。
家族構成：妻、娘（大学１年）、息子（高１）、娘（中２）、娘（小6）、息子（小２）